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2013/04/07

かなしい遠景 萩原朔太郎 (「月に吠える」版)

 かなしい遠景

かなしい薄暮になれば、

勞働者にて東京市中が滿員なり、

それらの憔悴した帽子のかげが、

市街(まち)中いちめんにひろがり、

あつちの市區でも、こつちの市區でも、

堅い地面を掘つくりかへす、

掘り出して見るならば、

煤ぐろい嗅煙草の銀紙だ。

重さ五匁ほどもある、

にほひ菫のひからびきつた根つ株だ。

それも本所深川あたりの遠方からはじめ、

おひおひ市中いつたいにおよぼしてくる。

なやましい薄暮のかげで、

しなびきつた心臟がしやべるを光らしてゐる。

[やぶちゃん注:詩集「月に吠える」初版(大正六(一九一七)年二月感情詩社・白日社出版部共刊)の「悲しい月夜」の巻頭詩。私は、

 紫色の顏 → 帽子のかげ

 (なし) → なやましい薄暮かげで

 空腹の勞働者が → しなびきつた心臟が

といった、このサンボリスムの微妙な截ち入れが行われたものよりも、初出の方の、イタリア・ネオリアイリスモ風の映像的な詩の方が好きだ。私にとっては「本所深川」じゃだめ――「本所淺草」でなくっちゃ――いけないんだ。何より朗読して御覧! 遙かに初出の韻律の方がスラーだって……。]

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