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2014/10/02

うまごやし   萩原朔太郎  (短歌)

[やぶちゃん注:以下は底本全集第二巻「習作集第八卷(哀憐詩篇ノート)」に所収する短歌群の一つ、「うまごやし」歌群。冒頭のクレジットによれば大正二(一九一三)年四月の作である。圏点「○」(冒頭二首下)は、編者注に従って推定復元したものである(特に「○」の位置は「下」とのみあるので不確かである)。]

 

 うまごやし

 

               一九一三、四、

 

うまごやし身をやわらかに投げ伏して

あてなく物をさがすなりけり       ○

 

[やぶちゃん注:「やわらかに」はママ。]

 

れもね水管(くだ)もて吸へばいち早く

はつ夏來りすゞろぎにけり

 

 

浮寢鳥旅に來りてかくばかり

長き渚をたどる哀しさ

 

[やぶちゃん注:老婆心乍ら、「浮寢鳥」は「うきねどり」で、水に浮いたまま寝る鳥の意から、和歌では思う人に逢えぬ嘆きに喩えて用いる。]

 

ふるさとの公園地をばこの日頃

ふところ手して歩むなりけり

 

人思へば人のつれなく世思へば

世のあぢきなく五月雨の降る

 

さと下すその指揮棒にヰオロンの

弓の光りて夏は來にけり

 

咲きにけり女ごゝろのさみしさに

爪かむときの夏ぐみの花

 

咲きにけり女ごゝろのさみしさに

爪かむときの夏ぎくの花

 

[やぶちゃん注:以上二首は底本では一首であって、「ぐみ」と「ぎく」の部分が同位置に横に併置(別案)されているのを復元したものである。]

 

いとしげく戀しさまさり忍ぶれど

尚あまりゝす花咲きにけり

 

かくありて思ひたえんと夕潮の

身をなのりそに戀ひわたる哉

 

ごんがん、ごんがん、鐘鳴る鐘鳴る

たはかりの列歩み行くなり

 

いはれなく我身をうとむことばかり

たび重なりて夏は來にけり

 

 

哀しみて蒲英公の莖を折るときに

白き涙はにじみ流れぬ

 

[やぶちゃん注:「蒲英公」はママ。無論、「蒲公英」(たんぽぽ)の誤記であるが、私の好きなこの一首の中では、誤字であっても、それが何か相応しく見えるのである。]

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