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2014/03/20

萩原朔太郎「ソライロノハナ」より「午後」(4) たそがれ Ⅰ

 たそがれ

 

海ちかき殖民地をばたそがれて

そゞろありきす如きさびしみ

 

[やぶちゃん注:「殖民地」はかく書く場合もある。]

 

淡雪の解くる岡邊に一人きて

はこべをつむもなぐさまぬ哉

 

冬の日は淋しく沈む野に出でゝ

日暮れはものを思ふならはし

 

ちゆうりつぷの花咲く頃はうらぶれし

我も野に出で口笛を吹く

 

君まつと昔いくたび佇みし

門の扉にかゝる落日

 

場末なる酒屋の窓に身をよせて

悲しき秋の夕雲を見る

 

[やぶちゃん注:朔太郎満二十六歳の時の、大正二(一九一三)年十月二十八日附『上毛新聞』に発表した連作の一首、

 塲末(ばすへ)なる酒場(さけば)の窓(まど)に身(み)をよせて悲(かな)しき秋(あき)の夕雲(ゆうぐも)を見(み)る

の表記違いの相同歌。]

 

宿醉のあしたの床にふと思ふ

そのたまゆらの鈍き悲しみ

 

晝過ぎのホテルの窓に COCOA のみ

くづれし崖の赫土をみる

 

[やぶちゃん注:「赫土」はママ。朔太郎満二十三歳の時の、『スバル』第二年第一号(明治四三(一九〇二)年一月発行)に掲載された連作の一首、

 窓ひるすぎの HOTEL の窓に COCOA のみくづれし崖のあかつちをみる

の表記違いの相同歌。]

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