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2015/09/06

橋本多佳子句集「命終」 昭和三十六年(2) 崖(2)

   *

 

我ら来て人気(ひとけ)枯山三時頃

 

降る雨が浸まず流れて二月の地

 

風花の大勢小勢待つ時間

 

昆虫の肢節焼野の灰ぼこり

 

土に憩ひ眼にひろがれる野焼黒

 

恋負け猫ずつぷり濡れて吾に帰る

 

山中に恋猫のわが猫のこゑ

 

土筆の頭(づ)遠くに人も円光負ふ

 

[やぶちゃん注:パースの効いた夢幻的な佳句である。]

 

近くして静かな修羅場昼山火

 

北天の春星の粗に北斗の鉾

 

[やぶちゃん注:個人サイト「宇宙(太陽系・スタートレック)」の「春の星座」を参照されたい。冒頭で『春の星は、全体的に明るい星が少ないのが特徴ですが、そのためかえって大きな星座が目につきます。まず北の方角を見ると、ひしゃく型に並んだおおくま座、北極星をもつこぐま座があります』とあり、「粗」(「まばら」と訓じているものと思う)の意味が判る。]

 

桜吹雪ござ一枚の上に踊る

 

疲れ知らぬ韓鼓どどどど桜の山

 

[やぶちゃん注:「韓鼓」「どどどど」というオノマトペイアからは「チョアゴ(座鼓)」「ヨンゴ(龍鼓)」「プク」等の和太鼓に似た形状のものが想起されるが、不詳。識者の御教授を乞う。]

 

青き踏む試歩よ大きく輪を描いて

 

いくらでもあるよひとりのわらび採り

 

風吹いて帰路の白道わらび採り

 

誕生仏立つ一本の黒き杭

 

[やぶちゃん注:寺院に於いて通常、四月八日に行なう釈迦の誕生を祝う仏生会(ぶっしょうえ=灌仏会(かんぶつえ))の甘茶をそそぐ誕生仏の像が年を経て「黒き杭」の如く見える景か。]

 

熱灰の焼野日輪直射して

 

とび出せし犬麦畑の瘦地帯

 

崖山吹倉暗黒の覗き窓

 

[やぶちゃん注:「倉」とは崖にある穴、時代的に見て防空壕の跡か。私(昭和三二(一九五七)年生)の経験上、しばしば防空壕跡は当時、民家や農家の貯蔵庫や倉庫に転用されていた。]

 

罪障のごとしその根の落椿

 

[やぶちゃん注:やや難解に見えるが、映像的に私の偏愛する一句である。]

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