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2015/09/30

橋本多佳子句集「命終」 昭和三十七年(1) 障子貼る/独楽/他

 昭和三十七年

 

 障子貼る

 

障子貼るひとり刃のあるものつかひ

 

障子貼る刃ものぬれ紙よく切れて

 

昼臥しに風さらさらと新障子

 

愛しさや恋負け猫が食欲(ほ)れり

 

奴凧夜覚の顔のわが近くに

 

独楽あそび手窪のごとき地を愛し

 

鳥渡る群ばらばらに且つ散らず

 

綿虫とぶものに触れなばすぐ壊えん

 

頭も見せず蒲団を被れば一切消ゆ

 

    *

 

  薬師寺

 

花会式造花にいのちありて褪せ

 

    *

 

折ればわがもの冬ばらと園を出る

 

脚抱きて死にきれぬ蜂掃き出せり

 

  あやめ池動物園

 

一冬の玩具熊に木の切れつ端

 

冬兎身の大(だい)の穴いくつも掘り

 

 独楽

 

  元旦、丘本風彦氏来訪。独楽を習ふ。

 

頭をふつておのれ止らぬ勢ひ独楽

 

何の躊躇独楽に紐まき投げんとして

 

掌にまはる独楽の喜悦が身に伝ふ

 

掌に立ちて独楽の鉄芯吾(あ)をくすぐる

 

寝正月夢湧きつげば誰より贅(ぜい)

 

寝正月鶲を欲れば鶲来る

 

[やぶちゃん注:「鶲」は「ひたき」。スズメ目スズメ亜目スズメ小目ヒタキ上科ヒタキ科 Muscicapidae に属するヒタキ類を広く指すが、正月の嘱目吟からは同ヒタキ科(ツグミ科 Turdidae ともする)ジョウビタキ Phoenicurus auroreus ではなかろうか。]

 

わが起居に眼をみはるもの奴凧

 

りんりんたる白羽破魔矢に鏃なし

 

白破魔矢武に苦しみし神達よ

 

羽のみだれ正(ただ)す破魔矢に息かけて

 

わが寝屋の闇の一角白破魔矢

 

養身のほとりにつよく破魔矢おく

 

[やぶちゃん注:以上の破魔矢句は個人的に好きな多佳子晩年の句群である。]

 

籾殻の深きところでりんご触れ

 

[やぶちゃん注:私の偏愛する句である。]

 

寒肥の大地雪片ふりやまず

 

手をつけば土筆ぞくぞく大地面

 

野に遊ぶ土管胎内くぐりして

 

泉の底天より早く星を得て

 

はるかなる雪嶺のその創まで知る

 

もがり笛厚扉厚壁くぐり来る

 

亡き夫顕(た)つごと焚火あたたかし

 

金魚池水輪もたてず雪ふりて

 

[やぶちゃん注:「丘本風彦」一時期、『天狼』の編集人であった人物であるくらいしか分からない。]

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