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2015/09/05

小泉八雲 落合貞三郎訳 「知られぬ日本の面影」 第七章 神國の首都――松江 (一二)

       一二

 

 素晴らしい妖精!

 大橋から東に向つて、眼界の線を鋭く齒のやうに刻める、綠や靑の美しい山々を見渡すと、かなたにぬつと偉大な怪物が沖天に聳えてゐる。下の方は遠霞に良沒して、宛然空の方から形が出來始まつた如くに見える――下は蒲鼠色、上は虛空の白さ、夢のやうに淡い不盡の雪を戴いた圓錐形の幻影――是は大山の雄峯。

 冬になると、一夜の中に麓から頂上まで眞白くなる。すると、倒まに懸る半開の白扇に詩人が譬へる富士の靈山に彷彿するので、出雲富士の名がある。しかしこの山は出雲でなく、伯耆の國にある。尤も伯耆に於ては、出雲から眺望するほど、恰好よく見えない。これがこの侵美な土地に於ける唯一の雄大な光景だ。但し晴れた日和にのみ見える。この山には不思議な傳説が澤山ある。して、神祕な頂上には、天狗が住んでゐると信ぜられてゐる。

 

[やぶちゃん注:大山(だいせん)は当時既に「伯耆の國」ではなく、鳥取県である。ウィキ大山」によれば、標高千七百二十九メートル、鳥取県及び中国地方に於ける最高峰である。『角盤山(かくばんざん)とも呼ばれるほか、鳥取県西部の旧国名が伯耆国であったことから伯耆大山(ほうきだいせん)、あるいはその山容から郷土富士』(きょうどふじ:日本各地にある「富士」と呼称愛称される山のこと)として「伯耆富士」とも呼ばれ、ハーンの言うように、島根では「出雲富士」とも呼ばれるようである。『周辺の地域では古来からの大山信仰が根強』く、『現存する最古の記述は『出雲国風土記』の国引き神話で、三瓶山と同様に縄を引っ掛けて島根半島を引き寄せたとある。『出雲国風土記』では「火神岳」(ほのかみだけ)または「大神岳(おおかみのたけ)」と呼ばれ』(但し、この箇所には要検証要請がかけられてある)、『奈良時代の養老年間に山岳信仰の山として開かれたとされる。山腹には大神山神社奥宮や大山寺阿弥陀堂があり、明治の廃仏毀釈まで大山寺の寺領とされ』(この箇所には要出典要請がかけられている)、『一般人の登山は禁止されていた』、まさにハーンの言う霊山であったのである。

「天狗」日本八代天狗の一人とされる伯耆坊(ほうきぼう)であるが、後に相模大山(おおやま)の相模坊が四国白峰に移ったことから転任し、相模大山伯耆坊(さがみだいせんほうきぼう)と呼ばれたとも言われる。]

 

 

Sec. 12

A stupendous ghost!

Looking eastward from the great bridge over those sharply beautiful mountains, green and blue, which tooth the horizon, I see a glorious spectre towering to the sky. Its base is effaced by far mists: out of the air the thing would seem to have shaped itself—a phantom cone, diaphanously grey below, vaporously white above, with a dream of perpetual snow—the mighty mountain of Daisen.

At the first approach of winter it will in one night become all blanched from foot to crest; and then its snowy pyramid so much resembles that Sacred Mountain, often compared by poets to a white inverted fan, half opened, hanging in the sky, that it is called Izumo-Fuji, 'the Fuji of Izumo.' But it is really in Hoki, not in Izumo, though it cannot be seen from any part of Hoki to such advantage as from here. It is the one sublime spectacle of this charming land; but it is visible only when the air is very pure. Many are the marvellous legends related concerning it, and somewhere upon its mysterious summit the Tengu are believed to dwell.

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