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2017/12/17

小泉八雲 神國日本 戸川明三譯 附やぶちゃん注(26) 禮拜と淨めの式(Ⅳ)

 

 大きな神社に於ける祭典の儀式の中の大事な事項は、供物を扨捧げる事、祝詞を讀む事、竝びに巫女の舞である。これ等のことには、それぞれ傳統に依つて、堅くその事に結びついた特別な性質が件なつて居る。食物の供御は、琺瑯を引いてない素燒の古風な器(大抵は赤色の土器――かはけ)を以てせられ、炊いた白飯は棒砂糖のやうに圓錐形に押しけられ、それに加へるに、魚、食用海草、果實、鳥類、それから太古からの形そのままの德利に入れて捧げられたる酒がある。これ等の供物は不思議な形をした白木の盆の上にのせて神託に運ばれる、――それを運ぶ人の顏は兩眼以下、白紙を以て蔽はれて居る、それはその人が神々の食物を汚さないやうにとの爲めである、そして同樣な理由から、盆も十分に腕をのばして持ち運ばなければならないのてある……。古代にあつては供物の内に、食物よりもつと遙かに高價な名のが含まれて居たらしく思はれる、――恐らく日本語に於ける現存して居る最古の文書である、神這の儀典則ち祝詞の證明する處を信賴し得るとすれば、次に擧げる龍田の風祭神に向つて爲された祝詞の、サトウ氏の飜譯の抄錄は興味あるものである。それは祝詞の言語の立派な一例としてのみならず、また上古に於ける大儀式の特賀と供物との性質とを示す名のとして興味があるのである、――

[やぶちゃん注:以下、底本では全体が四字下げでポイント落ち。底本は総ルビであるが、一部に限った。]

 

 奉るうづの幣帛(みてぐら)は、男神(ひこがみ)に御服(みそ)は明妙(あかるたへ)照妙(てるたへ)和妙(にぎたへ)荒妙(あらたへ)五色(いついろ)の物、楯(たて)戈(ほこ)御馬(みうま)に御鞍(みくら)具へて、品品(いろいろ)の幣帛(みてぐら)獻(たてまつ)る。女神(ひめかみ)に御服(みそ)備へ、金(こがね)の麻笥(をけ)、金の揣(たたり)、金の挊(かせひ)、明妙照妙和妙荒妙五色の物、御馬に御鞍具へて、雜(くさぐさ)の幣帛奉りて、御酒(みき)は壞開高知り、𤭖(みか)の腹滿(はらみ)て雙(なら)べて 和稻(にぎしね)荒稻(あらしね)に、山に住む物は、毛の和物(にぎもの)毛の荒物(あらもの)、大野の原に生ふる物は、甘菜(あまな)辛菜(からな)、靑海原に住む物は、鰭(はた)の廣物(ひろもの)鰭の狹物(さもの)、奧(おき)つ藻菜(もは)邊(へ)つ藻菜に至るまでに、橫山のごと打ち積み置きて、奉る此のうづの幣帛を、安幣帛(やすみてぐら)の足幣帛(たらしみてぐら)と、皇神(すめがみ)の御心(みこころ)に平(たひら)けく聞(きこ)し食(め)して、天(あめ)の下(した)の公民(おほみたから)の作りと作る物を、惡(あし)き風荒き水に遭はせ賜はず、皇神(すめかみ)の成し幸(さち)はへ賜はゞ、初穗に𤭖(みか)の上(へ)高知(かたし)り、𤭖(みか)の腹滿て雙べて、汁にも頴(かひ)にも、八百稻(やほしね)千稻(ちしね)に引き居(す)ゑ据(お)きて、秋の祭(まつり)に奉らむと、王卿等(おほきみまへつきみたち)、百官人等(もものつかさのひとたち)、倭(やまと)の國の六(むつ)の御縣(みあがた)の刀彌(とね)、男女(をとこをみな)に至るまでに、今年四月(うづき)(七月(ふみづき)には今年七月(ふみづき)と云ふ)諸參(もろまゐ)り集(つど)ひて、皇神(すめかみ)の前に、うじもの頸根(うなね)衝拔(つきぬ)きて、今日(けふ)の朝日の豐榮登(とよさかのぼり)に、稱辭(たたへごと)竟(を)へ奉る。皇御孫命(すめみまのみこと)のうづの幣帛を神主祝部(はふり)等(ラ)受賜(うけたまは)りて、堕(お)つる事なく奉れと宣(の)りたまふ命(みこと)を、諸(もろもろ)聞(きこ)し食(め)せと宣(の)る。

譯者註先生の引用したのはサトウ氏の飜譯てある。これは祝詞の其條下を讀みよくした譯文で、有朋堂の叢書から取つたものである。

[やぶちゃん注:私は祝詞の総ての意味を理解している訳ではない。但し、私の所持する平井呈一氏の訳ではアーネスト・サトウの訳が、前の本文にちゃんと載っており、これは非常に分かり易い。やや長いが、以下の引用して参考に供しておく。万一、著作権侵害を指摘された場合は、除去する。

   《引用開始》

「若い男神に供える大きな供物として、わたくしはいろいろの供物をおそなえいたしました。衣服には明るい布、光った布、柔らかな布、あらい布、――五いろの物、タテ、ホコ、鞍をつけた馬。――また若い女神には、規定の衣服、黄金の糸ばこ、黄金のタタリ、黄金のカセヒ、明るい布、光った布、柔らかな布、あらい布、五いろの物、鞍をつけた馬など、いろいろの供物をおそなえいたしました。――酒は高い壺と低い壺にいっぱい入れ、柔らかな穀粒にあらい穀粒、――山に住むものは、毛の柔らかなものに毛の剛いもの、――大きな野原にはえるものは、甘い菜に辛い菜、――青い海原に住むものは、幅のひろい魚に幅のせまい魚から――沖の海藻に岸の海藻に至るまで。そして、山のように積み上げたこの大きな供物を、もし神厳な神々が平らかなみ心で、平和な供物、満足された供物としてお受けなさるなら――神厳な神々が、天が下の国の大いなる民のつくったこれらの物に、悪い風や荒い水のこないように、よいみのりとお恵みを下さるならば、秋には初なりの果物を、高い壺や低い壺にいっぱい入れて供え、またそれを汁や実に、幾百の稲や幾千の稲にひいてお供えいたしましょう。そしてこの目的のために、王侯、諸卿、百官、ヤマトの国六県の男女の使役人どもが、この年四月に来たり集まって、神厳なる神々のみ前で、鵜のように首をつきさげて、きょうの太陽が輝かしくのぼるときに、賞讃のことばをささげまつります‥‥」

   《引用終了》

「揣(たたり)」は古代の祭儀用具と思われ、方形の台に三十六センチメートル強の柱を立てたものと推定されている(語源は「立在」の義とする説がある)。「挊(かせひ)」は或いは「挊木」(かせき/かせぎ))で紡錘(つむ)で紡(つむ)いだ糸をかけて巻きつけるための「工」の字形をした器具のことではあるまいか。]

 

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