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2016/03/14

ツルゲーネフ原作米川正夫譯「生きた御遺骸」(「獵人日記」より)(Ⅳ)

 私は正直な話、びつくりした。

「お前はいつもいつも全くの獨りぼつちぢやないか、ルケリヤ、それだのに、どうして考ヘごとが頭へ浮かんで來ないやうに出來るんだらう? それとも始終眠つてるのかい?」

「まあ、どういたしまして、旦那さま! いつも寢られるとは限りません。大した痛みはございませんけれど、この、お腹(なか)ん中がしくしく疼きましてね、骨の節々もさうなんで、どうも本當にぐつすり眠られません。どう致しまして‥‥ところで、かうしてぢつと横になつて、まじりまじりしながら、考ヘごとをしないのでございます。まあ自分は生きてゐて、息をしてゐるのだと感じる――それだけがやつとなんですからね。かうして、見たり聞いたり致します。蜜蜂が巣でぶんぶん唸つたり、鳩が屋根に止まつてくうくう啼いたり、巣についた牝雞が雛をつれてパンの粉を啄つきに入つて來たり、かと思ふと雀や蝶々が飛んで來たりします。そんなことがとてもいゝ氣持ちでしてね。一昨年(をととし)は燕がそこの隅に巣まで作りまして、子供を孵したのでございます。その面白かつたことと云ひましたら! 一羽が巣に歸つて來て、身體をぴつたりつけながら雛を養ふと、また飛んで行つてしまひます。また見てゐますと、もう入れ替りにほかのが飛んで來る。時には開け放した戸口を掠めて行くことがあります。すると子供たちは、ね、早速ちいちく鳴いて、嘴を開けて待つてゐるぢやありませんか‥‥わたしはその次の年も心待ちにしてゐましたが、何でも土地のさる獵師が鐡砲で擊つてしまつたさうでございます。あんなものを殺して何の足しになるのでせう? 燕なんて甲蟲ほどしかないものを‥‥あなたがた獵をなさる方は、なんて意地わるなんでせうね!」

「おれは燕なんか擊たないよ。」と私は急いで云ひわけした。

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