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2014/02/04

大和本草卷之十四 水蟲 蟲之上 石蠶

石蠶 此虫山中ノ石河ノ瀨ニアリ口中ヨリカイコノ絲ノ

如ナルイトヲ吐出シ河ノ小石ヲ絲ヲ以テツヽリ合セ其中ニ

スム蟲ナリ其形ハ蠶ノコトクニシテ堅ク色靑黑色山中ノ

人ノ魚ヲツルニコレヲ取テ餌トス本草卵生蟲類ニノセタリ

正誤ノ韓保昇之説良

〇やぶちゃんの書き下し文

石蠶(せむし) 此の虫、山中の石河の瀨にあり。口中よりかいこの絲のごとくなるいとを吐き出だし、河の小石を絲を以つてつゞり合はせ其の中にすむ蟲なり。其の形は蠶〔かいこ〕のごとくにして堅く、色、靑黑色。山中の人の魚をつるに、これを取りて餌とす。「本草」は卵生蟲類にのせたり。正誤の韓保昇(かんほしやう)が之の説、良し。

[やぶちゃん注:「石蠶」昆虫綱毛翅上目トビケラ目 Trichoptera に属する昆虫類の幼虫。「せむし」とは「瀬虫」の謂いであろう。以下、ウィキの「トビケラ」によれば、トビケラ目は毛翅目ともいい、ほとんどの種で翅が刺毛に覆われている。全世界で四十六科一万二千種以上が確認されており、日本ではそのうちの二十九科四百種以上の生息が認められている。成虫の体は管状で長い糸状の触角を持ち、羽根を背中に伏せるようにして止まる姿は一部の蛾の類に似る。完全変態をし、幼虫は殆どの種が水生で、細長いイモムシ状だが胸部の歩脚はよく発達する。頭胸部はやや硬いが、腹部は膨らんでいて柔らかい。また、腹部に気管鰓を持つものも多い。砂や植物片を自ら出す絹糸に絡めて円筒形その他の巣を作る種が多い。その巣の中で蛹化し、羽化の際には蛹自らが巣を切り開いて水面まで泳ぎ上がり、水面や水面上に突きだした石の上などで成虫となる(一部の種では水中羽化も報告されている)。『水生昆虫としては流水性のそれとして』カワゲラ(カワゲラ目 Plecoptera)やカゲロウ(有翅亜綱旧翅下綱 Ephemeropteroidea 上目蜉蝣(カゲロウ)目 Ephemeroptera)『と肩を並べる。幼虫の生活する水域は種によって異なる。渓流やきれいな川に多いが、湖沼や池などの止水にも生息する。そのほか小さな湧水や岩盤を滴る流れにも生息する種がある。海産や陸生種もわずかだが知られる。ただし最近のスカンジナビアやカナダにおける研究では,汽水域には予想以上に多くの種が生息すると報告されている。日本の汽水域における研究は皆無である』。本項に出る『トビケラ類の幼虫はいさご虫(沙虫)と呼ばれ、水中生活で、多くが巣を作る事で有名である。巣は水中の小石や枯れ葉などを、幼虫の出す糸でかがって作られる。巣の型には大きく携帯型(移動できる)のものと固定型の2つがある』。『もっとも一般的なのは、落葉や砂粒・礫などを綴り合わせて作られる鞘状や筒状の巣で、携帯巣(けいたいそう)、筒巣(とうそう)あるいはケーシング(casing)と呼ばれる。体がぴったり入る大きさで、前方から頭胸部を出して移動したり採餌したりするもので、言わば水中のミノムシ状態である。水中の植物質を餌とするものが多く、礫で巣を造るニンギョウトビケラ』(人形飛螻蛄 Goera japonica)などが知られる。『これに対して、シマトビケラやヒゲナガカワトビケラなど「造網性」と呼ばれる種類の作る巣は、渓流などの石に固定されており、その一部に糸による網が作られ、ここにひっかかった流下微粒子を食べる』(巣を形成しない例外種もある)。以下はその営巣のパターン。

・シマトビケラ科Hydropsychidae やヒゲナガカワトビケラ科 Stenopsychidae など――乱雑な巣を植物片や小礫で形成

・ヒゲナガトビケラ科 Leptoceridae ――砂粒や植物片など様々な素材を用いた筒型の巣を形成

・トビケラ科 Phryganeidae ――植物片を螺旋状などに編んで巣を形成

・キタガミトビケラ科 Limnocentropodidae ――円錐形の巣を形成して末端を石などに固定

『多くは渓流の水生昆虫か、明かりに飛んで来る小さな虫であって、直接の利害はない。ただし、長野県では渓流の水生昆虫をザザムシと呼んで食用にする。その中心はヒゲナガカワトビケラ』類で、『その他の利用としては、渓流釣りに於ける餌として使われ』る。『特殊な利用例として、山口県岩国市の錦帯橋付近で』かなり古くから『ニンギョウトビケラの巣を土産物として販売している。この種は筒巣の両側にやや大きめの砂粒を付け、蛹化する際には前後端に砂粒をつけて蓋をする。この後端の石を頭に見立て七福神や大名行列を作る』。トビケラは『河川では数の多い昆虫であり、多くの種があることから、カワゲラやカゲロウと並んで河川の水質調査の際の指標生物とされる。特に、シマトビケラやヒゲナガカワトビケラなどの造網性の種は、水中の小石が増水等で移動するような場所では安定して生活できないと考えられる。そこで水生昆虫の中にこの類の占める割合を造網係数と呼び、河川の安定を示す指標と考えている』とある。

 次に以下に本記載で問題となっている「本草綱目」の原文を総て示す(中文繁体字版の「維基文庫」の「本草綱目 蟲之一」を参考にしたが、私は総てを読解出来ているわけではないので変更・追加した記号等の位置には誤りがあるかも知れない。必ず原文を当たられたい。さればこそ特に語注も附さない)。

   *

石蠶(「本經」下品)

【校正】

並人有名未用石蠹蟲。

【釋名】

沙虱(「本經」)、石蠹蟲(「別錄」)。

弘景曰、「沙虱乃東間水中細蟲。人入水浴、著身略不可見、痛如針刺、挑亦得之。今此或名同而物異耳。」。

時珍曰、「按「普本草」沙虱作沙蚌。」。

【集解】

別錄曰、「石蠶生江漢池澤。」。

宗奭曰、「石蠶在處山河中多有之。附生水中石上、作絲繭如釵股、長寸許、以蔽其身。其色如泥、蠶在其中、故謂之石蠶、亦水中蟲耳。方家用者稀。」。

「別錄」曰、「石蠹蟲生石中。」。

藏器曰、「石蠹蟲一名石下新婦、今伊芳洛間水底石下有之。狀如蠶、解放絲連綴小石如繭。春夏羽化作小蛾、水上飛。」。

時珍曰、「本經」石蠶、「別錄」石蠹、今觀陳、寇二及主治功用、蓋是一物無疑矣。又石類亦有石蠶、與此不同。

【正誤】

弘景曰、李當之云、『石蠶江左不識、謂爲草根。其實類蟲、形如老蠶、生附石上。傖人得而食之、味鹹微辛。所言有理、但江漢非傖地。大都是生氣物、如海中蛤、蠣輩、附石生不動、皆活物也。今俗用草根、黑色、多角節、亦似蠶。恐未是實、方家不用。

恭曰、「石蠶形似蠶、細小有角節、靑黑色、生江漢側石穴中。岐、隴間亦有、北人多不用、采者遂耳。」。

韓保升曰、「李謂是草根、陶謂是生氣物。蘇恭之、半似草、半似蟲、皆妄矣。此蟲所在水石間有之、取爲鉤餌。馬湖石間最多、彼人啖之、云、鹹、微辛。」。

頌曰、「石蠶。陶、蘇都無定論、「蜀本」之説爲是。今川、廣中多有之。其草根之似蠶者、亦名石蠶、出福州。今信州山石上、四時常有之、亦采入藥。詳見菜部草石蠶下。」。

【氣味】

鹹、寒、有毒。

保升曰、「鹹、微辛。」。

普曰、「雷公、『鹹、無毒。』。」。

【主治】

五癃、破石淋墮胎。其肉解結氣、利水道、除熱(「本石蠹蟲」)、主石癃、小便不利(「別錄」)。

【發明】

宗奭曰、『石蠶謂之草者、謬也。「經」言肉解結氣、注中更。』。

時珍曰石蠶連皮殼用也、肉則去皮殼也。

【附錄】

雲師、雨虎

時珍曰按「遁甲開山圖」云、「霍山有雲師、雨虎。」。「榮氏注」云、「雲師如蠶、長六寸、有毛似兔。雨虎如蠶、長七、八寸、似蛭。雲雨則出在石上。肉甘、可炙食之。此亦石蠶之類也。」。

   *

「正誤」前掲「本草綱目」の「正誤」の巻の記載。

「韓保昇」五代後蜀の本草学者。「重廣英公本草」(通称「蜀本草」)二十巻など。当該項を勝手自在に訓読して訳してみると、

〇やぶちゃんの書き下し文

韓保升曰く、「李の謂ひは、是れ草根なり、陶の謂ひは、是れ生氣の物なりと。蘇恭の説は、半ばは草に似て、半ばは蟲に似るとせるも、皆、妄たり。此の蟲の所在は水石の間に之れ有り、取りて鉤餌と爲す。馬湖の石間に最も多く、彼の人は之れを啖(くら)ふに、云はく、『鹹(かん)にして、微辛なり。』と。」。

〇やぶちゃん現代語訳

韓保升の説に、「李氏の解説はこれを草の根、植物とし、陶氏の解説は、これを生気の凝り固まった物質であるとする。蘇恭の説では、半ばは草に似ており、半ばは虫に似ているとするが、これら三説は皆、これ、妄説である。これは虫であり、その棲息する場所は水底の石の間であって、採ってこれを釣り餌とする。馬湖の川床の石の間に最も多く見られ、かの地の土民はこれを採って食べるが、その味は『塩辛く、微かに辛みを帯びる。』とのことである。」と。]

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