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2008/09/13

誰の罪 イワン・ツルゲーネフ

 誰の罪

 女はわたしにしなやかな蒼白い手をさしのべた……、けれど、私はひどく組々(あらあら)しくその手を突きのけた。若い、やさしい顏に當惑の色があらはれた。若々しい、人のよい眼が私をとがめるやうに見つめてゐる。若い、淨らかなこころには私の氣持が呑みこめないのである。
「私に何の科(とが)がありますの?」彼女の脣がつぶやく。
「あんたの科つて? あんたに科がある位なら、とてもまばゆい大空の奥の奥で、とても晴れやかな天使だつて、それより先に科があるだらう。
 けど、兎に角、あんたの罪は僕にとつては大きいんだ。あんたはそれが識りたいのか、あんたには分からない重い罪を、僕にはどうしても説明する勇氣のないこの重い罪を?
 それはほかでもない、あんたが若いのに、このわしが老いぼれてゐるといふことだよ。」

本詩については、神西清・池田健太郎訳「新散文詩」(但し高校生向けに一部表記を恣意的に改竄しているので注意されたい)による新訳を私の「アンソロジーの誘惑/奇形学の紋章」に引用しているので、比較されたい。どちらがよいか? 勿論、神西・池田訳の方が如何にも都会的でダンディではある。口ずさんで見れば確信犯的にお洒落である――であるが、しかし、この詩の加齢臭と瑞々しい香の対比という本質は、一体どちらがくっきりと示しているか?……

このツルゲーネフの散文詩集(但し、実はこの詩は以下の表題の出版にあっては除外されたのであるが)の最初の題名は“SENILIA”――「老いらく」――なのである……

……そうして僕は思い出す、もう僕の手元にはこの引用した神西・池田訳の岩波文庫がないことを……かつてある少女に、この本を上げてしまったことを……

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