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2014/02/26

存在   山之口貘

 存在

 

僕らが僕々言つてゐる

その僕とは、僕なのか

僕が、その僕なのか

僕が僕だつて、僕が僕なら、僕だつて僕なのか

僕である僕とは

僕であるより外には仕方のない僕なのか

おもふにそれはである

僕のことなんか

僕にきいてはくどくなるだけである

 

なんとなればそれがである

見さへすれば直ぐにも解る僕なんだが

僕を見るにはそれもまた

もう一廻はりだ

社會のあたりを廻はつて來いと言ひたくなる。


[やぶちゃん注:初出は一応、昭和一一(一九三六)年五月号『現代詩』であるが、この雑誌は詳細が不詳である(参考データは思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」の解題に載るので参照されたい)。

 原書房刊「定本山之口貘詩集」では十四行目が、

もう一廻りだ

に、十五行目が、

社會のあたりを廻つて來いと言ひたくなる。

に改稿されており、総ての句読点が除去されている。【2014年6月14日追記】思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」と対比検証し、注の一部を改稿した。]

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