机 原 民喜
何もしない
日は過ぎて居る
あの山は
いつも遠い
冬
こはれた景色に
夕ぐれはよい
色のない場末を
そよそよと歩けば
[やぶちゃん注:以上は、原民喜が大正一五(一九二六)年一月から五月まで発刊した詩の同人雑誌『春鶯囀』二号に載る(四号で廃刊するが、二号と三号の発刊月のクレジットは不詳である)。
底本は一九七八年青土社刊「定本 原民喜全集 Ⅱ」を用いた。活字のポイント差はママ。創刊号に載った「春望」と類似した構成詩で、総標題が「机」、無題の序詞と小題「冬」の二連構成になっている一篇である。]
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