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2016/02/05

日本その日その日 E.S.モース(石川欣一訳) 第二十六章 鷹狩その他 (37) 日本の海産物とその漁について

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 動物性の食料の大部分は、海から取れる。日本人は海に住む動物の殆ど全部を、食品として使用する。食料の過半をなすものは脊椎のある魚だが、而も然るべき大きさの軟体動物は、烏賊と共に市場で見られ、その他海胆の卵、蠕虫に似たサベラ、腕足類のサミセンガイ、海鞘属のホヤ、その他数種の海藻等もある。脊椎のある魚では、我国に於るよりも、遙かに多くの種類が食われる。我国の沿岸に、同様に、或はそれに近い程多くの種類がいないのではなく、我々の嗜好が僅かな種類に限られているものらしい。私が子供の頃には、誰も比目魚(ひらめ)を食わなかったことを覚えている。以前、メイン州の海岸では、ハドックを食える魚だと思っていなかった。日本人が捕える魚は、殆ど全部市場へ持って来られ、分類されて売られる。小さな舟にのった何千人の漁夫や、岩の上の大人や子供が、あらゆる魚を捕えている。我国では多数取れたり、網にかかったりする魚だけが、市場へ持って行く価値を持つものと思われる結果、食用魚が数種に制限されニューイングランドに於る主なるものは、鮭、ハドック、鮪、ハリバットだけである。我々の軟体動物即ち蛤、クワホッグ、牡蠣、海扇等に対する噂好は極度に制限され、普通の糧食供給を構成するイガイに対しても稀である。輸入される種類のホラ貝は、イタリ一人のために市場で見ることもある。これは英国では一般に食われ、美味で栄養がある。他の多くの事象と同じく、日本の各国に、それぞれ独自な釣針がある。図772は越前、越後、羽後の各国の鱈針である。図773は、長い竿のさきにつける鰻針と、あたり前の魚切庖丁と、魚をよりわける手鉤とを示す。岩代では漁夫が鯖の一種なるボニトを掃えるのに、ある種の釣針を使用する。その柄は鉛のかたまりで、横には細長い鮑貝の一片がはめ込んであり、その末端には釣針の周囲に、固い紙の条片がついている(図774)。引ずり釣には木の魚を用いる。それは金属の竜骨でまっすぐになり、尾には針の列が二重についている。これは炭火の上で茶色にこがし、両側に、より濃い色の点を焼きつける(図775)。

[やぶちゃん注:「嬬虫に似たサベラ」「サベラ」は原文Sabella。「蠕虫」は「ぜんちゅう」と読み、体が細長くて蠕動運動によって歩行或いは運動動作する動物の俗称である。このSabellaは実は既に「第十二章 北方の島 蝦夷 19 モース先生、エラコを食う! / 第十二章 北方の島 蝦夷」で出てきており、そこではその「蠕虫」をモースはペロリと平らげて美味かったと言っているんである。このモースの言う「サベラ類」とは環形動物門多毛綱ケヤリムシ目 Sabellida のケヤリムシ科 Sabellidae の類を指していると思われるが、現行ではこの綴りに完全に一致する生物群や種は存在しない(少なくとも現在は有効な属名や種名には存在しない)。さても、ここでモースが指示している種は、結論から言ってしまうと、私はこれは、

定在性ゴカイの一種である多毛綱ケヤリムシ科エラコ Pseudopotamilla occelata

と同定する。その検証過程は既に私の、

「博物学古記録翻刻訳注 9 “JAPAN DAY BY DAY” BY EDWARD S. MORSE “CHAPTER XII YEZO, THE NORTHERN ISLAND” に現われたるエラコの記載 / モース先生が小樽で大皿山盛り一杯ペロリと平らげたゴカイ(!)を同定する!」

で示してある。そこでは「第十二章 北方の島 蝦夷 19 モース先生、エラコを食う! / 第十二章 北方の島 蝦夷」の原文も総て掲げて検証しているので是非とも参照されたい。……う~む……それにしても、モース先生……日本人の常食する海産物にこれを殆んど最初に出しちゃったところが……なんともはや……凄い、の一言に尽きる。……今は勿論……当時でだって――かのグロテスクな(私はあまりグロテスクとは実は思っていないのだが)エラコを知っており――しかもそれを――あろうことか食べたことのある日本人なんてえもんは……これ――ごくごく少数に限られているから――である。……これを読んだ外国人は「ジーザス!……ジャポンでは!……あのフィッシングの、あの餌にするワームを!……ごくごく当たり前に食卓で食ってるのかッツ?!」とおぞけふるえたに違いないのである! モース先生、ちょっと、悪戯に過ぎますゾ!

「腕足類のサミセンガイ」モースの研究の専門である、嘗ては「生きている化石」と称せられた(化石種と比較すると殻形に非常に大きな変化が起こっていることから、つい最近(二〇〇三年)になってこれは否定されている)腕足動物門舌殻亜門舌殻綱舌殻目シャミセンガイ科 Lingulidae の特異な生物群。貝殻様の殻を持つが貝類ではない。詳しくはHP「鬼火」開設8周年記念 日本その日その日 E.S.モース 石川欣一訳 始動の私の注を参照されたい。

「海鞘属のホヤ」私の偏愛する海産生物。本邦で主に食用とされるのは、脊索動物門尾索動物亜門海鞘(ホヤ)綱壁性(側性ホヤ)目褶鰓亜目ピウラ(マボヤ)科マボヤ Halocynthia roretzi 及びアカボヤ Halocynthia aurantium である。私のホヤの記載は無数にあるが、「海産生物古記録集2 「筠庭雑録」に表われたるホヤの記載」及び『カテゴリ 武蔵石寿「目八譜」 始動 / 「東開婦人ホヤ粘着ノモノ」 ――真正の学術画像が頗るポルノグラフィとなる語(こと)――(後者は強烈な図あり)をリンクさせておく。

「比目魚(ひらめ)」原文“flounders”。この単語は広義には条鰭綱カレイ目 Pleuronectiformes に属するの魚類の総称で、カレイ亜目カレイ上科 Pleuronectoidea に含まれるものは総てを指していると考えてよい(同上科にはカレイ科 Pleuronectidae・スコプタルムス科 Scophthalmidae・ヒラメ科 Paralichthyidae・ダルマガレイ科 Bothidae の四科を含む)。狭義にはヨーロッパ産カレイ亜科ヌマガレイ属 Platichthys の一種を指すらしいが、これは恐らく一般的な英語圏の一般人の認識ではないと思う。私が何を言いたいかは、お判り戴けるであろう。一般的な英語圏の人間にとっては鰈も鮃も一緒くた、概ね、平べったければ皆“flounder”(フラゥンダー)であるということである。

「ハドック」底本では直下に石川氏の『〔鮭の類〕』という割注が入る。原文“haddock”。条鰭綱タラ目タラ科コダラ属コダラ Melanogrammus aeglefinus 。参照したウィキの「コダラ」には、『北大西洋両岸に生息するタラ科の魚』とあるので、本邦の領海には棲息しない。『ポピュラーな食用魚で、商業流通している』とあり、体長は一・一メートル以上になるからかなり大型で、『白い体に黒い側線が走るのが特徴であり、よく似たポラックという魚は逆に黒い体に白い側線である。また、胸鰭の上に黒い斑があり、"thumbprint"(拇印)、"Devil's thumbprint"(悪魔の拇印)または"St. Peter's mark"(聖ペトロの印)と呼ばれる』とある(英和辞典に「モンツキダラ」とあるのはこの斑点を指す異名のようである)。『引き網漁、トロール漁、延縄などで商業漁獲されている。非常に一般的な食用魚であり、生、燻製、冷凍、干物、缶詰の形で流通する。イギリスでは他のタラ類やカレイに並んでフィッシュ・アンド・チップスの材料となっている』。『新鮮なコダラの身は白みの半透明で、タラと同様に調理できる。古くなると身は青白くなる。コダラなどのタラの幼魚の切り身はマサチューセッツ州ボストンではスクロッド(scrod)と呼ばれて売られる。ノルウェーではフィスケボッレル(fiskeboller)という魚団子の主な材料ともなる』。『近縁のタラ属とは違い、コダラは塩漬けではなく干物や燻製で保存される。コダラの燻製の一種にフィナン・ハディ(Finnan Haddie)と呼ばれるものがあり、この名前はスコットランドの漁村フィンドンに因み、元々泥炭の上で冷燻製したものである。よくフィナン・ハディはミルクで煮て朝食にされる』。『また、コダラの燻製はケジャリーという英印折衷の料理の主材料でもある。スコットランド東海岸のアーブロースの町では熱燻製のアーブロース・スモーキー(Arbroath Smokie)が作られており、これは食べる前に更に調理する必要はない』とする。現行では相当に活用されている流通魚であることが判る。

「ハリバット」底本では直下に石川氏の『〔比目魚の類〕』という割注が入る。原文“halibut”。これは狭義には条鰭綱新鰭亜綱棘鰭上目カレイ目カレイ科オヒョウ属 Hippoglossus の仲間を指し、この属は超大型個体がいることで知られる巨大カレイ類の一種である。ウィキの「オヒョウ」には、『世界には複数の種が存在し、日本の北洋からオホーツク海、大西洋、ベーリング海、北極海などの冷たい海の水深』四百~二千メートル『付近の大陸棚に生息する。日本近海では東北地方以北の各地と日本海北部に、タイヘイヨウオヒョウ Hippoglossus stenolepis が生息している』(但し、本邦では大味とされ、人気が低い。私の小学生の時より馴染んだ数々の魚類図鑑では『まずい』と明記されるものが多かった。但し、ウィキにも記されているように現在では回転寿司で「鮃の縁側」の似非代用品として安く提供されているケースをしばしば見受ける)。全長はの成体ならば通常でも一~二メートル以上になり、大きい個体では三メートルを超えて体重も二百キログラムを超加する驚くべき大きさになる。但し、『このサイズになる大物はメスであり、オスは大きくてもメスの』三分の一程度の『大きさにしかならない。目のある側は暗褐色で、反対側は白色』で、大型の長命個体の中には百五十年を超えるて生きているものもいると言われる。『肉食で獰猛なため釣り上げた時に暴れ、漁師が怪我をすることもある』。主な種としては、タイヘイヨウオヒョウの他、タイセイヨウオヒョウ Hippoglossus hippoglossus がいる。但し、このウィキにもあるように、やはり英語圏ではいい加減であって、『英語でオヒョウはhalibut(ハリバット)であるが、halibutには』カレイ科『カラスガレイ属のグリーンランドハリバット Reinhardtius hippoglossoides(標準和名:カラスガレイ)や、ヒラメ科ヒラメ属のカリフォルニアハリバット Paralichthys californicus など、オヒョウ属でない魚も含まれている。halibutはカレイ目の大型魚に幅広く付けられた呼称である』とある(下線やぶちゃん)。

「クワホッグ」底本では直下に石川氏の『〔簾貝の類〕』という割注が入る。原文“quahog”。斧足綱異歯亜綱マルスダレガイ科メルケナリア属ホンビノスガイ Mercenaria mercenaria のこと。本邦にも棲息し、現行では正式和名でよくスーパーの店頭にも普通に並ぶようになったが、長く「オオアサリ」と呼ばれてきた(後述参照)。但し、アサリは同じマルスダレガイ科 Veneridae でも、アサリ亜科アサリ属アサリ Ruditapes philippinarum で種としては全く異なり、味も私は格別に下品と心得る。以下、ウィキの「ホンビノスガイ」から引く。『名前を漢字で記すと本美之主貝となる。これは』旧分類で同マルスダレガイ科 Veneridae の代表属であったビーナス属 Venus に属するとされ、その「ヴィーナス」に当て字した当時の和名「美之主貝(びのすがい)」によるのであるが、『現在はメルケナリア属 Mercenaria に分類が変更されて』しまったために、和名そのものが実体を表わさなくなってしまっている。『東京湾最奥部(千葉県湾岸部)では大アサリと呼ばれていた。(なお、中部地方沿岸部でよく食用とされる大アサリは』、マルスダレガイ科マツヤマワスレ亜科ウチムラサキ属『ウチムラサキ Saxidomus purpurata であり、別種である。)また、ハマグリの減少に伴い、流通時に白ハマグリやオオハマグリと呼ばれる事もあるが、和名シロハマグリは、同じマルスダレガイ科で南米に産する』Pitar 属『Pitar albidus に割り当てられているため、本種を指して「シロハマグリ」と呼ぶのは誤用である』。『食材偽装問題との関連で、消費者に誤解を与えるという理由で、これらの別名や通称は使用せずホンビノスガイと表記するのが一般的となりつつある』。『英名はサイズに対応して変化する「出世貝」であり、小さい順に littleneck, topneck, cherrystone と変化し、最も大きいものが quahogs または chowder clam と呼ばれる』(下線やぶちゃん。以下同じ)。『成貝の殻長は最大で』十センチメートル以上になる『比較的大型の貝であり、厚く硬い殻の表面には同心円状の肋が表れる。殻の色は生育環境により白っぽいグレーから黒ずんだ色と変化に富む。ハマグリと比較して丸みが強く、左右非対称で、殻頂がやや曲がった形をしている』。『北米大陸東海岸のほぼ全域』に分布し、『カナダプリンスエドワード島から、アメリカ東海岸を経てユカタン半島にかけて広く分布する』(モースが親しく名を挙げる意味が判る)。現在、『日本では主に東京湾、大阪湾に生息する』が、実は本種は『もともと日本には存在していなかった』。ところが、一九九八年に最初に『千葉県・幕張人工海浜で発見され』、一九九九年には京浜運河で、二〇〇〇年には千葉港、二〇〇三年に船橋付近で相次いで棲息が確認され、二〇〇〇年代に入ってからは、遠く大阪湾でも発見されている。『以後、東京湾内や大阪湾内で繁殖している外来種』と認定された(私はそれより以前にアクアラングを趣味とする知人が横須賀付近で捕ってきたのを食った経験がある)。『原産地である北米大陸から船舶のバラスト水に混ざり運ばれ、東京湾や大阪湾に定着したと考えられている。現時点では在来種への被害報告は無い』。『アメリカでは重要な食用貝であり、広く漁獲対象とされている。特にロードアイランド州では州の貝』『に選ばれている』。『日本では主に、市川市・船橋市地先の三番瀬で漁獲されて』おり、『また、東京湾最奥部の干潟域では潮干狩りでも採取される』。『日本での繁殖が確認されたのが比較的近年で、アサリ漁場に多く生息するため、かつては邪魔者として扱われることが多かった。しかし、食味の良さが注目され』、二〇〇七年頃から『首都圏の鮮魚店やスーパーなど販売チャネルが拡大し、水産物として採貝される機会が増えたため』、二〇一三年には『漁業権が設定されるまでになった』。『アメリカの東海岸で好まれ、クラムチャウダーやバターやワイン蒸しとして供されるほか、小ぶりのホンビノスガイは、ニューヨークやニュージャージーにて西洋わさびを加えたカクテルソースやレモンと共に生食もされる』。『食味は良い。ハマグリと同様、焼き貝や酒蒸しが良い』とあるが、不味くはないが、こう過大評価されては――浅利泣いて蛤は死ぬ――ね。何より、姿が貝形の醜いのが私は、イヤ!

「ホラ貝」原文“periwinkle”。これは石川氏のトンデモ誤訳腹足綱前鰓亜綱中腹足(盤足)目タマキビガイ上科タマキビガイ科タマキビ属Littorina の仲間を指す(本邦で馴染みなのは小型の潮上帯に密生するタマキビ Littorina brevicula )。腹足綱吸腔目フジツガイ科ホラガイ属ホラガイ Charonia tritonis の英名は普通は“conch”或いは“trumpet shell”である。

「長い竿のさきにつける鰻針」竿を装着した全体像は、Well肉桂氏のブログ「ニヤッとする話」の「迷作リメイクシリーズ27ダイヤモンドより貴重な食べ物(いやしんぼ7)」に示される「熊本式鰻穴釣道具」でよく判る。実際、モースは明治一二(一八七九)年五月から六月にかけての九州採集旅行の際、まさにこの熊本で本具を現認した可能性も頗る高いように私には思われる。

「魚切庖丁」出刃包丁。

「魚をよりわける手鉤」これは最も柄の短い中小型の魚種用の魚手鉤である。魚種によって鉤の形状や柄の長さが様々に異なる。

「鯖の一種なるボニト」底本では直下に石川氏の『〔松魚〕』という割注が入る。原文“bonito, a kind of mackerel”“mackerel”は広く条鰭綱スズキ目サバ亜目サバ科 Scombridae のサバ属 Scomber・グルクマ属 Rastrelliger・ニジョウサバ属 Grammatorcynus 等に分類される鯖(さば)類を総称する英語。“bonito”とは原義はスペイン語で「可愛い」(魚)の意で、石川氏の「松魚」は老婆心乍ら、「かつお」と読み、鰹のことである。しかし、カツオがサバ科マグロ族カツオ属カツオ Katsuwonus pelamis であることを理解している方が私は多いとは実は思っていない。されば、特に下線を引いておいた。

「岩代」原文“Iwashiro”。不詳。これはもしや、現在の福島県浜通及び福島県中通の内の白河郡、宮城県南部に当たる旧磐城(いわき)の読み間違いではあるまいか? あそこなら宮城県金華山沖で北上から南下に転じる脂ののった「初鰹」漁があるからである。

「ある種の釣針」以下の叙述と図からお分かり戴けるように、疑似餌(フライ)である。但し、モースは後者(図775)の如何にも小魚のフライフライした方(一般には「餌木(えぎ)」などとも言う)を「引ずり釣り」(糸を流して船を走らせながら釣る漁法)のそれとするが、現行の鰹の「曳き釣り」漁で前の図774も一般的疑似餌である。なお、この図774のそれは一気に複数を引っ掛けるサビキ釣りでも用いられる。これは一見、烏賊のシミュラクラに確信犯で作っているものが殆んどであるが、実際に鰹がこの形状を烏賊と正確に認識して食いつくわけではなく、光りの反射性や動きに対して大括りの生き餌として誤認反応しているものと思われる。図775の「餌木」は、それこそ産卵期以外のアオリイカ漁でも用い、また、疑似餌の手前にビート板のような潜水板と呼ばれるものを附けて流して左右の動きをつけさせたり、無論、生餌(彼らが好むアジ・イワシ類)を用いるものも当然ある。]

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