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2016/03/31

和漢三才圖會卷第五十二 蟲部 木蜂

Mikabati

みかはち

木蜂

 

木蜂

【和名美加波知】

 

本綱木蜂似土蜂而小在樹上作房人亦食其子【蜜蜂土蜂木蜂黃蜂子俱可食】

 

 

みかばち

木蜂

 

木蜂

【和名、美加波知。】

 

「本綱」、木蜂は土蜂に似て、小さく、樹の上に在りて、房を作る。人、亦、其の子を食ふ。【蜜蜂・土蜂・木蜂・黃蜂の子、俱に食ふべし。】

 

[やぶちゃん注:ここで遂に、蜂の子の話が出、実は前掲の「蜜蜂」も「土蜂」もこの「木蜂」も、それから次の「黃蜂」の子も、「どれも皆、食べられる」とくる。中華ならではであるが、本邦でも蜂の子は昆虫食のチャンピオンとして好んで食われる。しかもそこで「蜂の子」として人の食用対象となるのは主に、細腰(ハチ)亜目スズメバチ上科スズメバチ科スズメバチ亜科 Vespinae のスズメバチ類の子である。ウィキの「スズメバチによれば、『他の利用法は主に食用である。長野県の伊那谷地方を中心に、クロスズメバチ』(クロスズメバチ属クロスズメバチ Vespula flaviceps)『類(地方名スガレ)の幼虫、さなぎを食用にすることが他地方でもよく知られるが、実際には同地方ではさらに大型のキイロスズメバチ』スズメバチ属キイロスズメバチ Vespa simillima xanthoptera)『などの幼虫、さなぎの巣の捕獲、食用も盛んに行われている。また岐阜県の恵那市・中津川市などの東濃地方では、クロスズメバチの幼虫を「へぼ」と呼び、炊き込み御飯』「へぼめし」『にして食べる習慣がある。甘露煮にした瓶詰も作られて販売されている』。『こうした食習慣は日本国内ではその他に九州の熊本県、大分県、鹿児島県、宮崎県にまたがる九州脊梁山地でも盛んであり、この地方では特に大型の幼虫が得られるオオスズメバチ』(スズメバチ属オオスズメバチ Vespa mandarinia japonica)『を好んで採集する習慣も根強い』。『収獲方法としては、殺したアカトンボ類、小さく切った鶏肉やカエルの足の肉を置いて働き蜂に肉団子を作らせ、肉団子の処理過程に巧みに介入してこより状にした真綿を肉団子やハチの胴に絡ませて目立つようにし、その働き蜂を追跡して営巣場所を突き止める蜂追いが行われる。エサを肉団子にしている間は他の物に興味を示さない習性を利用したものである。一方最近では、天然で大きく育った巣を採集するのではなく、営巣初期のまだ若い小さな巣を採集し、人家の庭先で巣箱に収容して川魚の肉などを与えることで、より多くの幼虫やさなぎを収めた大きな巣を得ることも盛んになっている。また、軒下に形成された巨大なキイロスズメバチの巣に対しては、防護服を着用した上で、業務用の強力な掃除機で攻撃してくる成虫を全て吸い込み、巣を採集する人もいる』。『巣の採集の際は、線香花火などの比較的穏やかに燃焼する黒色火薬の煙を吹き付けて働き蜂の攻撃を封じ、巣を崩して幼虫やさなぎを採取している。この地方ではこうした巣の採集が盛んなため、専用に硫黄分を多くした黒色火薬製品である煙硝が市販されている』。『また、最近では地方特有の食文化というだけはなく、多種のアミノ酸が含まれていることなどが着目され、成虫を蜂蜜や焼酎に漬けたものや、成分を抽出したサプリメントなどにも注目が集まっている』。『日本国外では大型のスズメバチ類の種多様性が最も高い中国の雲南省でもスズメバチ類の幼虫、さなぎに対する食習慣が非常に盛んであり』、『最近の経済開放政策に伴う盛んな商品化のための乱獲が懸念されるほどである。雲南では、成虫も素揚げにして塩をまぶし、おかずとして食べる。また、スズメバチ類の個体群密度や巣の規模が大きな熱帯アジア各地にも(例えばミャンマー』)、『同様の食習慣を有する地方は多い』とあり、さらにウィキの「はちのこ」の方には、『はちのこ(蜂の子)は、クロスズメバチなどの蜂の幼虫(蛹、成虫も一緒に入れることもある)で、日本では長野県・岐阜県・愛知県・静岡県・山梨県・栃木県・岡山県・宮崎県など』『の山間部を中心に日本各地で食用とされている。古い時代では蛋白源が少なく常食され』、『クロスズメバチの他、ミツバチ、スズメバチ、アシナガバチなども食べられている。近年は高級珍味として、缶詰や瓶詰でも販売されている』。『猟期は秋、長野では「蜂追い」(すがれ追い)と呼んでかつては子供の遊び、現在では半ば大人のレジャー化している。クロスズメバチの場合、地中に巣を作るため、まず巣を発見しなければならない』。『ハチの巣を見つけ出すには、ハチの移動経路や営巣場所となりやすい場所を注意深く観察し、飛翔するハチを手掛かりに巣の場所を予測して見つけ出す方法と、エサを巣に運ぶハチを追跡する方法とがある』。『後者の場合、綿を付けた生肉(カエルの肉が良いとされる)や魚、昆虫等をエサにハチをおびき寄せ、巣に運ぼうとするところをひたすらに追跡する。綿は飛翔するハチの視認性を良くし、空気抵抗によってハチの飛翔速度を落として追跡しやすくする役割がある。綿が小さすぎるとハチを見失う可能性が高くなり、大き過ぎるとハチがエサの運搬をあきらめてしまうことがあるため、綿の大きさの調節には経験が必要』。『ハチは畑や川、人家、道路などの上を直線的に飛翔し、また上方を飛ぶハチを見ながら走って追跡することになるため、追跡には交通事故、転倒、転落などの危険が伴う。加えて、追跡時に田畑の農作物を踏み荒らす原因になることから、「蜂追い(ハチ取り)」を禁じている地域もある。こうした事情から、現在では都市部はもとより、郊外においてもこの方法を取ることは難しい』。『巣が発見できたら煙幕花火などを使って巣を燻し、ハチが一時的に』(一~二分程度)『仮死状態となっている間に地中から巣を掘り出す』。『幼虫は、膜を張った巣の中にいるので、ピンセットを使い、膜を剥がし取り出す。味は淡白で炒ったものは鶏卵の卵焼きを想起させる味である』とある(下線は総てやぶちゃん)。実は海産生物なら何でも来いの悪食(あくじき)食いの私は、実は小学校二年の時にアシナガバチに刺されたトラウマがあって未だ「蜂の子」は食べたことがない(イナゴやザザムシは大好物である)。嗅覚もなくなったから近いうちに挑戦してみようと思う。

 以上、長々と引いた理由は、主に下線部の記載に注目して戴きたいからである。「はちのこ」の記載の方には確かに、『ミツバチ』・『アシナガバチなども食べられている』とはある。あるが、実際に実見したことがある人は一目瞭然であろうが、スズメバチ類の蜂の子の方がこれらよりも圧倒的に大きい(オオスズメハチなどでは、異様なほど遙かに、である)。さればこそ、食用対象としてはスズメバチ類を一般的と考えるのが自然である(そもそもがここまでの食用の「蜂の子」の種対象はクロスズメバチであることが御理解戴けるはずである。とすれば、やはり営巣から考えるなら、前の、

「土蜂」はクロスズメバチ属クロスズメバチ Vespula flaviceps かその仲間

と考えるのが妥当であろう。しかし問題はこの「木蜂」で、この記載では『土蜂に似て、小さ』いとする、樹上営巣の蜂ということになるのだが、実はクロスズメバチはスズメバチ類の中でも最小種(十~十八ミリメートル)に属し、少なくとも本邦ではこれより小さい樹上営巣をするスズメバチがいないのである。しかし、ここだけは「本草綱目」の記載ということで何時ものように目をつぶらせてもらうなら、

「木蜂」はスズメバチ属 Vespa の中では最小(働きバチで十七~二十四ミリメートル)の大きさのであるケブカスズメバチ Vespa simillima simillima 或いはその亜種であるキイロスズメバチ Vespa simillima xanthoptera かその仲間、或いはスズメバチ属ではない、体長十四~二十二ミリメートルのホオナガスズメバチ属キオビホオナガスズメバチ(黄帯頬長雀蜂)Dolichovespula media か、その同属の仲間

を同定候補と出来るようには思う(以上は主にウィキの「スズメバチを参考にしている)。なお、「みかばち」は「和名類聚抄」に出る古式ゆかしい古名で、漢字では「樹蜂」を当てるのだが、辞書類を調べると、これを現在は、膜翅(ハチ)目広腰(ハバチ)亜目キバチ上科キバチ科キバチ亜科 Siricinae のキバチ(木蜂)類に同定していることが判った。この蜂は円筒状に細長く、は尾端に太い一本の棘状の強固な長い産卵管を持ち、これを木の中に深く刺し込んで産卵する(この際、木材腐朽菌の胞子を卵とともに材中に植えつけるために大きな林業被害を与えるともされ、庭園樹木や鉛管へ穿孔して通信ケーブルに被害を与えることもあるという)種であって、これから樹木に営巣などしないと考えてよく、除外出来る

・「黃蜂」ここで始めて出る。しかし「本草綱目」では、この箇所を含む、三箇所の本文中にしか出ず、その一つは明らかに「大黃蜂」のことを指していることが判る。しかも、項目(見出し)としては「黃蜂」は存在しない。従って、時珍が言う「黃蜂」は「大黃蜂」と断定してよい。されば、次の「大黃蜂」の項で考証することとする。]

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