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2010/05/29

耳嚢 巻之二 鼬の呪の事

「耳嚢 巻之二」に「鼬の呪の事」を収載した。

 鼬の呪の事

 金魚船又は無據(よんどころなき)品などに鼬の懸りて難儀せんには、左のごとく書て札を建ぬれば、其邊へは鼬かゝらざるものゝ由、老人のかたりぬ。

  鼬の呪はたかんなのねぢきり也、是五大明王のしるし候らん

□やぶちゃん注

○前項連関:特に連関を感じさせない。根岸お得意の呪(まじな)いシリーズである。

・「鼬」食肉(ネコ)目イタチ科イタチ亜科イタチ属 Mustela。『』「イタチ」の語は元来、日本に広く棲息するニホンイタチ Mustela itatsi を特に指す語であり、現在も、形態や生態のよく似た近縁のチョウセンイタチ M.sibirica coreana を含みながら、この狭い意味で用いられることが多い。また、広義にはイタチ亜科(あるいはイタチ科)の動物全般を指すこともあるが(イタチ亜科の場合、テンやクズリなどの仲間も含まれる)、ここではイタチ属のイタチ類について記す。

ウィキの「イタチ」より引用する(記号やフォントの一部を変更した)。『直立したイタチイタチ属の動物は、しなやかで細長い胴体に短い四肢をもち、鼻先がとがった顔には丸く小さな耳がある。多くの種が体重2kg以下で、ネコ目(食肉類)の中でも最も小柄なグループである。中でもイイズナ Mustela nivalis はネコ目中最小の種であり、体重はアメリカイイズナ M.n.rixosa 3070g、ニホンイイズナ M.n.namiyei 25250g である』。『イタチ類は、オスに比べメスが極端に小柄であることでも知られ、この傾向は小型の種ほど顕著である。メスの体重は、たとえば前述のアメリカイイズナやチョウセンイタチ M.s.coreana ではオスの半分、ニホンイタチではオスの3分の1である』。『小柄な体格ながら、非常に凶暴な肉食獣であり、小型の齧歯類や鳥類はもとより、自分よりも大きなニワトリやウサギなども単独で捕食する。反対にイタチを捕食する天敵は鷲・鷹・フクロウと言った猛禽類とキツネである』。以下、「日本に棲息するイタチ類」の記載。『イタチ属 Mustela に属する動物は、日本には58亜種が棲息する。このうち、アメリカミンクは移入種であり、在来種に限れば47亜種となる』。『比較的大型のイタチ類(ニホンイタチ、コイタチ、チョウセンイタチ)に対して、高山部にしか分布しないイイズナ(キタイイズナ、ニホンイイズナ)とオコジョ(エゾオコジョ、ホンドオコジョ)はずっと小型であり、特に、ユーラシア北部から北米まで広く分布するイイズナは、最小の食肉類でもある』。『4種の在来種(ニホンイタチ、チョウセンイタチ(自然分布は対馬のみ)、イイズナ、オコジョ)のうち、ニホンイタチ(亜種コイタチを含む)は日本固有種であるが、前述のように、特に海外では、(チョウセンイタチと同じく)大陸に分布するシベリアイタチの亜種とされることもある。また、亜種のレベルでは、本州高山部に分布するニホンイイズナとホンドオコジョが日本固有亜種であり、これにエゾオコジョを加えた3亜種は、環境省のレッドリストで NT(準絶滅危惧)に指定されている』。以下、「日本のイタチ一覧」。

   《引用開始》

ニホンイタチ(イタチ) Mustela itatsi 【北海道・本州・四国・九州・南西諸島/日本固有種】 シベリアイタチの亜種とされることもある。北海道・南西諸島などでは国内移入種。西日本ではチョウセンイタチに圧迫され、棲息域を山間部に限られつつある一方で、移入先の三宅島などでは、在来動物を圧迫している。屋久島・種子島の個体群は、亜種コイタチ M.i.sho として区別される。

(シベリアイタチ(タイリクイタチ、チョウセンイタチ) M.sibirica ,Kolinsky

シベリアイタチ(コリンスキー レッドセーブル、コリンスキーセーブル、レッドセーブル、シベリアンファイアセーブル)の尾毛は、画筆や書筆の高級原毛として使われる。弾力がありしなやかで、揃いが良く、高価。

チョウセンイタチ(亜種) M.s.coreana 【本州西部・四国・九州・対馬】 対馬には自然分布、それ以外では移入種。ニホンイタチより大型。西日本から分布を広げつつあり、ニホンイタチを圧迫している可能性がある。

(イイズナ M.nivalis

キタイイズナ(亜種、コエゾイタチ) M.n.nivalis 【北海道】 大陸に分布するものと同じ亜種。

ニホンイイズナ(亜種) M.n.namiyei 【青森県・岩手県・山形県?/日本固有亜種/準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)】キタイイズナより小型であり、日本最小の食肉類である。

(オコジョ M.erminea

エゾオコジョ(亜種、エゾイタチ) M.e.orientalis 【北海道/準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)】日本以外では、千島・サハリン・ロシア沿海地域に分布。平地では国内移入種のニホンイタチ・移入種のミンクの圧迫により姿を消す。

ホンドオコジョ(亜種、ヤマイタチ) M.e.nippon 【本州中部地方以北/日本固有亜種/準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)】

アメリカミンク(ミンク) M.vison 【北海道】 北米原産の移入種。毛皮のために飼育されていたものが、1960年代から北海道で野生化した。平地でエゾオコジョ・ニホンイタチを圧迫している。養魚場等にも被害がある。

   《引用終了》

以下、利用法。『イタチの毛を使った毛筆は高級品とされる。価格を抑えるために、中心の長い部分だけにイタチの毛を使う場合もある』。以下、妖怪としてのイタチについて。『日本古来からイタチは妖怪視され、様々な怪異を起こすものといわれていた。江戸時代の百科辞典「和漢三才図会」によれば、イタチの群れは火災を引き起こすとあり、イタチの鳴き声は不吉の前触れともされている。新潟県ではイタチの群れの騒いでいる音を、6人で臼を搗く音に似ているとして「鼬の六人搗き」と呼び、家が衰える、または栄える前兆という。人がこの音を追って行くと、音は止まるという』。『またキツネやタヌキと同様に化けるともいわれ、東北地方や中部地方に伝わる妖怪・入道坊主はイタチの化けたものとされているほか、大入道や小坊主に化けるという』。

♡「鼬の呪はたかんなのねぢきり也、是五大明王のしるし候らん」「たかんな」は筍のこと、「ねぢきり」は土から出た筍の螺子状の形状を言うのであろう。「五大明王」とは不動明王を中心とし、東に降三世(ごうざんぜ)明王、南に軍荼利(ぐんだり)明王、西に大威徳明王、北に金剛夜叉明王に配した明王群の総称で、この明王群は如来の真意を奉持し、霊的な力で悪を砕く役目を持つため、通常、激しい忿怒相を示している。以下の「是五大明王のしるし候らん」は、

――イタチのまじないは、それ、そこここに生えおる螺子切りのような筍じゃ!――筍の螺子切りのような形――それは悪を滅する忿怒の相の、かの畏るべき五大明王さまの呪印で御座るぞ!――

という言いか。例えば五大明王中、最もポピュラーな不動明王の場合、左手の薬指を右手の中指で握り、右手の薬指を左手の中指で握って、両手の親指・人差し指・小指を合わせたものが『不動明王の呪』であるという記載がネット上にあった。これは如何にも筍に似ているように思われる(『不動明王の印』の方はもっと単純で、両手を合わせ、蕾を作るように膨らませ、人差し指と小指を離した形とも、一部のネット画像ではもっとシンプルに親指を掛け合わせ人差し指のみを伸ばした形ともある。どちらも筍に似ていると言えなくもない)。また、私がずっと以前、鎌倉のとある寺で私の守護仏に相当するという不動明王の札を受けたことがあるが、そこに押された火炎をデフォルメした印(マーク)があたかも筍の如く見えたことも付け足しておこう。何れにせよ、呪いなれば、凡俗には意味は分からぬ、ということで〆にしたい。

因みに、国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースに愛媛大学農学部付属農業高等学校郷土研究部フィールド・ワークの採取として、鼬が道を横切った際、

イタチが道切る 血道切る おれがさき切る アビラウンケンソワカ

と誦える、とある。これは鼬が行く道を横切ることが不吉なことであり、それを予防する呪言とも思われるが、それは恐らくそこを二度と鼬が横切らないようにするための呪法と相同と考え得る。但し、「オンアビラウンケンソワカ」は大日如来の真言である。このような妖怪としての鼬に関わる呪いとしては、チャンネル福岡に、

イタチ・ミチキリ・チミチキリ

という言葉が民話番組欄に紹介されている。福岡県東区蒲田地区に伝わるその民話の中に上記の鼬除けの呪いが用いられるとし、『イタチが人をハンミョウという虫にしてしまう』伝承があり、この呪文を誦えると、その難から逃れられるという言い伝えが民話になっているそうである。更に鼬除けのはっきりした呪物としては、個人の方のHP「かたつむりの館」の「神聖な生き物5 ◆アワビ(鮑)貝の魔よけ」のページに山口県小郡町の例として『子供の流行病(はやりやまい)やヘビ・イタチを鶏舎から追い払うまじない、牛や馬などの家畜から病魔を追い払うまじない、家庭円満の守護』としてアワビを軒下に飾るケースが紹介されている。神聖な鏡(光を反射させる光沢)や神の眼(呼吸孔)としてのアワビのアイテムを実際の写真で確認出来る。是非、御覧あれ。

■やぶちゃん現代語訳

 鼬除けのまじないの事

 金魚を飼って御座る槽(おけ)や、又は、殊の外、そのようなことから如何にしても守らねばならぬような品なんどに、鼬が侵入して悪さを致いて何かと難儀をする折りには、そこに左の如く書いた札を立てれば、その辺りへは鼬は入らなくなるとの由、古老の話で御座った。

  鼬の呪はたかんなのねぢきり也、是五大明王のしるし候らん

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