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2013/07/28

『風俗畫報』臨時増刊「江島・鵠沼・逗子・金澤名所圖會」より江の島の部 11 失われた鐘の銘

    ●鐘の銘

舊下宮の左側にありしが神佛分離の際(さい)之を毀(こぼ)てり。鐘銘は諸書に載せたれは左に掲く。

[やぶちゃん注:以下、鐘銘は底本では全体が一字下げ。]

   奉冶鑄金龜山與願寺宇賀辨才天女下宮鐘銘

大日本國東海道相摸州江島者。從金輪際湧出之靈島歟。福神託居之巖窟焉。加之人王三十代欽明天皇十三壬申歳自四月十二日戌刻。當于江野南海湖水之水門。雲霞暗掩海上。日夜大地六種震動。天女顯現雲上。童子侍立左右。諸天龍神水火雷電山神鬼魅夜叉羅刹從天降盤石。從海擧砂礫。電光輝空。火焔交白浪。同及于二十三日辰刻。雲去霞散。見海上有島山耳。今之三神山是也。抑此神將王者天地之起々。陰陽之初々也。聞法年舊誰知空王往事。利生日新何如尊神現德乎。本地則等覺妙覺之尊。大慈大悲之濟渡幾久迹。天童天女之體。與官與福。利益是新矣。因玆役優婆塞詣此山。越知泰澄居當島傳教窗前發願影向。弘法床上對請恒臨。慈覺念時常隨給仕。安然行場應滿知。所以顯密權實宗宗々被冥助。文武商農家家々仰靈驗矣。肆信心之檀越等。攸奉冶鑄。蒲牢一聲上徹梵天頂。下響地輪底。此土耳根利故遍用聲塵。三寶證明之。諸天衛護之。總而天長地久。御願圓滿。別而施主懸志於辨天本願。任誠於大悲誓約。所祈善願令悉地成就。而已。維時寛永十四丁丑曆閏彌生吉祥日。天台傳燈三部都法大阿闍梨法印生順謹書。下宮別當職權大僧都法印長伸稽首敬白。

[やぶちゃん注:「從金輪際湧出之靈島歟」の最後の「歟」は底本ではカスレた「與」と思しい字である。「新編鎌倉志卷之六」所収の鐘銘で「歟」に訂した。

「大慈大悲之濟渡幾舊久迹」「新編鎌倉志卷之六」所収の鐘銘では「久」ではなく「舊」である。

「亦天童天女之體」「新編鎌倉志卷之六」所収の鐘銘では頭に「亦」が入る。

「與官與福。之利益是新矣」「新編鎌倉志卷之六」所収の鐘銘では間に「之」が入り、「與官與福之利益是新矣」と連続した文章となっている。

「役優婆塞請此山」「新編鎌倉志卷之六」所収の鐘銘では「役優婆塞詣此山」である。誤植の可能性が高いように思われるがママとした。

 以下、「新編鎌倉志卷之六」で私が注で示した本文の訓読を参考にしながら、ここでの訓点に従って鐘銘を我流に書き下したものを示す。

 

  冶鑄(やちう)し奉る 金龜山與願寺宇賀辨才天女 下の宮の鐘銘

大日本國東海道相摸の州江の島は、金輪際より湧出するの靈島か、福神託居の巖窟なり。加之(しかのみな)らず、人王三十代欽明天皇十三壬申の歳、四月十二日戌の刻より、江野(がうや)の南海、湖水の水門に當りて、雲霞、暗に海上を掩(おほ)ひ、日夜、大地六種震動す。天女、雲上に顯現し、童子左右に侍立す。諸天龍神・水火雷電・山神鬼魅・夜叉羅刹、天より盤石を降らし、海より砂礫を擧ぐ。電光、空に輝き、火焔、白浪に交ぢる。同二十三日辰の刻に及びて、雲去つて、霞散じ、海上に島山有るを見るのみ。今の三神山、是れなり。抑(そもそも)此の神將王は、天地の起々、陰陽の初々なり。聞法(もんぱう)、年、舊(ふ)りて、誰(たれ)か空王の往事を知らん。利生、日々に新たなり。尊神の現德を何如せんや。本地は則(ち)等覺妙覺の尊、大慈大悲の濟渡、幾(やうや)く久しく迹たり。天童天女の體(てい)、官を與へ、福を與ふ。利益、是れ、新たなり。玆に因りて役の優婆塞、此山を請ひ、越知の泰澄、當島に居り、傳教、窗前に影向(やうがう)を發願(ほつぐわん)し、弘法、床上に恒に臨みて對して請ひ、慈覺、念時に常に隨ひて給仕す。安然の行場、應に滿知すべし。所以(このゆへ)に、顯密權實の宗、宗々、冥助を被り、文武商農の家、家々、靈驗を仰ぐ。肆(かかるがゆへ)に信心の檀越(だんをつ)等、冶鑄し奉る攸(ところ)なり。蒲牢一聲、上は梵天の頂きに徹し、下は地輪の底に響く。此の土、耳根、利なり。故に遍く聲塵を用ゆ。三寶、之を證明し、諸天、之を衛護す。總じては天長地久、御願圓滿。別しては施主、志を辨天の本願に懸け、誠を大悲の誓約に任せ、祈る所の善願、悉地(しつち)成就せしめんと、まくのみ。維れ、時、寛永十四丁丑の曆、閏彌生吉祥日。天台傳燈三部都法大阿闍梨法印生順、謹みて書す。下の宮の別當職權大僧都法印長伸、稽首し敬ひて白(いは)く。

 

「欽明天皇十三壬申歳」は西暦五五二年。「寛永十四丁丑の暦」西暦一六三七年。]

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