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2013/01/05

金草鞋 箱根山七温泉 江之島鎌倉廻 東海道三嶋宿

    東海道三嶋宿(じゆく)

 

 

金草鞋二十三編目、伊豆の國記行の卷(まき)は、東海道三嶋の驛にておはる。その次、この編は、三嶋よりはじまりて、箱根の七湯めぐり、富士街道蓑毛道(みのげみち)より大山にいたるゆへ、三嶋・箱根を、はじめにあらはす。二編目、東海道の卷に、箱根・三嶋の驛くわしくしるしあれば、こゝには略す。

 箱根の宿(しゆく)をうちすぎ、賽の河原の先、權現坂より芦の湯へゆく道あり。序でなれば、その坂の取り付きより左の方(かた)、湖(みづうみ)の端をまはりて、權現の御宮にまいる。

〽狂 しのをつくいきづへほどの

 ゆふだちにはこねの山を

     おほふくもすけ

旅人

「井守(いもり)を黑燒にして、女にふりかけると、その女がほれてくるといふ事だから、儂(わし)はこの前、此箱根の山で井守を見つけたから、それをとつてかへつて、黑燒にして、女にふりかけて見ましたが、さつぱり、効目(きゝめ)が見へませぬから、これはどうした物だと、よくよくかんがへて見ましたら、井守ではなくて、此箱根の名物、山椒魚(さんせふうを)でございました。

「儂はまた、井守の黑燒も何も、もちいませぬが、とかく女がほれて、こまりきります。それで今度(こんど)も、餘所(よそ)の娘(むすめ)にほれられて、『どふぞ、つれてにげてくれゐ』と、なきついてたのみますから、仕方(しかた)なしにつれ立て旅へ出かけましたが、わかい女をつれて道中するのは、心つかひな物でござります。」

イヤ御前(おまへ)、女と二人連れだといひなさるが、見れば御前一人、その女はどういたしました。」

イヤそれは昨日(きのふ)まで一緒にあるきましたが、昨日、大勢、追手(おつて)の奴等(やつら)がきて、私(わたし)をば、さんざんにぶちのめし、娘をとりかへされ、『これからは、うぬ一人(ひとり)勝手次第に何處(どこ)へなりともゆきおれ』とつきだされましたから、それで今日(けふ)は私一人で、勝手次第に何處へなりと、ゆくつもりでござります。」

[やぶちゃん注:「二編目」「金草鞋 第二編」は品川から始まり、大津に終わる東海道の巻。

「賽の河原」現在の神奈川県足柄下郡箱根町元箱根芦ノ湖の湖畔、箱根神社の大鳥居の近くにある。江戸時代は地蔵信仰の霊地として東海道を旅する人々の信仰を集め、かなりの規模であったらしいが、明治の廃仏毀釈で衰退、現在は少数の石塔・石仏が整然と並んでいるだけである。

「いきづへ」息杖。駕籠かきや荷上げ人などが体のバランスをとったり、一休みする際に荷物を支えたりするために用いた長い杖。

「井守を黑燒にして、女にふりかけると、その女がほれてくる」古代中国で、男性が守宮(ヤモリ)に朱(丹砂。水銀と硫黄の化合物。)を食べさせて飼い、その血を採って既婚の婦人に塗っておくと、その婦人が不貞を働いた場合、その印(しるし)が消えるとされた。これが本邦に、形状の似るイモリに取り違えて伝えられ、あろうことか更に逆ベクトルの催淫効果へと変質したものである。この辺りのことは、私の電子テクストである南方熊楠の「守宮もて女の貞を試む」及び寺島良安の「和漢三才圖會 卷第四十五 龍蛇部 龍類 蛇類」の「蠑螈」(イモリ)及び「守宮」(ヤモリ)及び「避役」(インドシナウォータードラゴン)の部分等を参照されたい。

「山椒魚」両生綱有尾目サンショウウオ亜目サンショウウオ科ハコネサンショウウオ Onychodactylus japonicus。日本固有種で、本邦に生息するサンショウウオ中で唯一、肺を持たず皮膚呼吸のみを行っている種である。黒焼きが精力剤として知られ、他にも子供の疳の虫(男児には♂を女児には♀を服用)や肺病に効能があるとされた。酒の肴として天麩羅や踊り食いもある。主題の下ネタ繋がりと御当地グルメである。]

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