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2014/02/20

思辨   山之口貘


 思辨

 

科學の頂點によぢのぼる飛行機類

海を引き裂く船舶類

生きるとかいふ人間類

 

ではあるが

生きつ放しの人間なんてないもんか

生きるのであらうかと思つて見てゐるとみるみるうちに死んでしまふ人間類

ゆきつ放しの船舶なんてないもんか

出帆したのかと思つてゐたら戻つて來てゐる船舶類

飛びつ放しの飛行橙なんてないもんか

昇天するのかと思ふまに垂下して來る飛行機類

 

まるで

風におびえる蛾みたいに

金粉を浴びては

翅をたゝみ

胴體にひそんでは

ふるえあがり

文明ともあらう物達のどれもこれもが夢みるひまも戀みるひまもなく 米や息などみるひまさへもなくなつてそこにばたばたしてゐても文明なのか

あゝ

かゝる非文化的な文明らが現實すぎるほど群れてゐる

みんなかなしく古ぼけて

むんむんしてゐる神の息吹を浴び

地球の頭にばかりすがつてゐる。


[やぶちゃん注:【以下、2014年6月6日 ミス・タイプを訂正、思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」と対比検証により全面改稿】初出は昭和一一(一九三六)年十一月発行の『歴程』で、後の昭和一六(一九四一)年二月発行の『歴程詩集 紀元二千六百年版』に先に示したように「加藤淸正」「友引の日」「彈痕」「日曜日」の四篇とともに再録された。

 原書房刊「定本 山之口貘詩集」では七行目が、

生きるのであらうかと思つて見てゐると みるみるうちに死んでしまふ人間類

に、十九行目が、

文明ともあらう物達のどれもこれもが 夢みるひまも戀みるひまもなく 米や息などみるひまさへもなくなつてそこにばたばたしてゐても文明なのか

に改稿されている。]

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