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2012/12/17

生物學講話 丘淺次郎 第六章 詐欺 一 色の僞り~(4)

 魚類にも、往々無色透明なものがある。「うなぎ」「あなご」などの幼魚は多くは海の底に近く住んで居るが、網に掛つたものを見ると、極めて透明で水の中では到底見えぬ。魚類でも鳥類・獸類で血は赤いものと定まつて居るが、「うなぎ」類の幼蟲では血も水の如くに無色である。それ故、人の眼に見える部分はたゞ頭にある一對の小さな眼玉だけに過ぎぬ。漁夫は昔からこの魚を見ては居るが、「うなぎ」類の幼魚とは知らず、別種の魚と見做して「ビイドロ魚」と名づけて居る。

[やぶちゃん注:「うなぎ」「あなご」ウナギは、

条鰭綱新鰭亜綱カライワシ上目ウナギ目ウナギ亜目ウナギ科ウナギ属 Anguilla

に含まれる種の総称、アナゴは、

ウナギ目アナゴ亜目アナゴ科 Congridae

の属する種の総称で、体型はいずれも細長い円筒形だが、アナゴには鱗がない点で異なる(しばしば誤解されるがウナギの体表は粘膜に覆われてぬるぬるしているものの、皮下に非常に小さな鱗をちゃんと持っている。因みに、ユダヤ教では鱗のない魚を食べてはならないという戒律があり、私はかつてイスラエル人の友人に「だったらウナギはゼッタイ食べていいんだよ!」と力説してみたが、笑って相手にして呉れなかった。今でも彼はウナギは鱗がないと思い込み、蒲焼の匂いに垂涎しながらも食わずにいる(彼が鮨屋でアナゴを食って「旨い!」と言った時には私は黙っていたのだが)。――ユダヤ教徒よ! ウナギをお食べなさい! ヤハウェは必ずや、お許しになられるから――。ウナギの属名“Anguilla”(アングィルラ)はラテン語でウナギの謂いであるが、その語源は“anguis”(蛇)である。また鮨屋でお馴染みのマアナゴ Conger myriaster の属名やアナゴ科の科名にある“Conger”はギリシア語でアナゴのこと。このように魚の分類の曖昧な西洋で、古来からウナギとの差別化がなされいていたのは、アナゴは海産、ウナギは淡水産として厳然と区別して認識されていたからであろうか。因みに、東宝怪獣のアンギラス(英語綴り“Anguirus”)は作中(初登場は監督小田基義・特技監督円谷英二「ゴジラの逆襲」昭和三〇(一九五五)年。因みにこの映画は我らが円谷英二が初めて特技監督という肩書で記名された記念すべき作品であった)では、中生代白亜紀後期(約七四〇〇万~六七〇〇万年前)の現北アメリカ大陸に生息した植物食恐竜の一種である爬虫綱双弓亜綱主竜形下綱恐竜上目鳥盤目装盾亜目曲竜下目アンキロサウルス科アンキロサウルス属 Ankylosaurus の一種が水爆実験の影響で目覚めたものとされるが、これ、どう見てもウナギの属名“Anguilla”由来であろう(但し、ウィキアンギラス」には、『名前は東宝内部で社員公募された。この映画にも出演している俳優の土屋嘉男は「ギョットス」という名前を考えて公募したことを、佐原健二、高島忠夫との対談で明らかにした』とあって、この文脈からは実は「アンギラス」は「あんぐりとす」辺りが語源であったという都市伝説が生まれそうな気配がある。面白い!)実際、私の好きなスペイン料理、ウナギの稚魚のニンニク・オリーブオイル煮のシラスウナギのことをズバリ、“Angulas”(アンギラス)と言うのである。残念ながら最近の稚魚漁獲の激減によって、これ、なかなか食べることが難しくなっている。

『「うなぎ」類の幼蟲では血も水の如くに無色』ウナギやアナゴの稚魚の血液が無色透明なのは何故かは調べ得なかったが、これは稚魚の時期の血液にはヘモグロビンが殆んど含有せず、鮮緑色を呈するという血漿成分が勝っているからででもあろうか? 識者の御教授を乞うものである。なお、昔から知られているようにウナギ・アナゴ類のこの血漿中にはタンパク質の毒素イクチオトキシン(ichthyotoxin)とが含まれている。多量に飲用すると下痢や吐き気などの中毒症状を、目に入った場合は激しい結膜炎を引き起こし(これは江戸の時代小説などでウナギ屋の職人が裂いている最中に誤って……というシーンに使われる)、外傷部に入ったりしてもひどく炎症を起こす(私はさるウナギ屋の職人の方から、ちょっとした切り傷から入ってとんでもないことになったという話を聴いたことがある)。但しタンパク質であるため、六〇・五℃程度の加熱によって無毒化する。

「ビイドロ魚」これは流石に最早、死語のようで、ネット検索でも引っ掛からない。しかし、風流な名だ。残したい。]

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