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2013/05/01

天上縊死  萩原朔太郎 (「天上縊死」草稿2)

  屍體

  天上縊死

 

遠夜に光る松の葉に

懺悔の涙したゝりて

遠夜の空にいちぢるき(しもしろき

          つり

天上の松にくびをかけ

          たて

天上の松に凍る→戀ふる→こがれ戀ふるより

光れる松の木末より

合 掌 の

    さまにつるされぬ

いのれる

光れる

   松を戀ふるより

天上の

いのれるさまにつるされぬ

          十二、二十七、

 

[やぶちゃん注:底本第一巻の「草稿詩篇 月に吠える」の『「天上縊死」(原稿七種八枚)』の纏まった二つ目。「いちぢるき(しもしろき」の「ぢ」と丸括弧トジルの欠落はママ。取り消し線は抹消を示す。「→」の末梢部分は、ある語句の明らかな書き換えがともに末梢されたことを示す。「つり」と「たれ」、「合掌の」と「おのれる」、「光れ」と「天上の」はそれぞれ、原稿では上または下の詩句に並置されてある。最後のは十二月二十七日のクレジット。「月に吠える」初版は大正一一(一九二二)年三月発行であるから、大正一〇(一九二一)年以前である。

 なお、これが私が先に犀星の「月に吠える」の跋健康都市」の注で示唆した草稿である。「天上の松に凍る」という犀星の引用する「凍れる松が枝」という同じイメージが一瞬、朔太郎の詩想を過っていることが分かる。
 抹消部を除去すると、


  天上縊死


遠夜に光る松の葉に
懺悔の涙したゝりて
遠夜の空にいちぢるき(しもしろき
        つり
天上の松にくびを
        たて
天上の松に戀ふるより
合 掌 の
    さまにつるされぬ
いのれる
光れる
   松を戀ふるより
天上の
いのれるさまにつるされぬ
          十二、二十七、


となる。]

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