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2007/09/30

その日 増田晃

     その日   増田晃

紅蠟の春のなかで
 鶴にでもなりたいその日でした
風は幸福の漣なかに微笑み
 ヒヤシンスはそのかげに匂ひました

ああ あの日は――そう 復活祭
 私たちは白い翅をもつた天使でした
そしてかすかに嘆く讚美歌の咽泣きに
 あの雲の和いだ匂にとけこんでゆきました

ああ あのころの二人は
 あの赤い卵のやうでしたねえ
そしてからだもこころも
 花でつくられてましたものねえ

こひする少女(をとめ)よ
 いつしれず匂ひつつ惱(なやま)しいけふもゆく
せめては春の絹雨にけふもお歌ひ
 あの日のなつかしい糸車のうたを

[やぶちゃん注:「紅蠟」は赤い蝋燭。「紅蠟の春」で、後に掲げられる「復活祭」「讚美歌」のキリスト教的縁語イメージを狙った感覚語か。次項に記すように「赤」は「復活」の色である。また一般に紅蝋は点したそこから垂れる蝋を涙に喩えることが多く、後述される春に恋する少女の思いと連動させる意味も含まれるか。読みは「こうらふ」で良いであろう。
・「咽泣き」は「咽(むせび)泣(な)き」。
・「赤い卵」 復活祭では赤く染めた卵を飾り食べる。一説には、マグダラのマリアが、ローマ皇帝にキリストの復活を告げるに赤い卵を差し出したことに由来するという。しかし、そもそも「レビ記」17:11に「血は生命である」とあるように、血は、赤=生=死=生命=復活をも象徴する。
・「絹雨」は小糠雨。しかし、読みは「こぬかあめ」では無粋。素直に「きぬあめ・きぬさめ」、それが一般的でないと言うのであれば小糠雨=霧雨であるから「きりさめ」と当て読みでもよい。」

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