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2015/09/24

橋本多佳子句集「命終」 昭和三十六年(3) 奈良飛火野/山城棚倉/他

 奈良飛火野

 

藤の森日曜画家に妻のこゑ

 

わが頭上無視して藤の房盗む

 

藤盗む樹上少女の細脛よ

 

女を飾る木よりぬすみし藤をもて

 

藤盗み足をぬらして森を出る

 

いなびかり髪膚をもつて堪へてをり

 

臆病なとかげが走り瑠璃走る

 

[やぶちゃん注:「飛火野」「とぶひの」と読む。狭義には奈良の春日山の麓の春日野の一部であるが、広義には春日野の別名でもある。地名は元明天皇の頃、ここに烽火(のろし)台が置かれたことに由来するという。]

 

 山城棚倉

 

土中より筍老いたる夫婦の財

 

筍の穴が地軸の暗を見す

 

筍と老婆その影むらさきに

 

凭りて刻長し藤咲く野の一樹

 

[やぶちゃん注:「山城棚倉」京都府木津川市山城町のJR棚倉駅付近か。地名そのものは万葉以来の歌枕である。底本年譜の昭和三六(一九六一)年の項に、『初夏、山城の棚倉から筍を売りに来るお婆さんと親しくなり、美代子同伴、筍掘りを見せてもらう』とある。私などは筍掘りは初春のイメージであるが、夏の季語で、実際、三月下旬から五月下旬が筍狩りの季節だそうである。]

 

   *

 

   奈良白毫寺村

 

田を植ゑてあがるや泳ぎ着きし如

 

妻の紅眼にする田植づかれのとき

 

[やぶちゃん注:「白毫寺村」(びゃくごうじむら)は奈良市街地の東南部の、現在の奈良県奈良市白毫寺町。名は域内にある真言律宗高円山白毫寺に由来する。]

 

   *

 

男女入れ依然暗黒木下闇

 

仔の鹿と出会がしらのともはにかみ

 

梅壺の底の暗さよ祖母・母・われ

 

一粒一粒漬梅かさね壺口まで

 

漬梅を封ぜし壺を撫でいとしむ

 

漬梅と女の言葉壺に封ず

 

金銀を封ぜし如き梅壺よ

 

梅干を封ぜし壺のなぜ肩よ

 

透ける簾に草炎の崖へだつ

 

   稔、庭にDDTを撒く。

 

こがね虫千殺したり瑠璃の千

 

七月の光が重し蝶の翅

 

十代の手足熱砂に身を埋め

 

海昃りはつと影消す砂日傘

 

けふの果紅の峰雲海に立つ

 

乳母車帰る峰雲ばら色に

 

華麗なるたいくつ時間ばらの園

 

爛熟のばら園時間滞る

 

らん熟のばら園天へ蠅脱す

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