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2013/08/22

日本その日その日 E.S.モース(石川欣一訳) 第八章 東京に於る生活 12 彫師と挽物師

M206


図―206

 木版職人が仕事している所も、中々興味がある。彼等か我国でするように小口を刻みはせず、木理の面を刻むが、スーッスーッと非常に速く刀を使う。印形を彫るには、我国の木彫と同様、小口をきぎみ、そして木も黄楊のように見えるから、我国のと同じものなのであろう。人は誰でもみな印形を持っている。買物をすると、受取書は赤い色の印形で調印される。印形の漢字は、我々が同様の目的に、古代英語の文字を使用するであろうが如く、古代の様式のが書かれる。図206は手当り次第集めた印形のいくつかを示している。書物の多くは一頁大の版木から印刷される。写字者が一頁を、薄い透明な紙に書き、この紙を表面を下に版木にはりつけるから、透いて見える字はひっくり返しになる。彫み手はさきの鋭い小刀を、しつかりと手に持ち、それを手前へ素速く動かして、紙ごと木を彫む。字の輪郭を彫り終ると、円鑿(のみ)で間にある木を取り去る。往来に面して開いた、ある小さな部屋で、七人の彫刻師が働いていた。四人が一列になり、残り三人はそのすぐ後に、これも一列になっていた。彼等は高さ一フィートの卓子(テーブル)を前に、例の如く床に坐って、人々が見つめ、時々光線をさえぎるのも平気で、働き続けた。
[やぶちゃん注:「手当り次第集めた印形のいくつかを示している」とあるが図は一つしかない。石川氏も直下に『〔?〕』と割注を入ておられる。この篆刻の字、どなたか読めませんか?]

M207

図―207

 挽物(ろくろ)師が木の細工をする有様も、同様に奇妙である。旋盤は簡単な一本の回転軸で、それに皮帯を五、六回捲きつけ、皮帯の両端は環になっていて、挽物師はここに両足を入れる。彼は旋盤の一端に坐り、両脚を上下に動かして回転軸を前後に回転させ、この粗末で原始的な方法で、非常にこまかい入籠(いれこ)の箱その他をつくる(図207)。別の場所では、一人の男が何等かの金属性のものを旋盤にかけ、男の子が皮帯を前後に引っぱっていた。

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