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2016/06/26

和漢三才圖會卷第五十三 蟲部 目録 / 蠐螬 乳蟲

 

和漢三才圖會卷會第五十三之四目録

  卷之五十三

   化生蟲類

[やぶちゃん注:以下、底本は罫附きの三段で、縦一列の項目の次が次行に続く形となっているが、ここでは一段で示す。和名はルビ風に扱い、下にポイント落ちでつくそれは同ポイントで示した。]

 

蠐螬(すくもむし) きりうじ

蝎(きくいむし)

蠋(はくひむし) 芋虫(イモムシ)

蚇蠖(しやくとりむし)

螟蛉(あをむし)

腹蜟(にしどち)

蟬(せみ)

蚱蟬(むませみ)

蟬獺蛻(せんぜい)

蟪蛄(くつくつはうし)

茅蜩(ひぐらし)

田鼈(たがめ) かうやひじりむし

蜣蜋(せんちむし)

蜉蝣(せんちばち)

天漿子(くそむし)

天牛(かみきりむし)

螻蛄(けら)

螢(ほたる) 蠲(ツチボタル)

衣魚(しみ)

(よなむし) こくうそう

(おめむし)

鼠婦(とびむし)

蜚蠊(あぶらむし) 五噐嚙(ゴキカフリ)

行夜(へひりむし)

竈馬(いとど)

莎雞(きりきりす)

蟋蟀(こほろぎ)

螽斯(はたをり)

蠜螽(ねぎ)

𧒂螽(いなご)

蝗(おほねむし)

蟿螽(はたはた)

松蟲(まつむし)

金鐘蟲(すゞむし)

鑣蟲(くつはむし)

吉丁蟲(たまむし)

金龜子(こがねむし)

叩頭蟲(こめふみむし) こめつきむし

蚉蚉(ぶんぶん)

(あぶ)

蚊(か) 蟭螟(セウメイ)

孑孑(ぼうふりむし)

[やぶちゃん注:正確には下の「孑」は最後の一画が左下から右下へのだんだん太くなる(はらい)である。]

蚋子(ぶと)

竹蝨(やふじらみ)

蠛蠓(かつをむし)

蚤(のみ)

蓑衣蟲(みのむし)

守瓜(うりはへ)

菊虎(きくすひ)

 

  卷之五十四

   濕生蟲類

蟾蜍(ひきかへる) 蟾酥(センソ)

蝦蟇(かへる)

蛙(あまかへる)

蝌斗(かへるのこ)

田父(へびくいかへる)

蜈蚣(むかて)

百足(をさむし)

度古(とこ)

蚰蜒(げぢげぢ)

蠼螋(はさみむし)

蚯蚓(みゝず)

蝸牛(かたつむり)

蛞蝓(なめくぢ)

蜮(いさごむし) 鬼彈(きだん)

沙虱(すなしらみ)

水馬(かつをむし)

鼓蟲(まひまひむし)

(みから)

[やぶちゃん注:「」=「虫」+「魯」。]

砂挼子(ねむりむし)

蚘(人のむし)

唼臘蟲(しびとくらいむし)

(しびとくらいむし)

 

 

 

和漢三才圖會卷五十三

     攝陽 城醫法橋寺島良安尚順

  化生類

Sukumomusi

すくもむし  1蠐 2蠐

きりうじ   乳齋  應條

蠐螬    地蠶

       【和名 須久毛無之】

【唐音】

 ツイツア

[やぶちゃん注:「1」=「虫」+「賁」。「2」=(上)「肥」+(下)「虫」。]

 

本綱蠐螬狀如蠶而大身短節促足長背有毛筋以背滾

行乃駛於脚生樹根及糞土中者外黃内黒生舊茅屋上

者外白内黯皆濕熱之氣熏蒸而化生復從夏入秋蛻而

爲蟬

按蠐蝤今俗呼名賀登者也栗根及薯蕷下多有之大

 抵寸半許似蠶而腰畧細足畧長背有皺筋以背滾行

 蛻而爲蟬但不有毛耳

一種生田園糞土中食斷草木根多爲害者俗呼名木里

 宇之其形似蠶而肥皀色或灰白或赤褐色短足大小

 不一常圓屈而如猫蟠臥狀

 

[やぶちゃん注:ここに縦罫。]
 
 

   【一名土蛹】

乳蟲

 

本綱掘地成2以粳米粉鋪入2中蓋之以草壅之以糞

[やぶちゃん注:「2」=(あなかんむり)+「告」。]

候雨過氣蒸則發開而米粉皆化成蛹如蠐螬狀取蛹作

汁和粳粉蒸成乳食味甘美補虛益胃氣明目又置黍溝

中即生蠐螬亦此類也

 

 

すくもむし  1蠐〔(ひせい)〕   2蠐〔(ひせい)〕

きりうじ   乳齋〔(にゆうせい)〕  應條〔(わうじやう)〕

蠐螬    地蠶〔(ちさん)〕

       【和名、「須久毛無之〔(すくもむし)〕」。】

【唐音】

 ツイツア

[やぶちゃん注:「1」=「虫」+「賁」。「2」=(上)「肥」+(下)「虫」。]

 

「本綱」、蠐螬は狀〔(かたち)〕、蠶のごとくして大きく、身、短く、節、促(つま)り、足、長く、背に毛筋、有り。背を以て滾(まろ)び行(ある)く。乃ち、脚より駛(はや)し。樹の根及び糞土の中に生ずる者は、外、黃にて、内、黒し。舊(ふる)き茅(かや)の屋の上に生ずる者は、外、白く、内、黯(うる)む。皆濕熱の氣、熏蒸して化生す。復た、夏より秋に入り、蛻(もむけ)して蟬(せみ)と爲る。

按ずるに、「蠐蝤〔(すくもむし)〕」、今、俗に呼んで「賀登〔がと〕」と名づくる者なり。栗の根及び薯蕷(やまいも)の下に多く之れ有り。大抵、寸半許〔り〕、蠶に似て、腰、畧(ち)と細く、足、畧〔(ち)と〕長し。背に皺(しは)筋、有り、背を以て滾(まろば)し行〔(ある)〕く。蛻〔(もむけ)〕して蟬と爲る。但し、毛、有るに〔あら〕ざらるのみ。

一種、田園・糞土の中に生じ、草木の根を食ひ斷(き)り、多く害を爲す者、俗に呼んで「木里宇之(きりうじ)」と名づく。其の形、蠶に似て肥へ、皀〔(くろ)〕色、或いは灰白、或いは赤褐色にして、短き足。大小、一つならず。常に圓屈して、猫蟠(わだまま)り臥(ふ)す狀〔(かたち)〕のごとし。

 

[やぶちゃん注:ここに縦罫。]

 

  【一名、「土蛹〔(どよう〕」。】

乳蟲〔(にゆうちゆう)〕

 

「本綱」、地を掘りて窖(あなぐら)を成す。粳米〔(うるちまい)〕の粉〔(こ)〕を以て窖の中に鋪〔(し)き〕入〔れ〕、之れを蓋〔(おほ)〕ふに草を以てし、之れを壅(ふさ)ぐに糞(あくた)を以〔てし〕、雨、過〔ぎ〕、氣、蒸(む)せるを候〔(ま)ち〕て、則ち、發-開〔ひら〕けば、米〔(こめ)〕の粉、皆、化して蛹〔(さなぎ)〕と成り、蠐螬(すくもむし)の狀〔(かたち)〕のごとし。蛹を取りて汁と作し、粳粉〔(うるちこ)〕に和(ま)ぜて蒸して乳食〔(にゆうしよく)〕と成す。味、甘美。虛を補し、胃の氣を益す。目を明にす。又、黍〔(きび)〕を溝の中に置けば、即ち、蠐螬を生ずるも亦、此の類ひなり。

 

[やぶちゃん注:良安の附言の冒頭は「蠐螬」ではなく、「蠐蝤」であるが、実はどちらも少なくとも現在の中国語では同一の生物を指していることが判ったのでママとした(東洋文庫版現代語訳は読者の困惑を考慮してか、「蠐螬」に変えてあるけれども、注もなく、褒められた仕儀ではない)。これは所謂、「地虫」、本邦では主に、

鞘翅(コウチュウ)目多食(カブトムシ)亜目コガネムシ下目コガネムシ上科コガネムシ科スジコガネ亜科スジコガネ族スジコガネ亜族コガネムシ属 Mimela に属するコガネムシ類の幼虫

を指す。和名「すくもむし」の「すくも」とは、古くから、葦や萱(かや)などの枯れたものや、藻屑、葦の根などを指したようだが、語源は不明である。

 

・「黯(うる)む」黒ずんでいる。

・「濕熱の氣、熏蒸して化生す」トンデモ化生説であるが、そもそもこの種以降は「本草綱目」では化生(かせい:ある物質や生物が形を変えて全く別個な生物として生まれ出ること。「けしやう(けしょう)」と読む場合は厳密には仏教用語となり、自分の超自然的な力によって忽然と生ずることを意味し、天人や物怪の誕生、死者が地獄に生まれ変わることなどを指すが、中国本草ではそれらがやや混淆しており、本邦ではそれがまた一段と甚だしく、ここでも良安は「けしょう」と読んでいる可能性もあるのであるが、私個人は仏教用語と本草学用語を区別するため、本書のそれは仏教用語と限定出来る用法以外は、卵生・湿生・胎生と併せて「かせい」と読むことにしている)類なのである。

・「蛻(もむけ)して蟬(せみ)と爲る」半翅(カメムシ)目頸吻亜目セミ型下目セミ上科 Cicadoidea の蟬類の幼虫は、太く鎌状に発達した前脚で木の根に沿って穴を掘り進み、長い口吻を木の根に差し込んで根の道管から樹液を吸って成長するが、このヒトが「根切り虫」と称して俄然、害虫とする類いとは異なり、甚大な樹木被害を起こすとは思われない。そもそもが蟬ではない上に、こういう冤罪を書かれては、蟬も立つ瀬がなく、小便の一つもひりたくなるではないか!

・「賀登〔がと〕」「日本国語大辞典」に『昆虫「じむし(地虫)」の異名』とし、「丹波通辞」に『蠐螬(すくもむし) がと』と出るという記載がある。同書は作者不詳で明治三七(一九〇四)年刊の方言語彙集らしい。しかし、本書完成の正徳二(一七一二)年にはかく呼ばれていた事実があるのだから、この引用例よりも本篇部分を出すべきであろう。

・「薯蕷(やまいも)」単子葉植物綱ヤマノイモ目ヤマノイモ科ヤマノイモ属ヤマノイモ Dioscorea japonica の自生種。

・「寸半」四・五センチメートル。

・「毛、有るに〔あら〕ざらるのみ。」要するに、毛が生えていない、というのであるが、これは何を説明しているのかと言えば、当然、蟬(普通のどんな種でも外骨格のセミにはぼうぼうと毛なんぞ生えてはおらぬ)ではなくて、幼虫のことである。毛虫とちゃう、ということか。にしてもこんな最後に突然それを言うのは、はっきり言って「ヘン」。この訓点(送り仮名)も何だかひどく「ヘン」なので迂遠にも括弧の部分を補わざるを得なかった。

・「木里宇之(きりうじ)」「根切り蛆」の謂いであろう。

・「常に圓屈して、猫蟠(わだまま)り臥(ふ)す狀〔(かたち)〕のごとし」この観察、気に入りました、良安先生。

・「乳蟲〔(にゆうちゆう)〕」実際にある歳時記に「乳虫(にゅうちゅう)」を挙げて、地虫の類いを言うらしいとあったから、相応に古くから本邦でもこういう別名で呼ばれていたらしいことが、この記載からも判る。以下の解説とは別に、白い幼虫のそれはかく呼ぶんで自然な気はする。

・「粳米〔(うるちまい)〕」米飯用として用いられる普通の米。「粳(うるち)」とは米・粟・黍などの穀類の中でも、その種子を炊いた際、粘り気の少ない品種を広く指す語である。

・「糞(あくた)」「糞」は排泄物以外に広く、「垢(あか)」とか「滓(かす)」の意味(「目糞」「鼻糞」の類い)があるので、こうした訓を振り、腐葉土などの意味で用いても、なんらおかしくはない。

・「雨、過〔ぎ〕、氣、蒸(む)せる」雨期(本邦の梅雨)終了の直後。

・「候〔(ま)ち〕て」待って。「候(うかが)ひて」と訓じることも出来る。

・「米〔(こめ)〕の粉、皆、化して蛹〔(さなぎ)〕と成り」ここもまた、トンデモ化生説。

・「乳食」ミルク状の食物の意。

・「虛」漢方で広く健全なる気力や精気が消耗している状態を指す。]

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