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2012/08/09

生物學講話 丘淺次郎 一 吸著の必要~(2)

Dani

[やぶちゃん注:右の下に「獨立だに」、左の下に「ひぜんのむし」のキャプション。]

 

 「だに」の類には獨立の生活をするものと、寄生するものとがあるが、これも比べて見ると、寄生するもの程、足が短くて爪が鉤狀に曲つて居る。土の上や水の中を自由に運動して居る類では八本の足が皆身體の直徑より長いが、犬や牛などに寄生する類では足は頗る短く、且吻を深く皮膚の中へ差し入れて居るから容易に離れぬ。「ひぜんのむし」〔ヒゼンダニ〕も「だに」の一種であるが、これなどは人間の皮膚の中に細かい隧道を縱横に掘つて住んで居るので、足は極めて短く、殆どあるかないか分からぬ程である。しかし爪だけは明にある。鯉や金魚の表面につく「てふ」〔チョウ〕は「みぢんこ」の類であるが、普通の「みぢんこ」とは違つて左右の上顎が變形して「たこ」の疣の如きものとなり、これを用ゐて確に魚の皮膚に吸ひ著いてゐる。かやうな吸盤は獨立生活をする「みぢんこ」では決して見ることは出來ぬ。蛭は身體の構造からいふと「みみず」と同じ類に屬するが、蛭の中でも魚類や龜などに吸ひ著いて居る種類になると、殆ど一生涯同じ處に吸著して居るから立派な寄生蟲である。年中土を食つて居る「みみず」には、頭から尻までどこにも吸盤も鉤もないに反し、蛭の方には體の兩端に強い吸盤があつて、これで吸ひ著くと如何に魚が悶搜(もが)いても決して離れることはない。

[やぶちゃん注:「だに」節足動物門鋏角亜門クモ綱ダニ目Acari に属する動物の総称。昆虫ではない。世界には凡そ二万種いるが、人間生活に影響を及ぼすダニはその中でも極少数で、多くは自然界での土に依存して生きる土壌生物である。

「水の中を自由に運動して居る類」これは少し規定が難しい。節足動物門クモ形綱ダニ目前気門(ケダニ)亜目Prostigmataに属するところのテングダニ類・ハダニ類・フシダニ類・ニキビダニ類の中で水中に生息するミズダニ団 Hydrachnellae(若干の海産種を含み、大部分はこの類)と海産種ウシオダニ科 Halacaridae のウシオダニ類、及び陰気門(ササラダニ)亜目 Oribatida のササラダニ類の一部を総称する呼称(団というのは聴き慣れない言葉であるが、系統学的自然分類群ではなく、水中という棲息域による生態面から纏められた呼称である)。ミズダニ団は世界に十二上科五十一科、約三〇〇〇種が生息、本邦には九上科二十七科約三〇〇種いる。この科数は前気門(ケダニ)亜目に含まれる科の凡そ半数に及んでいる。基本的に節足動物や軟体動物などの無脊椎動物を捕食するか、これらに寄生して生活し、人間生活とは無縁である。以下、僕らと殆んど接点のないミズダニを知るために、主に参考にしたウィキの「ミズダニ」から引用する(アラビア数字を漢数字に代えた)。『ミズダニの多くのものは湖、沼、池、その他一時的ではない水溜りを始めとして、河川、渓流、湧泉(ゆうせん)、地下水、海など幅広い水域に生息する。多くの種では成体は肉食性で、ミジンコ、カイミジンコ、ユスリカの幼虫などを捕食する。湖沼性の種類は、水草につかまっているもの、泳ぐもの、水底の泥土上を這うものなどがある。川や渓流の種類は流水中の石面に張り付いている。海産種は、磯の海藻につかまったり、石や死んだ貝の殻についたり、またプランクトンとして浮遊しているものもある。淡水産貝類(ドブガイ、カラスガイ、カワシンジュガイなどの二枚貝やマルタニシ、オオタニシといった巻貝など)に寄生するものは、その外套腔内にすみ、体壁や外套膜の粘液を吸収する』。『下水のような有機物汚濁が著しく、酸素の少ない水中で生活するものは知られていない』(引用元「トブガイ」。訂した)。存外、ミズダニが綺麗好きな種が多いことが分かる。『ダニ類なので成虫では肢が八本である。体は一般に球形、卵形または楕円形のものが多いが、地下水種のバンデシアのようにウジムシ形の種類もある。体の大きさは〇・五~一・五ミリのものが多いが、小さいものは〇・三ミリ、大きいものは五ミリにも及ぶ。体色は褐、黄、青、緑、紫、赤、橙などの美しい種類が多く、地下水性ミズダニ類はほぼ無色または淡黄色のものが多い。海産種は主に赤色である』。『背面の大部分は肥厚板に覆われることが多い。腹面では脚の付け根の基節板と生殖板が硬化している。体表の肥厚部には皮膚腺が発達し、点在している。眼が存在するものでは一対、あるいは二対あり、また黒色の色素とレンズを有する。地下水性の種類では眼は退化して著しく小さいか消失し、そのかわりに感覚毛や触肢が発達している。口器は体の前方腹面にあり、頭状で先端に口が開く顎板の両側に獲物の捕獲に与る触肢が付着し、鋏角は顎板にはまり込んでいる。摂食に与る鋏角は通常完全な鋏状ではなく、可動指は強大な鎌状に発達するが、固定指は短く退化している』。『ミズダニ類は雌雄異体であって、その生活史は大分複雑である。卵は球形の種類が多いが、二枚貝に寄生する種類には楕円形の卵を産むものがある。卵の色は黄色のものが多いが、橙赤色や、煉瓦色のものもある。卵はふつうゼラチン様の膜に包まれていて、水草の茎や葉の表面に産みつけられるものが多いが、泥の中に産むものもある。流水の種類では石の表面や石の面の穴の中に産むものが多い。貝類に寄生している種類は貝の外套膜の組織内に産卵する。卵から六本脚の幼虫、八本肢の若虫を経て成虫になる。多くの場合、若虫と成虫は自由生活で微小な甲殻類や水生昆虫の幼虫などを捕食するが、幼虫はガガンボ、カ、ユスリカ、ブユ、ヌカカ、カワゲラ、トビケラ、コオイムシ、アメンボ、ミズカマキリ、コミズムシ、ゲンゴロウなど水生昆虫の成虫、あるいは幼虫に寄生する。成虫期を陸上で過ごす水生昆虫の成虫に寄生する種の場合、羽化時に取り付き寄生を開始して寄生期間を通じ水を出て生活し、宿主が交尾、産卵のために水辺に戻ってきたときに宿主から離脱し、水中の自由生活に戻る。地下水性種の生活史は全く分かっていない。ミズダニ類の寿命は大体二~三年であると考えられている』。――こうて知ってみると、私は、何となく逢って見たくなるから不思議だ。

「ひぜんのむし」ダニ目無気門亜目ヒゼンダニ科ヒゼンダニ Sarcoptes scabiei var. hominis。激しい掻痒感を伴う皮膚疾患である疥癬は本種の寄生によるもの。以下、ウィキの「疥癬」から引用する(アラビア数字を漢数字に代え、単位を日本語化。記号及び本文の一部を変えた)。『ヒゼンダニの交尾を済ませた雌成虫は、皮膚の角質層の内部に鋏脚で疥癬トンネルと呼ばれるトンネルを掘って寄生する。疥癬トンネル内の雌は約二ヶ月間の間、一日あたり〇・五~五ミリメートルの速度でトンネルを掘り進めながら、一日に二個から三個、総数にして一二〇個以上の卵を産み落とす。幼虫は孵化するとトンネルを出て毛包に潜り込んで寄生し、若虫を経て約十四日で成虫になる。雄成虫や未交尾の雌成虫はトンネルは掘らず、単に角質に潜り込むだけの寄生を行う』。『交尾直後の雌成虫が未感染の人体に感染すると、約一ヵ月後に発病する。皮膚には皮疹が見られ、自覚症状としては強い皮膚のかゆみが生じる。皮疹には腹部や腕、脚部に散発する赤い小さな丘疹、手足の末梢部に多い疥癬トンネルに沿った線状の皮疹、さらに比較的少ないが外陰部を中心とした小豆大の結節の三種類が見られる』。『時にはノルウェー疥癬と呼ばれる重症感染例もみられる。過角化型疥癬は一八四八年にはじめてこの症例を報告したのがノルウェーの学者であったためについた名称であり、疫学的にノルウェーと関連があるわけではないので、過角化型疥癬と呼ぶことが提唱されている。何らかの原因で免疫力が低下している人にヒゼンダニが感染したときに発症し、通常の疥癬はせいぜい一患者当たりのダニ数が千個体程度であるが、過角化型疥癬は一〇〇万から二〇〇万個体に達する。このため感染力はきわめて強く、通常の疥癬患者から他人に対して感染が成立するためには同じ寝具で同衾したりする必要があるが、そこまで濃厚な接触をしなくても容易に感染が成立する。患者の皮膚の摩擦を受けやすい部位には、汚く盛り上がり、カキの殻のようになった角質が付着する』。『中国隋の医師巢元方が著した「諸病源候論」に『疥』として記載がある。また、唐の孫思邈が著した「千金翼方」は、硫黄を含む軟膏による治療法が記載されている。光田健輔によると、昔はらい病と疥癬はよく合併し、光田自身も神社仏閣でよく観察していたという。なお、光田は「令義解」の『らい』が伝染した話は、疥癬があり、伝染したことが観察されたのではないかという。通常の『らい』であれば、伝染する印象はない』(最後の部分はハンセン病の感染力は極めて小さいからである)。……それにしても……過角化型疥癬……一〇〇万から二〇〇万のヒゼンダニが寄生する人体……牡蠣の殻のようになった角質が盛り上がる……こりゃ、凄いわ……。……さてもこの疥癬が原因でヒトが死亡するなんどと言うことが……あり得ようか?……どうも、戦争末期に逮捕され、敗戦に前後して獄中死した西田幾太郎の愛弟子であったマルクス系哲学者の二人、三木清(昭和二〇(一九四五)年九月二十六日於豊多摩刑務所)と戸坂潤(同年八月九日於長野刑務所)の死因は――「疥癬」である――恐らくは、この過角化型疥癬に伴う腎不全だったようである……七転八倒の掻痒と孤独な死……「悲惨」などと容易に口に出せるものではない……。

「てふ」〔チョウ〕節足動物門甲殻亜門顎脚綱鰓尾亜綱チョウ目 Arguloida に属する甲殻類鰓尾類に含まれる一群。主に魚類の外部寄生虫で日本ではチョウ Argulus japonicas が普通種として知られ、別名ウオジラミとも呼ぶ。前出。「五 生血を吸ふもの」の私の注を参照されたい。

「みぢんこ」ミジンコは「微塵子」「水蚤」などと書き、水中プランクトンとしてよく知られる微小な節足動物である甲殻亜門鰓脚綱葉脚亜綱双殻目枝角(ミジンコ)亜目 Cladocera 属する生物の総称。形態は丸みを帯びたものが多く、第二触角が大きく発達して、これを掻いて盛んに游泳する。体長〇・五~三ミリメートル前後の種が多いが、中には五ミリのオオミジンコ Daphnia magna Strausや、一センチメートルに達する捕食性ミジンコのノロ Leptodora kindtii などもいる(以上はウィキの「ミジンコ目」に拠った)。

「悶搜(もが)いても」私は初めて見た漢字表記で、ネット検索をかけても中文サイトでしか引っ掛からない。「廣漢和辭典」にも所収しないが――これ、なんかいい漢字――基――いい感じ、しない? いつか使ったろ、と!]

Tyouhutyaku

[魚に「てふ」の吸ひ著いて居る狀]

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