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2014/05/03

芥川龍之介「黄梁夢」の僕の評の冒頭

遅まきながらやっと先程から芥川龍之介の「黄梁夢」の評注に入った。



 さて、芥川龍之介は「枕中記」を読んで何を想ったかから始めねばなるまい。
 まずは気になるのは同じ唐代伝奇をインスパイアした、遙かにスリリングな名作(と私は誰が何と言おうと譲らない)「杜子春」である。ところがしかし、実に本作の発表は大正六(一九一七)年十月で、龍之介は満二十五歳、「鼻」で華々しいデビューをしたのは前年の二月、彼はこの時、未だ独身で文との結婚は翌大正七(一九一八)年二月二日であるから、まさに廬生が独身で暫くして崔家の娘を貰うことと一致しているのである。そして「杜子春」は「黄梁夢」発表の二年九ヶ月後の大正九(一九二〇)年七月で満二十八歳、この三ヶ月前には四月十日には長男比呂志が生まれているのである。龍之介の生活史の夢時間に於ける廬生的転回点がこの間には確かに存在したと言ってよい。

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