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2014/12/16

尾形龜之助「大キナ戰 (1 蠅と角笛)」 心朽窩主人・矢口七十七中文訳 ――二人の怒りとともに――

 

 大キナ戰 (1 蠅と角笛)

 

         尾形龜之助

 

 五月に入つて雨やあらしの寒むい日が續き、日曜日は一日寢床の中で過した。顏も洗らはず、古新聞を讀みかへし昨日のお茶を土瓶の口から飮み、やがて日がかげつて電燈のつく頃となれば、襟も膝もうそ寒く何か影のうすいものを感じ、又小便をもよふすのであつたが、立ちあがることのものぐさか何時までも床の上に座つてゐた。便所の蠅(大きな戰争がぼつ發してゐることは便所の蠅のやうなものでも知つてゐる)にとがめられるわけもないが、一日寢てゐたことの面はゆく、私は庭に出て用を達した。

 靑葉の庭は西空が明るく透き、蜂のやうなものは未だそこらに飛んでゐるらしく、たんぽぽの花はくさむらに浮かんでゐた。「角笛を吹け」いまこそ角笛は明るく透いた西空のかなたから響いて來なければならぬのだ。が、胸を張つて佇む私のために角笛は鳴らず、帶もしめないでゐる私には羽の生えた馬の迎ひは來ぬのであった。

 

[心朽窩主人注:「寒むい」「洗らはず」「もよふす」「迎ひ」はママ。昭和一七(一九四二)年九月発行の詩誌『歴程』第十九号に発表された。尾形龜之助生前最後の発表詩である。同年十二月二日、『喘息と長年の無頼な生活からくる全身衰弱のため、誰にもみとられず永眠』した(引用は思潮社一九七五年刊現代詩文庫「尾形亀之助」年譜より)。]

 

 

Ookinaikusa

 

 大战  (1 苍蝇和牛角号)

 

         作 尾形龟之助

         译 心朽窝主人,矢口七十七

 

  到了五月以后,连续下雨或暴风雨等寒冷天气,星期日我整天在被窝里度过。不洗脸,反复看旧报纸,从茶壶嘴儿直接喝昨天泡的茶,然后夕阳西斜需要点灯的时候,脖颈儿也好、膝盖也好、略有寒意,总觉得有点儿虚无,同时觉出尿意,不过也许是因为懒惰而不愿意站起来的我,一直在被窝上盘腿坐。厕所里的苍蝇(连厕所里的苍蝇什么的都知道大战已经爆发),它虽然不会责难,我却羞愧整天躺卧不起的自己,只好到院子里解手儿。

  满眼嫩叶的院子、又明亮又透明的西方天空,附近好像蜂之类还在飞来飞去,蒲公英花浮出于草上。吹牛角号吧!正是这时刻,牛角号声音应该从又明亮又透明的西方天空的彼岸传过来。可是它不为我——挺着胸伫立的我传来,而且带翅膀的马不为我——连和服腰带也不系的我,迎接而来。

 

         矢口七十七/

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