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2014/03/12

散歩スケツチ   山之口貘

 散歩スケツチ

 

柔毛のやうな叢のなかの

蹲まつてゐる男と女

 

べんちの上の男と女

 

あつちこつちが男と女

 

なんと

男と女の流行る季節であらう

 

友よ

僕らは、

きみはやつぱり男で

ぼくもあひにく男だ。

 

[やぶちゃん注:【2014年6月25日追記:思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」と対比検証、注を一部追加した。】初出は昭和一二(一九三七)年十二月二十六日附『都新聞』。

 「定本 山之口貘詩集」では、題名が「散歩スケッチ」と拗音化され(但し、同書を底本とする思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」では「散歩スケツチ」のママである。不審である)、第一連(一・二行目)が、

産毛のやうな叢のなかの

蹲つてゐる男と女


と「柔毛」が「産毛」に変えられ、「蹲まる」の送り仮名が改められており、九行が、


男と女の流行(はや)る季節であらう


と「流行る」にルビが打たれている。

 私は個人的な偏愛的語彙感覚から「産毛」(うぶげ)より「柔毛」(にこげ)の方が断然好きである。バクさんが「柔毛」を「うぶげ」と読んでいたのだとすると(その可能性がないわけではない)、激しく失望する程度には私は「にこげ」のイメージと音色を偏愛する人間なのである(亡き母に昔この話をしたら「私は煮焦げを思い出して何だかいやだわ」と一蹴されたのを懐かしく思い出す)。]

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