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2016/04/24

和漢三才圖會卷第五十二 蟲部 草蜘蛛

Kusagumo

くさくも

草蜘蛛

ツアウ ツウ チユイ

 

本綱艸蜘蛛在孔穴中及草木稠蜜處作網如蠺絲爲蔕

就中開一門出入形微似蜘蛛而斑小也最毒能纏斷牛

尾有人遺尿絲纏其陰至斷爛也

 

 

くさぐも

草蜘蛛

ツアウ ツウ チユイ

 

「本綱」に、艸蜘蛛は孔穴の中及び草木の稠蜜〔(ちうみつ)〕なる處に在り。蠺〔(かひこ)〕の絲のごとく網を作り、蔕〔(へた)〕を爲す。中に就て、一門を開き、出入〔り〕す。形、微に蜘蛛に似て、斑、小なり。最も毒あり。能く纏(まとひ〔つき〕)て牛尾を斷つ。人、有りて、遺尿(すばり)す〔れば〕、絲、其の陰(へのこ)に纏(まとひ)〔つき〕て、斷〔(たた)〕れ爛るるに至るなり。

 

[やぶちゃん注:これは

クモ目タナグモ上科タナグモ科クサグモ属クサグモ Agelena sylvatica 或いは同クサグモ属 Agelena の類

かと思われる。ウィキの「クサグモ」より引く。『ミャンマー、中国大陸の華南から東北、朝鮮半島、日本の北海道から九州までに分布する。人家周辺や道端の低木に巣を作り、日本ではごく普通に見られる』。♂♀ともに体長は一・五センチメートルほどで、『クモとしてはやや大柄で、雄は雌よりややきゃしゃな体つきをしている。体はやや前後に細長く、灰褐色、全身に細かい毛がはえている。頭胸部は楕円形で、中心線を開けて両側に濃い褐色の縦線が入る。腹部は前方がやや丸い卵形で、背面には左右に数対の濃い褐色の斑紋が並ぶ。なお、幼虫は色が全く違っていて、前身が赤に近い赤茶色をしている。亜成体になると、次第に成虫の色に近づく』。『クサグモの網は棚網と言われる型である。糸を重ねてできた膜を低木の枝先に水平に張り、クモはその上に乗る。網の奥には糸でできたトンネルがある。このトンネルはクモの巣に当たり、トンネルの奥は穴が開いている。クモは普通トンネルの入り口にいて、外敵に襲われた時は、トンネルに逃げ込み、さらに奥の出口から外へ逃げることができる』。『トンネルの口から広がる糸の膜は、トンネルの前方に水平に広がり、周囲はやや上に反る。トンネルの口の周辺はやや漏斗型になっている。糸の膜を支えるように、上に向かって籠状に組まれた糸が膜の上部に広がる。つまり、巣の入り口に網が広がったものである』。『クモは餌の昆虫が膜の上に落ちると、素早く駆け寄り、小さな虫の場合は、そのまま食いつく。大きい虫の場合、周囲を回りながら糸を掛け、次第に糸をからめてから食いつく。その後、トンネルに引きずり込んで食べる』。『秋の終わりに産卵する。産卵はトンネルの中で行ない、卵は袋状の卵嚢に包まれる。袋は多方向に糸で引っ張られて中空につるされ、引っ張られる方向へ表面がとがっている。卵は年内に孵化するが、幼虫は袋の中に止まり、翌年春に外に出て、秋に成熟する』。『市街地の植え込みや街路樹などでは、ネットのようなものがかかっていることがよく見られ、その正体はおおむねコクサグモ』(クサグモ属コクサグモ Agelena opulenta)『と思われるが、山間部では、崖地にさらに巨大な棚網とその上数メートルの吊るし糸のようなものが見られ、コクサグモよりも一回り巨大なクサグモの姿が見られる』。『クサグモは、よくイソウロウグモ』(ヒメグモ科イソウロウグモ亜科イソウロウグモ属 Argyrodes bonadea の類)『を住まわせている。特に』チリイソウロウグモ(イソウロウグモ属チリイソウロウグモ Argyrodes kumadai)とフタオイソウロウグモ(Argyrodes fur。但し、Neospintharus fur とする記載もあり、その場合はNeospintharus という別属として立てるということであろう)が『住み着いている事が多い。このうち、チリイソウロウグモは家主を襲う性質が強く、時に網を乗っ取られている。ヤリグモ』(イソウロウグモ亜科ヤリグモ属ヤリグモ Rhomphaea sagana)『が侵入しているのを見ることも多い。またクサグモヒメバチ』(種限定の寄生蜂であるが、この種群は分類に変更が行われており、よく判らないものの、ヒメバチ科ヒラタヒメバチ亜科 Ephialtes 属(旧クモヒメバチ族Polysphinctini)の一種かとも思われる)『の捕食寄生を受けることが知られている。クサグモヒメバチは巣の中に進入し、クモを麻酔して体表に卵を産み付ける。麻酔から覚めたクモは卵から孵化した幼虫に体液を吸収され、最終的に食べつくされる』。『ごく近縁なものにコクサグモがある。クサグモより小柄だが外見も習性もよく似ており、区別はちょっと難しい。胸の背面にある二本の黒い縦線が、コクサグモでは灰色の横線で区切られているのが区別点である。形態、習性がよく似ているにもかかわらず、産卵習性は大きく異なる。コクサグモは地上の石の下面で産卵し、卵嚢は上面に盛り上がった円盤状で、平坦な面を石の面に密着させる。卵嚢内の卵はクサグモと異なり、越冬後に孵化する』。『より寒冷な地域に多いイナヅマクサグモ』(クサグモ属イナズマクサグモ Agelena labyrinthica)『は、コクサグモに似て、全身が黒っぽい』。『このほか、草の上に棚網を張るクモとしてはヤマヤチグモ』(タナグモ上科ヤチグモ科ヤチグモ属ヤマヤチグモTegecoelotes corasides)『がある。ヤチグモ属のものは普通、地上や朽ち木の下面などに網を張っているが、ヤマヤチグモとその近縁種は背の低い草や低木に棚網を張る。山間では見かけることがある』。『ヤマヤチグモは他のヤチグモと比べると、飼育時にすかさず空間の上方に営巣する傾向が見られ、それによりヤマヤチグモのグループと認識されることが多い』。『コクサグモ、クサグモ、イナズマクサグモは幼体期の色が違うことが知られる』。『都市部では冬はシモフリヤチグモ類』(ヤチグモ科シモフリヤチグモIwogumoa 属)『の幼体が樹皮下で越冬しているものが見られる。また、人家の水周りでは小型のコタナグモ』(タナグモ科Cicurina属コタナグモ Cicurina japonica)『が出現しやすく、シモフリヤチグモまたはメガネヤチグモ』(ヤチグモ科Paracoelotes属メガネヤチグモ Paracoelotes luctuosus)『と思われるものは、雌雄ともに屋内に侵入することも多い』とある。

 

・「稠蜜」「蜜」はママ。稠密。隙間なく多く集まっていること。

・「蔕〔(へた)〕」。先の引用中の巣の前方の描写、『トンネルの口から広がる糸の膜は、トンネルの前方に水平に広がり、周囲はやや上に反る。トンネルの口の周辺はやや漏斗型になっている。糸の膜を支えるように、上に向かって籠状に組まれた糸が膜の上部に広がる。つまり、巣の入り口に網が広がったものである』を喩えたものであろう。

・「一門を開き、出入〔り〕す」上記の通り、実際には奥にももう一つの出入り口が開口している。

・「最も毒あり」くどいが、これもまた有毒種ではない。

・「纏(まとひ〔つき〕)て」こう訓じないとどうも座りが悪い。

・「牛尾を斷つ」無論、こんなことはあり得ない。前に私の経験を記したように、牛の尾の先の体毛が切れたり、牛の尾に擦過傷が生ずることはあろう。或いは、そうしたもののように見える傷(或いは別の生物の攻撃を受けたものであると考えた方がよりよいとは思う)から感染症を起こして壊死して截ち切れたのを、蜘蛛の糸の「毒」と誤認したのかも知れない。

・「遺尿(すばり)す〔れば〕」草蜘蛛が巣を張っているところで不用意に立小便をすると。

・「陰(へのこ)」陰茎。

・「斷〔(たた)〕れ爛るるに至るなり」蚯蚓の小便の類いの不衛生な場所での不届きな排尿を暗に禁ずる迷信である。]

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