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2016/01/16

梅崎春生 詩 「三十二歳」

 

   三十二歳

 

三十二歳になったというのに

まだ こんなことをしている

 

二畳の部屋に 寝起きして

小説を書くなどと力んでいるが

ろくな文章も書けないくせに

年若い新進作家の悪口ばかり云っている

 

女房も持てない 甲斐性なしだから

外食券食堂でぼそぼそと飯を嚙み

夕暮 帰ってくると 不潔な涙を瞼にためて

窓から 空を見上げてぼんやりしている

 

時には やり切れなくなって

アルコールなどをうまそうに啜(すす)り

揚句のはてに酩酊(めいてい)し

裸になって おどったりする

 

ゴヤやドーミエだって

こんな惨めな男は 描かなかった

 

雑巾(ぞうきん)にでもなって 生れてくれば よかったのに

人間に生れて来たばかりに

三十二歳となったと言うのに

おれはまだ こんなことをしている

 

[やぶちゃん注:底本や初出その他は、前の歌」の私の冒頭注を参照のこと。三十二歳とあるが、これがリンク先に示した通り、赤坂書店編集部勤務期(昭和二一(一九四六)年の三月から十二月まで)に書かれたものとすれば、これは数えであって、当時の春生は満では三十一である。詩中に「女房も持てない 甲斐性なしだから」とあり、「秋の歌」で注した通り、山崎恵津さんとの結婚はこの昭和二二(一九四七)年の一月であるから、これは間違いなく数えの「三十二歳」である。

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