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2013/12/24

くろんぼ踊り 萩原朔太郎 (未発表詩篇)

 くろんぼ踊り

 

くろんぼ踊りのすさまじさ

肉慾淫樂踊りのすさまじさ

くつつく

ひつつく

ひつかく、つめる、

くすぐる、だきつく、

お禮に接吻

足に接吻

指に接吻

くるめくトニイのはだかの肉體

くろんぼ女の淫慾強烈

もつとも猛烈

トニイの體が血だらけとなり

トニイが倒れて叫ぶの息が絶えるまで

くんろぼの女の淫慾やまずすます、

舌とさきすつぽり齒の隱間にうかち入り

そうして息が絶えるまで

くろんぼ女の淫慾やすまず

ますますやすまず、

くろんぼ同志が肉體摩際のはげしきさ遊戲に、

くろんぼ炎日白日炎炎赤道炎々くるめくくるめく天は白金、熱體地方のことなればひるひかな、

くろんぼ踊りのすさまじさ、

肉慾踊りのすさまじさ、

 

[やぶちゃん注:筑摩版全集第三巻「未發表詩篇」より。取り消し線は抹消を示し、その抹消部の中でも先立って推敲抹消された部分は下線附き取り消し線で示した。「→」の末梢部分は、ある語句の明らかな書き換えがともに末梢されたことを示す。幾つかの誤字と思われるものもそのまま写した。底本改訂本文では以下のようになっている。

 

 くろんぼ踊り

 

くろんぼ踊りのすさまじさ

淫樂踊りのすさまじさ

くつつく

ひつつく

ひつかく、つめる

くすぐる、だきつく

お禮に接吻

足に接吻

指に接吻

くるめくトニイのはだかの肉體

くろんぼ女の淫慾強烈

もつとも猛烈

トニイの體が血だらけとなり

トニイの息が絶えるまで

くろんぼ女の淫慾やすまず

舌さきすつぽり齒の隙間にうがち入り

さうして息が絶えるまで

くろんぼ女の淫慾やすまず

ますますやすまず

くろんぼ同士が肉體摩擦のはげしき遊戲に

くるめくくるめく天は白金、熱帶地方のひるひなか

くろんぼ踊りのすさまじさ。

 

と句読点から何から何まで御説御尤もな完膚無きまでの『訂正』が施されて、実に美々しい優等生の装いとなっている。これはまさに写真館で撮ったお澄ましの余所行きの出で立ちだ。何度も申し上げるが、私は筑摩版全集の『訂正』本文なるものを、詩人の全集の定本本文と素直に認めることに頗る躊躇を感じているものである。

 なお、私は本詩は特に「トニイ」という固有名詞から、何らかの活動写真(映画)を素材としているように思われる。ふと浮かんだのは Josephine Baker なのだが。識者の御教授を乞うものである。]

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