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2014/03/27

ひそかな対決   山之口貘

 ひそかな対決

 

ぱあではないかとぼくのことを

こともあろうに精神科の

著名なある医学博士が言ったとか

たった一篇ぐらいの詩をつくるのに

一〇〇枚二〇〇枚だのと

原稿用紙を屑にして積み重ねる詩人なのでは

ぱあではないかと言ったとか

ある日ある所でその博士に

はじめてぼくがお目にかかったところ

お名前はかねがね

存じ上げていましたとかで

このごろどうです

詩はいかがですかと来たのだ

いかにもとぼけたことを言うもので

ぱあにしてはどこか

正気にでも見える詩人なのか

お目にかかったついでにひとつ

博士の診断を受けてみるかと

ぼくはおもわぬのでもなかったのだが

お邪魔しましたと腰をあげたのだ

 

[やぶちゃん注:【2014年6月27日追記:思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」と対比検証により、注を全面改稿した。】初出は昭和三八(一九六三)年三月号『小説新潮』。思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」では清書原稿を本文テクストとしており、有意な異同が見られるので以下に全篇を示す。


 ひそかな対決


ぱあではないかとぼくのことを

こともあろうに精神科の

著名なある医学博士が言ったとか

たった一篇ぐらいの詩をつくるのに

一〇〇枚二〇〇枚三〇〇枚だのと

原稿用紙を屑にして積み重ねる詩人なのでは

ぱあではないのかと言ったとか

ある日ある所でその博士に

はじめてぼくがお目にかゝったところ

お名前はかねがね

存じ上げていましたとかで

このごろどうです

詩はいかがですかと来たのだ

いかにもとぼけたことを言うもので

ぱあにしてはどこか

正気にでも見える詩人なのか

お目にかゝったついでにひとつ

博士の診断を受けてみるかと

ぼくはおもわぬのでもなかったのだが

お邪魔しましたと腰をあげたのだ


……このバクさんを……「ぱあではないか」……「たった一篇ぐらいの詩をつくるのに」「一〇〇枚二〇〇枚三〇〇枚だのと」「原稿用紙を屑にして積み重ねる詩人なのでは」「ぱあではないか」……と言ったと心理学者とは……O――あいつかなぁ?……それとも、T――あいつかぁ?……M……S……いやいや、あいつかも? と穿鑿してみるのも、これ、すこぶる心地よいのである……]

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