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2017/10/29

トゥルゲーネフ「散文詩」全篇 神西清個人訳(第一次改訳) 鷓鴣(しやこ)


Syako

   鷓鴣(しやこ)

 

 執念深い痼疾に惱みながら、私は寢床の中で思つた、「これはなんの報いだらう。なぜ私が、他ならぬこの私が罰せられるのだ。不公平だ。どう考へても不公平だ。」

 收穫の濟んだ後の切株の繁みに、二十羽ほどの鷓鴣が群れてゐた。互ひに身を摺寄せて、愉しげに軟かな土を啄む。

 そのとき遙かに犬が吠えかかる。鷓鴣は仲好く、一齊に飛立つ。途端に響く銃聲。翼を射拔かれた一羽の鷓鴣が、傷みに堪へず落ちる。やつとの事で足を引摺つて、蓬の叢に身をかくす。

 犬が嗅ぎ𢌞つてゐるあひだ、不運なその鷓鴣も矢張り思ふに違ひない、「仲間は二十羽だつたのに、なぜ私が、この私だけが射落されて、死んで行かねばならないのか。私が番に當る譯でもあるのか。いやいや、どうしても不公平だ。」

 寢ておいで、病人よ、死が嗅ぎつけるまで。

             一八八二年六月

 

[やぶちゃん注:中山版では挿絵がないが、一九五八年岩波文庫刊の神西清・池田健太郎訳「散文詩」版にはあるので、それを附した。

「鷓鴣」詠まれた年からロケーションはパリ近郊と推定されることから、フランス北西部に棲息する鳥綱キジ目キジ科ヤマウズラ属ヨーロッパヤマウズラの地方亜種 Perdix perdix armoricata に同定しておく。胸の上がより赤い。本種群は古くから狩猟の対象とされている。ツルゲーネフも小説「狩人日記」を読むと、ロシア時代に彼ら(ロシア産は地方亜種 Perdix perdix robsta)を銃で狩りした。例えば、ホーリとカリーヌィチを見よ(リンク先は私の中山省三郎訳の古い電子テクスト)。]

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