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2017/08/22

北越奇談 巻之三 玉石 其十九(鍾乳石)

 

    其十九

 

Syounyuuseki

 

[やぶちゃん注:図をここに示す。既に右に半分出ている「音穰石」(おんじょうせき)は「北越奇談 巻之三 玉石 其十六(奇石数種)」合成画像を出した。左端のキャプションだけを電子化しておく。

 

白玉氷柱(白玉(はくぎよく)、氷柱(ひやうちう)のごとし)

  乳石の長ずる

  ものか 石髄か

 

「乳石」は図の上部の絵で見る通り、現在の鍾乳石(鍾乳石は狭義には垂れ下がるものをのみ指し、鍾乳石の下に出来るものは石筍(せきじゅん)・石柱として区別されるが、広義にはそれらを含む語としても使用されてはいる)である。左下の奇体なそれはよく判らない。鍾乳石が複数密集したものにしては、絡み方が普通でない。ある種の枝珊瑚の形骸のようにも見えなくはない。「石髄」は岩石学では「リソマージ」(lithomarge)と呼ばれる、長石に富む岩石が風化してできた緻密なカオリン(kaolin:白陶土。岩石中の長石の分解によって出来た残留粘土)を主とする土で、数種類の柔らかい粘土状の物質を指す。]

 

 妻有郷(つまありがう)十日町、山中絶壁の下(した)、乳石(にうせき)を出(いだ)す。甚だ、上品なれ共(ども)、常に採り得ること、難(かた)し。河内谷(かはちだに)より出(いづ)る所の石髓(せきずい)、岩下(がんか)に滴(したゞ)り、大塊(たいくわい)を成すもの、百蛇(ひやくだ)、相(あい)纏(まと)ふがごとく、奇怪の形、云ふべからず。此内、乳石を生ず。五泉(ごせん)、何某(なにがし)の藏(ぞう)する所、高サ四尺計(ばかり)、囘(めぐり)一圍半(いちゐはん)、左に圖す。堅實にして、刀刃(とうじん)の及ぶ所にあらず。其色光(しよくくはう)、白し。只し、水昌(すいせう)には劣れる物なり。

 

[やぶちゃん注:「妻有郷(つまありがう)十日町」越後妻有は新潟県十日町市及び新潟県中魚沼郡津南町(つなんまち)に及ぶ広域地名。この中央附近(グーグル・マップ・データ)。ただ、この地区で現在、鍾乳石が採取出来るという情報はネット上には見当たらないようである。

「河内谷(かはちだに)」新潟県糸魚川市上路河内谷。(国土地理院地図)。この地区も現在、鍾乳石が採取出来るという情報はネット上には見当たらない。

より出(いづ)る所の石髄(せきずい)、岩下(がんか)に滴(したゞ)り、大塊(たいくわい)を成すもの、百蛇(ひやくだ)、相(あい)纏(まと)ふがごとく、奇怪の形、云ふべからず。「此内、乳石を生ず」は半可通。前の岩の下に滴ったものが、百匹もの蛇が絡み合ったものの如き奇怪な形の大きな塊りの中に、鍾乳石が生ずるという意味と採るしかないが、何だか、それも私には意味を成しているようには読めぬ。私が馬鹿なのか? どなたか、お教え願えると助かる。

「五泉(ごせん)」地名ととった。何故なら、現在の新潟県五泉市刈羽字大沢乙には「大沢鍾乳洞」が存在するからである((グーグル・マップ・データ))。五泉市の南、五泉市公式サイト解説によれば、『田上町との境をつなぐ大沢峠にあるめずらしい鍾乳洞で』、『大沢鍾乳洞は新生代新第三紀世』(二千四百万年から百八十万年前)『に砂が堆積してできたやわらかい砂岩の層が盛り上がり、陸となった後に形成され』たものとされる。『日本にある鍾乳洞の多くは数億年前の石灰岩という硬い岩石の』中に生じたものが殆んどで、『このように新しい地層の中にできた鍾乳洞は全国的にも珍し』いとする。現在の大沢鍾乳洞の総延長は百四十五・九メートル、高低差は十七メートルである。『もとはたくさんの鍾乳石や石筍があったといわれてい』る『が、今は天井、壁などにわずかしか見られ』ないとあるから、近代以前にその多くが採石されてしまったものと読める。

「囘(めぐり)一圍半(いちゐはん)」身体尺の両腕幅の「比呂」ならば二メートル二十七センチほどになる。高さが一・二メートルもあり、しかも図の左に描かれたように、ごちゃごちゃになったそれだから、その円周はこれくらいはありそうに見える。

「水昌(すいせう)」水晶のことであろう。]

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