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2014/04/22

在   山之口貘

 在

 

土地のものには馬鹿ていねいに

藁の上草履を出してすすめるのだが

疎開のものには知らぬ顔なのか

こんなふうにしてぼくなんぞ

どこに来ても粗末にされてしまうのだと

床屋のおやじのすることを見て

ぼくは正に誤解していたのだ

おやじはいかにも

うまいことを考えたもので

馬鹿ていねいには見えてもそれが

板の間を汚されないための上草履であって

土地のものらがみんな

野良からそのままの

泥んこの足で来るからなのだ

 

[やぶちゃん注:【2014年7月22日追記:思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」と対比検証済。注を一部改稿した。】初出は昭和二三(一九四八)年八月号『世界文化』(発行所は東京都中央区銀座「世界文化社」)。掲載誌の標題は「農村風景 在」。]

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