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2013/09/25

易水に根深流るる寒さ哉かな 蕪村 萩原朔太郎 (評釈)

   易水に根深(ねぶか)流るる寒さ哉かな

 

「根深」は葱の異名。「易水」は支那の河の名前で、例の「風蕭々として易水寒し。壯士一度去つてまた歸らず。」の易水である。しかし作者の意味では、そうした故事や固有名詞と關係なく、單にこの易水といふ文字の白く寒々とした感じを取つて、冬の川の表象に利用したまでであらう。後にも例解する如く、蕪村は支那の故事や漢語を取つて、原意と全く無關係に、自己流の詩的技巧で驅使してゐる。

  この句の詩情してゐるものは、やはり前の「葱買て」と同じである。即ち冬の寒い日に、葱などの流れて居る裏町の小川を表象して、そこに人生の沁々とした侘びを感じて居るのである。一般に詩や俳句の目的は、或る自然の風物情景(對象)を敍することによつて、作者の主觀する人生觀(侘び、詩情)を咏嘆することにある。單に對象を觀照して、客觀的に描寫するといふだけでは詩にならない。つまり言えば、その心にを所有してゐる眞の詩人が對象を客觀的に敍景する時にのみ初めて俳句や歌が出來るのである。それ故にまた、すべての純粹の詩は、本質的に皆「抒情詩」に屬するのである。

 

[やぶちゃん注:昭和一一(一九三六)年第一書房刊「郷愁の詩人與謝蕪村」の「冬の部」より。太字部分は底本では傍点「●」。引用は「史記」の中でも最も知られた「列傳卷八十六」の「刺客列傳第二十六 荊軻」で、始皇帝暗殺のための死の覚悟を込めて彼が詠む詩、「風蕭蕭兮易水寒、壯士一去兮不復還」に基づく。]

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