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2012/12/22

生物學講話 丘淺次郎 第六章 詐欺 二 形の僞り~(1)

    二 形の僞り

Konohamusi

[木の葉蟲]

 

 色や模樣のみならず身體の形までが何か他物に似て居れば、敵の眼を眩ますには無論更に都合が宜しい。琉球の八重山邊に産する「木の葉蝶」が枯葉に似て居ることや、内地に普通に見る桑の「枝尺取り」〔エダシャク〕が桑の小枝にそのまゝであることは、小學讀本にも出て居て餘り有名であるから、こゝには略して二、三の他の例を擧げて見よう。東印度に産する「木の葉蟲」などはその最も著しいもので、「いなご」の類でありながら身體は扁たくて木の葉の如く、六本の足の節々までが各々扁たくて小さな葉のやうに見え、翅を背の上に疊んで居ると、翅の筋が恰も葉脈の如くに見える。そして全身綠色であるから、綠葉の間に居ると誰の目にも觸れぬ。印度コロンボの博物館には、玄關の入口に生きた「木の葉蟲」が澤山飼うてあつたが、その眞に綠色の木の葉に似て居ることは誰も驚かぬ者はない。この蟲に限らず、およそ他物に酷似するには、色も形もともにその物と同じでなければならぬから、形の似て居る場合には無論色も極めてよく似て居る。

[やぶちゃん注:「木の葉蝶」鱗翅(チョウ)目アゲハチョウ上科タテハチョウ科タテハチョウ亜科コノハチョウ族コノハチョウ Kallima inachus Boisduval, 1846。インド北部からヒマラヤ・インドシナ半島・中国・台湾・先島諸島から沖縄諸島・奄美群島の沖永良部島と徳之島にかけて分布し、コノハチョウ属(Kallima 属)の中では最も広い分布域を持つ。分布域内で幾つかの亜種に分かれており、日本に分布するものは亜種 Kallima inachus eucerca Fruhstorfer, 1898 とされ、宮崎県以南で見られる。但し、参照したウィキの「コノハチョウ」には、『翅の裏側が枯葉に似るため、擬態の典型例としてよく知られた昆虫だが、疑問を呈する向きもある。もしも枯葉に似せた姿を擬態として用いるならば、枯葉を背景に羽根の裏を見せるか、枯れ枝に葉のような姿で止まるべきだと考えられるが、この蝶は葉の上で翅を広げるか、太い幹に頭を下に向けて止まるため、枯葉に似せる意味がないだろう、と云う説による』とある。種小名“inachus”はギリシア神話のイナコス河の神でオケアノスの子、イオの父で、彼は、

Pakicetus inachus パキケトゥス・イナクス(約五三〇〇万年前の新生代古第三紀始新世初期のイーペル期(Ypresian ヤプレシアン)の水陸両域に棲息していた四足哺乳動物で、現在知られる限りで最古の原始的クジラ類の化石種であるパキケトゥス属の一種)

や、

短尾下目Majoidea 上科 Inachidae Inachus 属(和名はヨツバイソガニか)の属名など多くの使用例があって好まれる名であるらしい。属名の意味は遂に分からなかった。

「枝尺取り」昆虫綱チョウ目シャクガ科 Geometridae の幼虫の総称であるシャクトリムシの内、特にエダシャク(枝尺)亜科 Ennominae にこの和名がある。ウィキの「シャクトリムシ」によれば、『シャクガの幼虫は、他のイモムシと比べて細長いものが多い。通常のイモムシは体全体にある足と疣足を使い、基物に体を沿わせて歩くが、シャクトリムシは体の前後の端にしか足がない。そこで、まず胸部の歩脚を離し、体を真っ直ぐに伸ばし、その足で基物に掴まると、今度は疣足を離し、体の後端部を歩脚の位置まで引き付ける。この時に体はU字型になる。それから再び胸部の足を離し、ということを繰り返して歩く。この姿が、全身を使って長さを測っているように見えることから、「尺取り虫」と呼ばれる』とあり、『エダシャク亜科には、木の枝に擬態するシャクトリムシがいる。そのような種では、体表が灰褐色の斑など、樹皮に紛らわしい色をしている。そうして、自分より太い木の枝の上で、後端の疣足で体を支え、全身を真っ直ぐに緊張させ、枝の上からある程度の角度を持って立ち上がり、静止すると、まるで先の折れた枯れ枝にしか見えなくなる。昔、農作業の際、茶を土瓶に入れて持参し、枯れ枝のつもりでこのようなシャクトリムシに引っ掛けると、当然ながら引っ掛からずに落ちて土瓶が割れる。それで、この様なシャクトリムシを「土瓶落とし」と呼んだという』とあるので、丘先生が尺取虫とせずに『枝尺取り』としたのは極めて正確であることが分かる。亜科名“Ennominae”はギリシア語の“ennomos”(法にかなった)で、いやこりゃもう、謂い得て妙である。

「木の葉蟲」ナナフシ目コノハムシ科 Phyllidae の昆虫で、熱帯アジアのジャングルに広く分布しており、二十種ほどが確認されている。ウィキコノハムシ科」によれば、『草食性で、メスは前翅が木の葉のようになっており、翅脈も葉脈にそっくりで、腹部や足も平たく、飾りのための平たい鰭もあり、木の葉に擬態することができる。一方、オスは細長い体型で、腹部のほとんどが露出しているため木の葉に似てないが、後翅が発達していて飛ぶことが出来る。周囲の色によっては、黄色や茶色の個体も見られる』とある。科名“Phyllidae”はギリシア語で「葉」を意味する“phyllon”に由来する。]

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