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2017/09/21

和漢三才圖會卷第五十三 蟲部 ※(のみ)


Nomi

のみ  蚤 【並同字】

     【和名乃美】

𧎮【音早】

 

ツア◦ウ

 

説文𧎮人跳蟲六書正譌云𧎮蟲省叉聲葢蚤則得

之緩輒失之辨之在蚤故爲早暮之早又云叉者古爪字

万寶全書云五月五日午時採石菖蒲晒乾爲末放蓆下

則蚤永無矣

五雜組云以桃葉煎湯澆之則蚤盡死

△按蚤赤色肥身小首六足能跳夏月人家生於濕熱氣

 而自在牝牡其大者牝腹有白子成小蚤牡者却小故

 謂婦大於夫者稱蚤婦夫稱矣凡𧒂螽莎雞蟋蟀螽斯

 之類亦雄小而不好鳴雌大而善鳴也如鶯雲雀山雀

 等小鳥雄大而善囀雌小而不能囀上下各別也

 

 

のみ  蚤 〔(さう)〕【並びに同字。】

     【和名「乃美」。】

𧎮【音、早。】

 

ツア

 

「説文」、𧎮人を囓りて跳ぶ蟲。「六書正譌〔(りくしよせいか)〕」に云はく、『「𧎮」、「蟲」の省くに从〔(したが)ひ〕て、「叉(さ)」の聲〔(せい)〕なり。葢〔(けだ)〕し、「蚤(はや)」きときは、則ち、之れを得〔れども〕、緩〔(ゆる)〕きときは、輒〔(すなは)〕ち、之れを失ふ。之れ、辨ずること、「蚤(あした)」に在り。故に「早暮(あさゆく)」の「早〔さう〕」と爲す。又、云ふ、「叉」は古への爪(つめ)の字なり〔と〕。

「万寶全書〔(ばんはうぜんしよ)〕」に云はく、五月五日午の時、石菖蒲〔(せきしやうぶ)〕を採りて、晒し乾し、末と爲〔し〕、蓆(むしろ)の下に放ち〔おけば〕、則ち、蚤、永く無し。

「五雜組」に云はく、桃〔の〕葉の煎〔じ〕湯を以つて之れに澆(そゝ)げば、則ち、蚤、盡く死す。

△按ずるに、蚤、赤色、肥えたる身、小首、六足にして、能く跳ぶ。夏月、人家〔にて〕、濕熱の氣より生じて、自〔(おのづか)〕ら、牝牡〔(ひんぼ)〕在り。其の大なる者は牝〔(めす)〕、腹に白き子有りて小蚤〔(このみ)〕と成る。牡は却つて小さし。故に、婦、夫より大なる者を謂ひて、「蚤の婦夫(めをと)」と稱す。凡そ、𧒂螽(いなご)・莎雞(きりぎりす)・蟋蟀(こほろぎ)・螽斯(はたをり)の類、亦、雄は小さくして好く鳴かず。雌、大にして善く鳴くなり。鶯・雲雀・山雀・等のごとき小鳥は、雄は大にして善く囀〔(さえず)〕り、雌は小にして能く囀(さへづ)らず。上〔(う)〕へ・下、各別なり。

 

[やぶちゃん注:本文は人を刺しているので、隠翅(ノミ)目ヒトノミ科 Pulicidae のヒトノミ属ヒトノミ Pulex irritans に比定し得るが、実は本邦では衛生環境の向上によってヒトノミは殆んど存在しなくなっており、その代わり、イヌノミ属 Ctenocephalides のネコノミ Ctenocephalides felis やイヌノミ Ctenocephalides canis による人への刺傷ケースが増えている(ネコノミのケースが多い)。私は大学一年の時、二階の三畳の下宿で、大家が飼っていた猫のネコノミに刺された経験があるが、ハンパなく痒い。

 

「六書正譌〔(りくしよせいか)〕」東洋文庫の書名注に、『五巻。元の周伯琦撰。『説文』によって説明し、また自説によって考察したもの。隷字・俗字も併記している』とある。

『「蟲」の省くに从〔(したが)ひ〕て』虫の一部を省略し、そこに別字を入れることで、新たに作った字(この場合は、意味も違うもので異体字ではない)であることを示す。

『「叉(さ)」の聲〔(せい)〕なり』古い中国音なので一致しないが、「蚤」の音「サウ」の「サ」の反切として誤魔化しておこう。なお、「叉」には「刺す」の意があるから、意味上のそれもあろうとは思う。

『「蚤(はや)」きときは』「蚤」には生物種のノミが第一義乍ら、「早い・速い」の意が第二義にある。ここは人が素早くノミを捕えようとする時は、の意。

「緩〔(ゆる)〕きとき」ゆっくりとそれを行っては。

「之れを失ふ」ノミを捕えられない。

「之れ、辨ずること」この字義を解説するならば。

「蚤(あした)」読みはママ。「あした」は直に来る「明日」或いは「早朝」で、以下に「早暮(あさゆく)」とあるように、現在の「早晩」であり、もともとは「早いことと遅いこと」の謂い乍ら、現在、「近いうちにきっと」の意で用いられるように、この前の「早〔さう〕」の意をのみ採る語であるから、「早い」=「速い」=すばしっこいの謂いとなるのであろう。

『「叉」は古への爪(つめ)の字なり』実は「蚤」は「爪」に通ずると漢和辞典にあり、「蚤」と同字である「」の字も音通ながら、イメージとしては「刺す」ことを「爪で引っ掻く」の意に通じさせたようにも感じさせる字である。

「万寶全書〔(ばんはうぜんしよ)〕」東洋文庫の書名注に、『無名氏撰。清の毛煥文増補の『増補万宝全書』がある。三十巻。百科事典のたぐい』とある。

「石菖蒲〔(せきしやうぶ)〕」単子葉植物綱 ショウブ目ショウブ科ショウブ属セキショウ Acorus gramineus。本邦では端午の節句の菖蒲湯はショウブ(ショウブ属ショウブ変種ショウブ Acorus calamus var. angustatus)を使用しているが、少なくとも中国や漢方に於いてはショウブではなく、このセキショウを指す。ショウブは中国では白菖(蒲)とする。

「末」粉末。

「桃〔の〕葉」漢方では中国原産のバラ目バラ科モモ亜科モモ属モモ Amygdalus persica 或いはノモモ(Amygdalus persica var. davidiana)の葉を用いる。モモの葉にはタンニンやニトリル配糖体が含まれており、鎮咳作用やボウフラ殺虫作用が知られており、漢方でも殺虫の効能があり、頭痛・関節痛。湿疹などにも用いる。

「其の大なる者は牝〔(めす)〕、腹に白き子有りて小蚤〔(このみ)〕と成る。牡は却つて小さし。」現認し易いネコノミを例にとると、で体長は二~三・五ミリメートルであるのに対して、は一・五~二・五ミリメートルであり、特には腹部が大きく、三ミリ以上あれば、である。

𧒂螽(いなご)莎雞(きりぎりす)蟋蟀(こほろぎ)螽斯(はたをり)の類、亦、雄は小さくして好く鳴かず。雌、大にして善く鳴くなり」各種(群)は総て既出項。種(群)同定その他は私の注を参照されたい(特異的に本文部にリンクさせた)。性的二型の部分は概ね正しい(有意にが大きいものが多いが、有意には違わない種もあることはある)ものの、鳴くのは殆んどがが鳴く種もある)であり、誤りであるが鳴くのは、例えば、キリギリス科ツユムシ亜科 Ducetia 属セスジツユムシ Ducetia japonica やキリギリス科ツユムシ亜科クダマキモドキ属サトクダマキモドキ Holochlora japonica などである。「図鑑.net モバイルブログ」の松沢千鶴氏の「雌(メス)が鳴く種もいる? 鳴く虫たち」を読まれたい)。

「鶯」スズメ目ウグイス科ウグイス属ウグイス Horornis diphone の体長はで十六センチメートル、メスで十四センチメートル。♀♂ともによく鳴くが、のみが囀る点で正しい

「雲雀」スズメ目スズメ亜目ヒバリ科ヒバリ属ヒバリ Alauda arvensis であるが、ヒバリはも体長は十七センチメートルほどで、見分けがつかない。従って、ここに挙げるのは不適切である。は冠羽を立たせていることが多いという記載もあるが、もよく立てるとする否定記載もある。縄張指示や繁殖期にはが有意によく鳴く

「山雀」スズメ亜目シジュウカラ科シジュウカラ属ヤマガラ Parus varius も、♂♀ともに体長は十三~十五センチメートルで、見分けがつかない。これも大きさでは不適切。但し、やはりの方がよく鳴く

「上〔(う)〕へ・下、各別なり」自然空間の「上」部である空を主たる行動空間とする「鳥」と、「下」部の地面及びその近接域を棲息域とする「虫」とでは、それぞれ、生態習性が全く異なるのである。]

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