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2015/07/10

生物學講話 丘淺次郎 第十二章 戀愛(15) 五 縁組(Ⅲ) 鳥類 /やぶちゃん附 フタゴムシ

 以上はいづれも他の動物の體内に寄生する下等の蟲類であるから、その雌雄が一生涯相離れずに居るのも、たゞ種族を繼續するために受精を確實にする手段に過ぎぬが、鳥類・獸類の如き高等な動物になると、別に他の原因から、雌雄の緣組を定めて長く同棲する必要が生ずる。即ちこれらの動物は子を産み放しにしては、種族繼續の見込みが立たぬから、産んでから後暫くこれを保護し養育せねばならぬが、子を保護し養育するには、兩親が力を協せてこれに從事することが最も有効な場合も生ずる。子を育てる鳥類や獸類の中には一夫多妻のものもあり、雌のみが子の世話をし雄は一向に構はぬやうなものもあるが、種類によつては嚴重に一夫一婦で生涯一處に暮す者も決して少くない。小鳥類を飼うた人はよく知つて居る通り、卵を温めるにも雌雄が交代し、雛が孵つてからも兩親でこれに餌を運ぶやうな種類は幾らもある。一體鳥類にはかやうなものが多く、「きじ」・雞の類を除けば、その他燕・鳩・「がん」・「かも」・「はくてう」・鶴などいづれも皆一夫一婦で子を育てる。鷲・鷹なども一夫一婦で生活し、生殖の外の仕事にも常に力を協せて働く。例へば餌を取るに當つても共同することが多い。

[やぶちゃん注:「雌雄が一生涯相離れずに居る」丘先生は例示していないが、実は一生涯交尾し続ける凄絶な生物が他にもいる。この現象を文字通り、れっきとした生物学用語で「終生交尾」というのであるが、その生物とは、その名も「フタゴムシ」と言い、扁形動物門単生綱多後吸盤目に属する種で、コイ・フナに寄生するフタゴムシDiplozoon nipponicum及びウグイ属に寄生する同種の仲間Diplozoon sp.の二種が本邦での棲息報告例としてある。雌雄同体で、彼等は当該魚類の鰓に寄生して吸血している、やはり所謂、寄生虫である(本種による寄生魚類の貧血症が水産関係の論文に発表されているのも確認した)。このせいぶつについては、筒井康隆の「私説博物誌」(昭和五五(一九八〇)年新潮文庫刊)に所収している(筒井は「多後口目」と記載するがこれは旧称と思われる)。以下、筒井の記述を引用する(これについては実は私は古いブログ記事(二〇〇七年一〇月七日)驚異終生交尾のフタゴムシ(「和漢三才圖會」注記訂正)で既に書いている。これもそれを幾分、整序したものである。因みに、この記事は私のブログ・アクセスのランキング特異点で常にベスト三十内(本日只今の私のブログ記事数は一万七百件である)を維持し続けている。ヤフーもグーグルも「フタゴムシ」で検索するとトップ・ページにこの私の記事が出るから、一生コイツスというのはサスガに印象モーレツ、大人気であることが分かる。お蔭で私のブログもアクセスが順調に増え続けるという、双子虫大明神さまさまなんである)。

   《引用開始》

幼虫は、卵からかえった時は、〇・二五ミリくらいの大きさで、水の中を泳いで魚の鰓にたどりつく。もし、一〇時間以内にたどりつかないと、そのまま死んでしまうそうだ。鰓に寄生した幼虫は成長して、一ミリぐらいの大きさになる。これはデボルバと呼ばれ、以前はフタゴムシとは別の種類の寄生虫であろうと思われていたらしい。

 この虫には雌雄の区別はなく、同じからだをしている。生殖器が成熟すると、二匹の虫が互いにからだをねじってカットのような[やぶちゃん注:図(カット)を指すが、著作権上の問題から省略する。その代わり、以下の滋賀県立大学環境科学部環境生態学科浦部美佐子氏の「寄生虫フォトアルバム」のページの中段の鮮やかなDiplozoon sp.を参照されたい。そこには『目黒寄生虫館のシンボルマークになっている虫です』とあるが、実際、そのフォルムは何だか不思議に愛らしいのである。]状態になり、くっつきあう。それぞれが背中に小さな突起と、腹に吸盤を持っているので、吸盤で相手の突起をしっかりとつかんでしまうのだ。その恰好のまま一生、といってもたったの一ヶ月あまりであるが、魚の鰓に吸着して生き続けるのである。なぜそんないやらしい恰好のままでと不思議に思い、二、三の本を読んでみたが理由は書かれていない。相手にめぐりあう機会が少ないからではないかと思って父に訊(たず)ねてみたが、そうではあるまいということである。ど助平だからというのでもないらしい。つまりセックスが好きで好きでしかたがないからやり続けているのではないのだ。そういうみっともない状態でいることが生きのびる上に欠かせないからである。というのはこのフタゴムシ、二匹をはなすと死んでしまうのである。いわば命がけで相手にしがみついているというわけだ。

   《引用終了》

この引用部の後は、例の筒井独特の人間の男女が常に交尾しているというSFショートショート風のおとぼけエッセイとなるのであるが、どうして以上の生物学的記載は頗る真面目なのである。何てったって、彼の父君は本書の「あとがき」で「あの」日高敏隆(!)が逢うやビビって学者としての自信をなくしたと記すほどの、元大阪天王寺動物園園長でもあった京大動物学教室出身の動物学者筒井嘉隆氏なのである。

「子を育てる鳥類」「には」「種類によつては嚴重に一夫一婦で生涯一處に暮す者も決して少くない」ウィキの「類」によれば(注記号を省略した。下線やぶちゃん)、鳥類の種の九十五%は『社会的に一夫一婦である。これらの種のつがいは、最低でもその繁殖期の間か、場合によっては数年ないし配偶者が死ぬまで続く。一夫一婦は、雄による世話および両親による子育てが可能となり、雌が育雛(いくすう)の成功のために雄の手助けが必要である種にとってきわめて重要である』。但し、『多くの社会的に一夫一婦である種において、配偶者以外との交尾(婚外関係)は一般的で』もある。『雌にとって、婚外交尾による利点は、その子により良い遺伝子を得られることや、配偶者による不妊の可能性に対して保険をかけることなどがある。婚外交尾に関わった種の雄は、かれらの作った子の親子関係を裏付けるために、その相手をしっかりと保護する』。無論、種によっては『一夫多妻、一妻多夫、複婚、それに乱婚(多夫多妻)もある。複婚の一種である一夫多妻の配偶システムは、雌が雄の手助けなしで哺育を行うことができる場合に生ずる。なかには環境に応じてさまざまな配偶システムを採用する種もある』とあり、また『同性愛の行動は、数多くの鳥類の種の雄または雌で観察されており、これには交尾、つがいの形成、雛の共同哺育などがある』ともある。]

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