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2016/03/17

ツルゲーネフ原作米川正夫譯「生きた御遺骸」(「獵人日記」より)(ⅩⅠ)

「それからね、こんな夢もございましたつけ。」とルケリヤは言葉を續けた。「なんでもわたしが街道の楊の下に坐つてゐる處なので。手に削つた杖を持つて、袋を背中に負ひましてね、頭は布(きれ)で包んで、そつくり巡禮なのでございます! どこか遠い遠い所へ、靈場巡りに行かなければならないのでした。巡禮がのべつわたしのそばを通り過ぎて行きます。みんな厭々さうにのろのろと歩いて、同じ方ばかり指してゐるのでございます。誰も彼もぐつたりしたやうな顏をして、みんなお互に似てゐるのです。ふと見ると、大勢の間に一人の女がうろうろして、ぐるぐる歩き廻つてをります。背が高くて、みんなの頭の上に首がちやんと見えてゐましてね、着てゐる着物も何だか特別なもので、わたし達のやうな露西亞風とは違つてをります。顏もやはり特別な顏で、脂けのない嚴しい顏でした。そして、誰もがその女を避けるやうにしてゐるのです。女は急にくるりと身を飜して、まつすぐにわたしの方へやつて來るぢやありませんか。わたしのそばに立ち止つて、ぢつと見つめる、その眼が鷹のやうに黃色くて大きくて、澄みに澄んでゐるのでございます。『どなた?』と訊ねますと、『わしは死神だよ。』と申します。わたしは吃驚りするどころか、却つて大喜びして十字を切りました! するとその女が、死神の云ふことには、『ルケリヤ、わしはお前が可哀さうだけれど、でも連れて行くわけにはゆかない、さやうなら!』ああ! わたしはそのとき辛くて辛くて堪りませんでした!‥‥『つれて行つて下さい、あなた、わたしの大好きなお方、どうぞつれて行つて下さいな!』と申しますと、死神はわたしの方へ振り向いて何か云ひ出しました‥‥わたしは最後の時を決めて下さるのだなと悟りましたけれど、よく分かりません、聞き取りにくいので‥‥ペトロフキ〔六月二十九日の聖ペテロ祭前の精進期。〕が濟んでからといつたやうな氣がしました‥‥そこでわたしは眼が醒めたのでございます‥‥よくこんな不思議な夢を見るんでしてね!」

 ルケリヤは眼を上へ向けて‥‥考へ込んだ‥‥

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