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2007/09/30

アリス誕生日/新緑の誘惑 増田晃

三女のアリスの誕生日、おめでとう♡ 2歳になった。

     新緑の誘惑   増田晃

鶯でもなくやうに晩春がふるへてゐる。
明るい障子は南京の扇をひろげて
一すじのけむりをうすくみだしてゐる。

五月雨のさなか、和やかな眼に映るものは、
すみ切つた淺瀨をさかのぼる鮎のやうな
明るさを籠めた柿であり、楓のかげである。

また朝燒をながれる鶸(ひわ)のやうに、
また桃の實のみづ/\しい新しさで、
すべての嫩葉にすきとほる微風である。

ああ まだ絹糸草のやうな晩春がかすかにふるへてゐる。
いつとなくぬれてゆく私のこころにも
白い草苺の花がさびしくゆれてゐる。

ああ さうだ、私もつめたいゑりの袷を重ねよう。
そして膚にしみる樟腦のかんばしい匂に包まれながら
少女のやうに傘(かさ)をかたむけて
あの楓と柿のつくる明るい晩春をあるいてゆかう。

[やぶちゃん注:動植物を効果的散ちりばめた印象的な春へのオード。
・「鶸」は「ひわ」で、スズメ目スズメ亜目スズメ小目スズメ上科アトリ科アトリ亜科ヒワ族 Cardueliniの鳥の総称。カナリアやヒワ、イスカ、ウソ等を含む。一般に狭義ではマヒワを指している。
・「嫩葉」は「わかば」と読む。
・「微風」は「そよかぜ」と読ませるのであろう。
・「絹糸草」カモガヤ。北米産のイネ科の多年草。英名をオーチャードグラス“orchard grass”と言い、代表的牧草の一。
・「草苺」クサイチゴ。バラ科の落葉低木。春、直径4㎝程の白い花をつける。
・「樟腦」は「しょうのう」と読ませるか「くすのき」と読ませるかは判断不能。「膚にしみる」「匂」という表現からは、前者の読みかとも思われる。クスノキはクスノキ科ニッケイ属の常緑高木。枝や葉に樟脳(しょうのう)の香りがある。樟脳(カンフル)はクスノキから得られる無色透明の固体成分で、防虫剤・医薬品等に利用される。]

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