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2007/10/07

驚異終生交尾のフタゴムシ(「和漢三才圖會」注記訂正)

「和漢三才圖會 巻五十一」の「鰈」の注の一部に追加した。読んで頂ければ分かる。カレイについて中国の本草書が二匹一組でないと動けないという叙述への良安の疑義部分への注である。読みにゆくのが面倒な方のために、以下に引用する。

「知らず、別に一物有るか否かと」は、言わば比翼の鳥のように、そのように二匹が合体していないとどちらも全く行動ができない生物というものがこの世に別に存在するかどうかは分からない、と言う意味。鮮やかに「謬」と言い放つ良安先生、らしくないよ! いや、流石にこんな生物は、いないだろ? これぞという生物種がいたら是非御教授戴きたい。言っとくけど、チョウチンアンコウの雌雄やチューブワームの共生なんかに広げるのは、なしだからね。……★追記(2007年10月7日):正直、何だか「絶対いない」と言い切ってしまってからずっと胸の辺りに何やら引っかかっていた。生物界に人間的常識は必ずしも通用しないとどこかで思っていた。下等動物の中には、もしかすると極めてそれに近い生物が居はしまいか? 一昨日の通勤で黄色くなった筒井康隆の「私説博物誌」(昭和55(1980)年新潮文庫版)を再読していたら、いた! 「比翼鳥」型生物が、いたのだ! その名もフタゴムシ、扁形動物門単生綱多後吸盤目(筒井は多後口目と記載、古称であろう)に属する種で、コイ・フナに寄生するフタゴムシDiplozoon nipponicum及びウグイ属に寄生する同種の仲間Diplozoon sp.の二種が本邦での報告例である。雌雄同体。彼等は当該魚類の鰓に寄生し、吸血する。本種による寄生魚類の貧血症が水産関係の論文に発表されているのも確認した。以下、筒井の記述を引用する。

『幼虫は、卵からかえった時は、〇・二五ミリくらいの大きさで、水の中を泳いで魚の鰓にたどりつく。もし、一〇時間以内にたどりつかないと、そのまま死んでしまうそうだ。鰓に寄生した幼虫は成長して、一ミリぐらいの大きさになる。これはデボルバと呼ばれ、以前はフタゴムシとは別の種類の寄生虫であろうと思われていたらしい。
 この虫には雌雄の区別はなく、同じからだをしている。生殖器が成熟すると、二匹の虫が互いにからだをねじってカットのような[やぶちゃん注:図(カット)を指すが、著作権上の問題から省略する。その代わり、以下の滋賀県立大学環境科学部環境生態学科浦部美佐子女史の「寄生虫フォトアルバム」のページの中段の鮮やかなDiplozoon sp.を参照されたい。]状態になり、くっつきあう。それぞれが背中に小さな突起と、腹に吸盤を持っているので、吸盤で相手の突起をしっかりとつかんでしまうのだ。その恰好のまま一生、といってもたったの一ヶ月あまりであるが、魚の鰓に吸着して生き続けるのである。なぜそんないやらしい恰好のままでと不思議に思い、二、三の本を読んでみたが理由は書かれていない。相手にめぐりあう機会が少ないからではないかと思って父に訊(たず)ねてみたが、そうではあるまいということである。ど助平だからというのでもないらしい。つまりセックスが好きで好きでしかたがないからやり続けているのではないのだ。そういうみっともない状態でいることが生きのびる上に欠かせないからである。というのはこのフタゴムシ、二匹をはなすと死んでしまうのである。いわば命がけで相手にしがみついているというわけだ。』

一生交尾した状態で過すのでこれを「終生交尾」(!)というのだそうである。強烈な生物学用語だ。幼生期の一時期を除いてペアリングし、離れれば共に死ぬいうのであれば、これは間違いなく『比翼の鳥のように、そのように二匹が合体していないとどちらも全く行動ができない生物』に等しいと言ってよい。私の早とちりを素直に認め、ここに追記するものである。★追記の追伸(同):ちなみに、この引用部の後は、例の筒井独特の人間の男女が常に交尾しているというSFショートショート風のおとぼけエッセイとなるのであるが、どうして以上の生物学的記載は頗る真面目なのである。何てったって、彼の父君は本書の「あとがき」で「あの」日高敏隆(!)が逢うやビビって学者としての自信をなくしたと記すほどの、元大阪天王寺動物園園長でもあった京大動物学教室出身の動物学者筒井嘉隆氏なのである。膝下敬白

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