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2017/08/17

北越奇談 巻之三 玉石 其六(蛇崩れ海中の怪光石)

 

    其六

 

 出雲崎の南(みなみ)、勝海(かつみ)と云へる所、先年、海岸の絶壁、崩れ、蛟竜(こうりやう)出(いで)て、海に入(いる)。名付(なづけ)て「蛇崩(じやくづ)れ」と云ふ。其後(そののち)、村老(そんろう)五左衞門と云へる者、一夜(いちや)出(いで)て海上(かいしよう)を望み見るに、山のなだれ落(おち)たる所、水底(すいてい)に光(ひかり)ありて、波上(はしよう)に月影(げつえい)を見るがごとし。村老、怪(あやしみ)て、夜々(やゝ)、是を試(こゝろむ)るに、猶、燦然(さんぜん)たり。即(すなはち)、勇壯の若者に命じて舟を漕寄(こぎよせ)、光につきて水底を潛(くゞ)り、尋ね求むるに、一塊(いつくはい)の白石(はくせき)あり。是を得て、家に歸れば、即、水上(すいしよう)の光、不ㇾ見(みへず)。此石、夜々(よゝ)、猶、照ㇾ席(せきをてらす)。見る人、市(いち)を成す。縣令(けんれい)、これを聞(きゝ)て、下官(げくわん)に命じて借りて見んことを欲す。村老、辭すること能(あた)はず。終(つゐ)に是を獻じて、東武に至る。後(のち)三年にして反(かへす)。其玉(ぎよく)石、已に、光、失(しつ)して、なし。今、猶、其家(いへ)、是を藏(かく)すと雖も、不ㇾ堪弄玩(らうぐはんにたへず)、實(じつ)に惜(おし)むべし。

[やぶちゃん注:「勝海」現在の新潟県三島郡出雲崎町勝見。(グーグル・マップ・データ)。

「蛟竜(こうりやう)」登蛇(とうだ)に既出既注。かく記す以上、暗にこの石を龍に付属する霊石としての「龍の玉」だと言いたいわけである。

「蛇崩(じやくづ)れ」奇」の「其二 燃水(もゆるみづ)」に「上蛇崩(かみじやくづれ)」として既出既注であるが、再掲する。現在の勝見地区に「蛇崩丘(じやくずれおか)」という場所を見出せる。位置はマッピン・データのこちらで確認されたい。今回、グーグル・ストリートビューで見たが、遠望と推定される。それらしい山体(尾根)ではある。

「光につきて」海底の発光するその光の筋(方向)に従って、発行源に向けて。

「水上(すいしよう)の光、不ㇾ見(みへず)」海上に見えていた発光は見えなくなっていた。言わずもがなであるが、この石がその怪光現象の原因であったことの明示。

「照ㇾ席(せきをてらす)」「席」は会所で石を置いてある接待用(後で門前市を成すことから)の居間、大広間の意ととっておく。

「縣令(けんれい)」律令制に於いて国司の下にあって郡を統治した地方官である「郡司(ぐんじ)」の異称。ここは江戸時代の諸藩にあった天領(幕府直轄地)の行政に当たった代官のこと。江戸時代の出雲崎は佐渡からの金銀を荷揚げする港町であったことから天領であった。まさにこの蛇崩れ附近の東北のごく直近の出雲崎町尼瀬に代官所がある(グーグル・マップ・データ)。

「東武」江戸。

「藏(かく)す」所蔵する。

「不ㇾ堪弄玩(らうぐはんにたへず)」最早、不思議な光りを失ってしまっているため、観賞するに堪えるものではなくなってしまっている。]

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