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2012/12/04

生物學講話 丘淺次郎 第五章 食はれぬ法 四 嚇かすこと~(4) 了

Sibireunagi


[しびれうなぎ]

 

 電氣を發することも一種の威嚇法である。「しびれえひ」の生きたのに手を觸れると、劇しく電流を感ずるから、誰も思はず手を放すが、海底に棲んで居るときにも、敵が近づく毎に電氣を發してこれを驚かして用ゐるのであらう。電氣を發する魚は「しびれえひ」の外に、南アメリカの河に産する「しびれなまず」〔デンキナマズ〕、南アメリカの河に産する「しびれうなぎ」〔デンキウナギ〕などがあるが、いづれも隨分強い電氣を出すので有名である。但し電氣は攻撃にも防禦に有功に用ゐられるから、決して單に相手を威嚇するためのみのものではない。なほ動物には光を發するものがあるが、これも多少敵を敵を驚かせ、または恐れしめるに役に立つことであらう。陸上では「ほたる」の外には殆ど光る動物はないから、甚だ類が少いやうに思ふが、海へ行けば富山灣の名物なる「ほたるいか」を始めとして、「くらげ」や「えび」の子などに至るまで光を發する種類は頗る多い。それが何の役に立つかは場合によつて素より違ふであらうが、少なくも一部のものは敵に恐怖の念を起させて、その攻撃を免れて居るやうに思はれる。

 

Hotaruika


[ほたるいか]

 

[やぶちゃん注:「しびれえひ」軟骨魚綱板鰓亜綱シビレエイ目 Torpediniformes に属する、電気器官(一般的には頭部の眼の両外側内部にあって下がマイナス極、上がプラス極となっている)から三〇~七〇ボルト程度の生体電気(但し、電流は二〇アンペアと電気魚の中では頗る高い)を発生させることが出来る二科十一属五十九種の総称である。彼らは、これとは別に体表上に電気受容体を持っており(種によっては一センチメートル当り数マイクロボルトという微小な電場の歪みを探知するという)、発電器官から一定の周波数の電気を出すことで安定した電場を作り出し、その乱れをこの電気受容器で受けることで、周囲の状況を電探し、防禦・索敵以外にも摂餌を目的としたプレ機能としても使用しているらしい。和名シビレエイはタイワンシビレエイ科Narkinae 亜科シビレエイ Narke japonica(英名“Electric ray”)に与えられており、地方名を「デンキウオ」「テシバリ」などと言う。一メートルを超える大型個体もみられる東北地方以南の太平洋沿岸に棲息するヤマトシビレエイ Torpedo tokionis は、ヤマトシビレエイ科 Torpedininae 亜科である。和名の面白さは、以下のナマズやウナギ類の電気魚では圧倒的に「デンキウナマズ」「デンキウナギ」が通称化されているのに、「デンキエイ」というのは聞かない点である。何故かしら? 因みに、この三種、どれも人間を感電させるという点では遜色はないのである。

「しびれなまず」条鰭綱新鰭亜綱骨鰾上目ナマズ目デンキナマズ科 Malapterurus属及び Paradoxoglanis 属二属十九種の総称。但し、参照したウィキの「デンキナマズ」の記載ニュアンスでは電気器官を総ての種が持っているわけではないようで、『この科のいくつかの種は』と条件書きがあって、『体内の発電器官によって最大三五〇ボルトの電気を発生させる能力を持っており、発電する魚としてはデンキウナギに次いで発電量の大きい魚である』と記す(引用はアラビア数字を漢数字に代えた。以下、同じ)。『頭部から尾部まで太さの変わらない丸太のような体型をしており、放射状に伸びたヒゲと合わせてドジョウを太短くしたような印象の外見である。背びれとひれの棘を欠く。最大で一メートル、二〇キロ・グラムほどに成長する』。『デンキナマズは発達した発電器官を持ったナマズ目で唯一のグループである。体の後半部分が発電器官になったデンキウナギに対し、デンキナマズは体表を包むように発電器官が発達している。頭部がマイナス、尾部がプラス極となっている。発電の目的はデンキウナギと同じく、餌となる小魚の捕食と体の周りに電場を作ることによって周囲を探るためである』とある(デンキウナギとは電極が逆)。コンゴ川・ナイル川を生息域とし、『古代エジプトの時代からデンキナマズは知られており、エジプト文明の壁画などに記述が見られる。エジプト初期王朝時代(BC三一〇〇年)のファラオとして知られるナルメルの化粧板に、王名を示す初期ヒエログリフの表音文字「ナル」として描かれたのが現在知られている最初の記述である。また十二世紀にアラブ人の医師によってその発電能力が報告されている。水族館ではデンキウナギと並んで発電の様子を展示する目的で飼育されることが多い。またアクアリウムにおいても飼育されることが多く一〇センチ・メートル程度の幼魚が流通しているが、感電の危険があるため成長した個体の取り扱いには注意が必要である』とある。

「しびれうなぎ」条鰭綱新鰭亜綱骨鰾上目デンキウナギ目に属する電気魚の総称(中央アメリカから南アメリカにかけて分布し、全種が発電器官を持つ淡水魚である)。デンキウナギ目は二亜目五科三〇属で構成され一三〇種以上を含むが、中でも、デンキウナギ亜目ギュムノートゥス科 Gymnotidae(又はデンキウナギ科 Electrophoridae)デンキウナギ Electrophorus electricus を指す場合が多い。Electrophorus electricusは南アメリカのアマゾン川・オリノコ川両水系に分布する大型魚で成魚は全長二・五メートルにも達し、デンキウナギ目の魚の中では最大種。和名に「ウナギ」が入るが、図を見ても分かるように体形が細長い円筒形で太ったウナギに似て見えるだけで、実は条鰭綱ウナギ目ウナギ亜目ウナギ科ウナギ属 Anguilla とは体構造や生活史が全く異なる全く別の魚類である。以下、ウィキの「デンキウナギ」より引用する(引用はアラビア数字を漢数字に代え記号の一部を省略・変更した)。『大型個体は丸太のような体形であるが、頭部は上下に、尾部は左右に平たい。全身はほぼ灰褐色で白っぽい斑(まだら)模様があり、尾に行くにしたがって斑点が小さくなる。喉から腹にかけては体色が淡く、橙色を帯びる。眼は小さく退化しているが、側線が発達しており、これで水流を感じ取って周囲の様子を探る。肛門は鰓蓋(えらぶた)直下にあり、他の魚よりもかなり前方に偏る。鰭は胸鰭と尻鰭しかなく、長く発達した尻鰭を波打たせて泳ぐ。なお、デンキウナギ目の魚は前だけでなく後ろにも泳ぐことができる』。『大型個体は丸太のような体形であるが、頭部は上下に、尾部は左右に平たい。全身はほぼ灰褐色で白っぽい斑(まだら)模様があり、尾に行くにしたがって斑点が小さくなる。喉から腹にかけては体色が淡く、橙色を帯びる。眼は小さく退化しているが、側線が発達しており、これで水流を感じ取って周囲の様子を探る。肛門は鰓蓋(えらぶた)直下にあり、他の魚よりもかなり前方に偏る。鰭は胸鰭と尻鰭しかなく、長く発達した尻鰭を波打たせて泳ぐ。なお、デンキウナギ目の魚は前だけでなく後ろにも泳ぐことができる』。『南米北部のアマゾン川・オリノコ川両水系に分布し、この水域では頂点捕食者の一つとなっている。池や流れの緩い川に生息する。夜行性で、昼間は物陰に潜む。夜になると動きだし、主に小魚を捕食する』。『また空気呼吸をする魚でもあり、鰓があるにもかかわらずたまに水面に口を出して息継ぎをしないと死んでしまう。逆に言えば水の交換が起こらない池や淀みでも酸欠にならず、生きていくことができる。これは温度が上がるほど溶存酸素量が少なくなる熱帯の水域に適応した結果と言える』。「発電の仕組みと効力」の項。『デンキウナギの発電器官は、筋肉の細胞が「発電板」という細胞に変化したものである。数千個の発電板が並んだ発電器官は体長の五分の四ほどあり、肛門から後ろはほとんど発電器官と言ってよい。この発電器官は頭側がプラス極、尾の方がマイナス極になっている(デンキナマズは逆)。発生する電圧は発電板一つにつき約〇・一五ボルトにすぎないが、数千個の発電板が一斉に発電することにより、最高電圧六〇〇~八〇〇ボルト・電流一アンペアにも達する強力な電気を発生させることができる。ただし、この高電圧は約一〇〇〇分の一秒ほどしか持続しない。デンキウナギはもっと弱い電流の電場を作ることもでき、弱い電場を作ることにより、濁った水中で障害物や獲物を探知していると考えられている』。『実際に感電するのは体に触れたときであり、デンキウナギがいる水槽にヒトがそっと手を入れるくらいであれば深刻な感電はしない。発電するには筋肉を動かすのと同じく神経からの指令を受け、ATPを消費する。そのため、疲れたり年老いたりしている個体ではうまく発電できない場合もある。またそれは、疲労した状態に追い込めば比較的安全に捕獲できるということでもあり、水面を棒などで叩いてデンキウナギを刺激して発電させ、疲れて発電できなくなったところを捕獲する漁法がある』。『デンキウナギのほかにも多種多様の発電魚が知られているが、これらの発電の主目的はおもに身辺に電場を作って周囲の様子を探ることにある。ただし、デンキウナギは他の発電魚よりも強力な電気を起こせるため、捕食と自衛にも電気を用いることができる。獲物の小魚を見つけると体当たりして感電させ、麻痺したところを捕食する。また、大きな動物が体に触れたときも発電して麻痺させ、その間に逃げる。渡河する人間やウマがうっかりデンキウナギを踏みつけて感電する事故が時折起こるが、なかには心室細動を起こした例もあるという』。『なお、発電時にはデンキウナギ自身もわずかながら感電している。しかし、体内に豊富に蓄えられた脂肪組織が絶縁体の役割を果たすため、自らが感電死することはない』とある。

「海へ行けば富山灣の名物なる「ほたるいか」を始めとして、「くらげ」や「えび」の子などに至るまで光を發する種類は頗る多い」丘先生のおっしゃる通り、陸生動物では甲虫目のホタル以外では、
   * 
「ほたるいか」頭足綱十腕形上目ツツイカ目スルメイカ亜目ホタルイカモドキ科ホタルイカ属 Watasenia scintillansウィキの「ホタルイカ」によれば(引用はアラビア数字を漢数字に代え記号の一部を省略・変更した)、『世界にはホタルイカの仲間が四〇種類ほど生息している。 日本近海では日本海全域と太平洋側の一部に分布しており、特に富山県の滑川市で多く水揚げされている。普段は二〇〇~七〇〇メートルの深海に生息している。晩春から初夏までが産卵期で、一回あたり数千個の卵を産む。交尾と産卵は同時ではない。 触手の先にはそれぞれ三個の発光器がついており、何かに触れると発光するため、敵を脅すものではないかと考えられている。体表の海底側(腹側)には細かい発光器があり、これは海底側にいる敵が海面側にいるホタルイカを見ると、海面からの光に溶け込み姿が見えなくなるカウンターシェイディング効果の役割を果たしている。海面側から海底に向かって見た場合はこの効果が働かないため、体表の海面側(背中側)には発光器はほとんど存在しない』。『光反応の全容は未解明である。しかし、セレンテラジンジサルファイト化合物(coelenterazine disulfate、二硫化セレンテラジン化合物、ルシフェリンの一種)によると考えられており、アデノシン三リン酸(ATP)とマグネシウムが大きく関与している。また、発光反応の最適温度は、摂氏五度でホタルイカの生息適温と対応している』ことなどが判明している、とある。]

 節足動物門六脚上綱内顎綱トビムシ目の一種ザウテルアカトビムシ Lobella sauteri

 

 同門甲虫目のヒカリコメツキやレイルロード・ワーム(Railroad worm:グローワームと呼ばれる生物発光を行う様々な違ったグループに属する昆虫の幼虫や幼虫形態のメス成虫に対する一般的な名称。呼称は見た眼は蠕虫に見えることに由来する。ホタル科以外では南北アメリカに棲息するPhengodidae科のホノムシ類、ハエ目ヒカリキノコバエ属等が含まれる。)

 

 同門多足亜門唇脚綱のムカデ及び同亜門ヤスデ網のヤスデの数種

 

 環形動物門貧毛綱ムカシフトミミズ科のホタルミミズMicroscolex phosphoreus

 

 軟体動物門有肺亜綱柄眼目コウラナメクジ超科ベッコウマイマイ科ヒカリマイマイ Quantula striata

 

   *

 

などがいるに過ぎず我々が日常見得るのはホタルぐらいに限られてしまうが、海産無脊椎動物では多種多彩で、

 

   *

 

 刺胞動物門花虫綱の海鰓(ウミエラ)目 Pennatulacea ウミエラ類や同目ウミサボテン亜目ウミサボテン科ウミサボテンCavernularia obesa 及び鉢虫綱旗口クラゲ目オキクラゲ科オキクラゲ Pelagia panopyra やヒドロ虫綱軟クラゲ目オワンクラゲ科オワンクラゲ Aequorea coerulescens 等のクラゲ類多種

 

 有櫛動物門のクシクラゲ類に属する多種

 

 紐形動物門のヒカリヒモムシ Emplectonema kandai

 

 棘皮動物門蛇尾(クモヒトデ)綱Ophiuroidea のヒカリクモヒトデ(学名未定?)

 

 外肛動物門のヒカリコケムシ(学名まで探索し得ず)

 

 節足動物門甲殻亜門顎脚綱貝虫亜綱ミオドコパ上目ミオドコピダ目ウミホタル亜目ウミホタル科ウミホタル Vargula hilgendorfii や軟甲綱真軟甲亜綱ホンエビ上目オキアミ目 Euphausiacea のオキアミ類・同じ顎脚綱橈脚(カイアシ)亜綱 Copepoda カイアシ類に始まって軟甲(エビ)綱十脚(エビ)目根鰓(クルマエビ)亜目サクラエビ上科サクラエビ科サクラエビ sergia lucens 等の多くのエビ類等、多数種

 

 環形動物貧毛類のヒカリウミミミズ(イソミミズ・ウミミミズ等は異名和名か) Pontodrilus matsushimensis や多毛綱ツバサゴカイ科のツバサゴカイ Chaetopterus cautus 

 

 軟体動物では二枚貝のオオノガイ目ニオガイ科カモメガイ Penitella kamakurensis や同科のツクエガイ Gastrochaena cuneiformis や、腹足網異鰓上目のウミウシ類(ヒカリウミウシ Plocamopherus tilesii・ハナデンシャ Kalinga ornate など多数)、及び、頭足類の、本文に挙げられたホタルイカ類や、ダイオウイカと並ぶ世界最大級のイカである鞘形亜綱十腕形上目スルメイカ下目サメハダホオズキイカ科クジャクイカ亜科ダイオウホオズキイカ(コロッサルイカ)Mesonychoteuthis hamiltoniaや、ムチイカ科 Mastigoteuthidae・ダンゴイカ科 Sepiolidae 等に属するイカ類、そして私の愛するコウモリダコ目コウモリダコ科コウモリダコ Vampyroteuthis infernalis やフクロダコ科 Bolitaenidae に属するタコ類等々、多数種

 

 脊索動物門尾索動物亜門ホヤ綱 Ascidiaceaヒカリボヤや尾索綱サルパ目のワサルパ属 Cyclosalpa 

 

   *

 

枚挙に暇がない程、多数産するのである。因みにこれらの生物発光はホタルと同じルシフェリン―ルシフェラーゼ反応によるもので、発光する生物の多くは、これを自ら合成するが、発光する生物を共生させてそれによって光る種や発光生物を摂餌し、それによって得られた成分を自身の発光に使う例も知られている(以上は主にウィキの「生物発光」を一部参考にしたが、各種発光生物についてはそれぞれ私が独自に確認して記載した)。

 

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