フォト

カテゴリー

サイト増設コンテンツ及びブログ掲載の特異点テクスト等一覧(2008年1月以降)

The Picture of Dorian Gray

  • Sans Souci
    畢竟惨めなる自身の肖像

Alice's Adventures in Wonderland

  • ふぅむ♡
    僕の三女アリスのアルバム

忘れ得ぬ人々:写真版

  • 縄文の母子像 後影
    ブログ・カテゴリの「忘れ得ぬ人々」の写真版

Exlibris Puer Eternus

  • 吾輩ハ僕ノ頗ル氣ニ入ツタ教ヘ子ノ猫デアル
    僕が立ち止まって振り向いた君のArt

SCULPTING IN TIME

  • 熊野波速玉大社牛王符
    写真帖とコレクションから

Pierre Bonnard Histoires Naturelles

  • 樹々の一家   Une famille d'arbres
    Jules Renard “Histoires Naturelles”の全挿絵

僕の視線の中のCaspar David Friedrich

  • 海辺の月の出(部分)
    1996年ドイツにて撮影

シリエトク日記写真版

  • 地の涯の岬
    2010年8月1日~5日の知床旅情(2010年8月8日~16日のブログ「シリエトク日記」他全18篇を参照されたい)

氷國絶佳瀧篇

  • Gullfoss
    2008年8月9日~18日のアイスランド瀧紀行(2008年8月19日~21日のブログ「氷國絶佳」全11篇を参照されたい)

Air de Tasmania

  • タスマニアの幸せなコバヤシチヨジ
    2007年12月23~30日 タスマニアにて (2008年1月1日及び2日のブログ「タスマニア紀行」全8篇を参照されたい)

僕の見た三丁目の夕日

  • blog-2007-7-29
    遠き日の僕の絵日記から
無料ブログはココログ

« PTA会長   梅崎春生 | トップページ | クツの付属物   梅崎春生 »

2016/08/17

人口が半減すれば   梅崎春生

 

 この狭い国土に、四つの小さい島に、一億近くの人間がひしめいている。いくらなんでも一億とは多過ぎる。せめてこれが半分の五千万なら、風通しもよくなるし、各自の所得もふえて、暮しよくなるだろう。とある人に語ったら、その人がいった。

「暮しよくなるかねえ。たとえば君の場合で考えてみよう。人口が半分になれば、雑誌の発行部数も半分になる。五十万の雑誌は二十五万に、十万のは五万となる。すると原価計算の関係で、君の稿料もそれに応じて減らされる。それから単行本を出すとして、君の本がいま一万出ているとすれば、当然それは五千部しか出ないことになり、したがって印税収入も半分になる。人口が半分になれば、映画産業も縮小される。縮小されれば、まっさきに買いたたかれるのは原作料だ。あらゆる点において、君の収入は減って、大体いまの半分以下になってしまう。

 いま君は飲むや飲まず(お酒)の生活をしているそうだが、人口が半分になれば、親子四人、本当に食うや食わずの生活に追い込まれてしまうよ。

 それでいいかね?」

 それは困る。食うや食わずの生活はしたくない。

 したくないけれども、この狭い国土に一億人とは、どう考えてみても、多過ぎるような気がする。

 

[やぶちゃん注:本篇は昭和三三(一九五八)年六月十三日附『毎日新聞』掲載。底本は沖積舎「梅崎春生全集 第七巻」に拠った。なお、この昭和三十三年当時の日本の総人口は九千百七十六万七千人、内、男性は四千五百七万八千人、女性は四千六百六十八万九千人であった。]

« PTA会長   梅崎春生 | トップページ | クツの付属物   梅崎春生 »