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2012/01/02

ジョン・ミリングトン・シング著姉崎正見訳「アラン島」 緒言

アラン島

    緒  言

 アラン島の地理は甚だ簡單であるが、これに就き一言する必要があらう。それは三つの島から成る。即ち、アランモア、北の島、長さ約九哩。次に、イニシマーン、中央の島、さしわたし約三哩半、形はほぼ圓形。さうして南の畠なるイニシール――愛蘭土語で東の島の意――は中央の島に似てゐるが、稍々小さい。それ等はゴルウェーから約三十哩離れ、その灣の中央に横はる。併し南方では、クレア郡の斷崖から、また北方では、コニマラの一角から程遠くはない。
 アランモアの主要村キルロナンは繁華區域役所〔愛蘭土に於いて一八一九年移民に依つて起る借地問題を解決するために創設された役所〕に依つて發展した漁業のために大いに變革が行はれ、今では愛蘭土西岸の漁村と大した差違がなくなつてゐる。他の二島はそれより原始的であるが、其處にも變革は行はれつつある。併し本文中ではそれに就いて論及するほどの必要は感じられなかつた。
 以下のページで、私は此の群島に於ける私の生活と、私の遭遇した事柄のありのままを述べ、何物をも創作せず、また本質的なものは何物をも變更しないで置いた。併し、私の語る人人に就いては、その名前を變へたり、引用した手紙を變へたり、また地理的・家族例の關係を變更したりして、成るべくその實體を現はさないやうにした。私は、全然彼等のためにならないやうな事は云はなかつたが、それでも斯く假装を施したのは、彼等の厚意や友情を餘りに露骨に取扱つたといふ感じを假初(かりそめ)にも彼等に懷かせないためである。彼等の厚意や友情に對して、私は口では云ひ盡せないほどに感謝してゐるのではあるが。

     Author's Forword

The geography of the Aran Islands is very simple, yet it may need a word to itself. There are three islands: Aranmor, the north island, about nine miles long; Inishmaan, the middle island, about three miles and a half across, and nearly round in form; and the south island, Inishere--in Irish, east island,--like the middle island but slightly smaller. They lie about thirty miles from Galway, up the centre of the bay, but they are not far from the cliffs of County Clare, on the south, or the corner of Connemara on the north.
Kilronan, the principal village on Aranmor, has been so much changed by the fishing industry, developed there by the Congested Districts Board, that it has now very little to distinguish it from any fishing village on the west coast of Ireland. The other islands are more primitive, but even on them many changes are being made, that it was not worth while to deal with in the text.
In the pages that follow I have given a direct account of my life on the islands, and of what I met with among them, inventing nothing, and changing nothing that is essential. As far as possible, however, I have disguised the identity of the people I speak of, by making changes in their names, and in the letters I quote, and by altering some local and family relationships. I have had nothing to say about them that was not wholly in their favour, but I have made this disguise to keep them from ever feeling that a too direct use had been made of their kindness, and friendship, for which I am more grateful than it is easy to say.

[やぶちゃん注:「繁華區域役所〔愛蘭土に於いて一八一九年移民に依つて起る借地問題を解決するために創設された役所〕」とあるが、この姉崎氏の割注の「一八一九年」は「一八九一年」の誤植であろう。原文“Congested Districts Board”は正確には“Congested Districts Board for Ireland”で、これは時のソールズベリー内閣のスコットランド長官であった保守党政治家アーサー・バルフォア(1848~1930)の肝煎りで創設された一種の社会改良団体で、アイルランドの貧困層の特に婦人の雇用促進などを図ったもの(後に首相となるが、彼はアイルランド自治権拡大要求には反対であった)。ネット上では「アイルランド密集地区委員会」などと訳されている。貧困地域を対象としたシステムであるから「繁華」という訳語は違和感がある。]

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