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2016/04/19

原民喜「淡章」(恣意的正字化版)  山 / 「淡章」~了

  山

 

 二階から靑田を隔てて見える山は低く、淺い感じがした。山といつても殆ど丘のやうに思へて、何となくもどかしいのであつた。この村へ移つて來て、饑じい月日がつづくにつけ、すぐ目の前に見える山は鬱陶しかつた。何ごとも訴へられない他人であつた。

 しかし、半年あまり住むうち、この山の變つた貌を見附けるやうになつた。この村から一里あまりさきにある電車の驛のホームに立ち、ふと向を見ると、見なれた山が聳えてゐる。それは二階で見る時よりか、はるかに高く思へ、少し氣品さへ添つてゐるのである。連らなる山脈はこまかに雪をいただいてゐたり、うらうらと日の光を呼吸づいてゐるのであつた。

 

[やぶちゃん注:この山は不詳。原民喜が当時住んでいた千葉県登戸(のぶと)町(現在の千葉市中央区登戸)附近からグーグル・アースを用いて調べてみると、最も近い「低く、淺い感じが」する「靑田を隔てて見える」「山」のような対象となると、東北方向一キロメートルほどに位置する千葉市中央区内の亥鼻(いのはな:千葉市中心市街地を形成する都川河口低地の左岸に下総台地から亥(ほぼ北西)の方角に突き出した舌状台地)があるが、「山脈」と述べているから違う。或るいはこれは、その後方へと広がっていた山塊(広域の丘陵地)を指すのかも知れない。しかしそうなると、「この村から一里あまりさきにある電車の驛」から見上げるとその「見なれた山が聳えてゐ」て「それは」自宅の「二階で見る時よりか、はるかに高く思」はれたという叙述と一致する駅を地図上では見出せないでいる。千葉の郷土史家の方の御教授を乞うものである。

 以上を以って「淡章」は終っている。]

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