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2018/01/04

和漢三才圖會第四十一 水禽類 鷁(げき)〔?〕


Geki

げき   【同】

【音逆】

 

本綱鷁似鸕鷀而色白人誤爲白鸕鷀是也雌雄相視雄

鳴上風雌鳴下風而孕口吐其子莊子所謂白相視眸

子不運而風化者也昔人以吐雛爲鸕鷀者非也善高

飛能風能水故舟首畫之

――――――――――――――――――――――

【一名鳥𪇰】 似而短項背上綠色腹背紫白色

△按舟畫龍頭鷁首者鷁是也五雜組云昔人謂其

吐而生子未必然也

 

 

げき   〔(げき)〕【同じ。】

【音、「逆〔(げき)〕」。】

 

「本綱」、鷁は鸕鷀〔(う)〕に似て、色、白し。人、誤りて「白鸕鷀〔(しろう)〕」と爲すは是れなり。雌雄、相ひ視て、雄は上風に鳴き、雌は下風に鳴きて孕む。口より、其の子を吐く。「莊子」に所謂、『白、相ひ視て、眸子〔(ばうし)〕運〔(めぐ)〕らさずして、風化す』といふ者なり。昔人、雛を吐く以つて鸕鷀〔(う)〕と爲(す)るは非なり。、善く高く飛び、風に能(た)へ、水に能(た)ふ。故に舟の首〔(かしら)〕に之れを畫〔(ゑが)〕く。

――――――――――――――――――――――

【一名、「鳥𪇰〔(てうほく)〕」。】 (げき)に似て、短き項〔(うなじ)〕、背の上、綠色。腹・背、紫白色。

△按ずるに、舟に龍頭鷁首を畫(ゑが)くは、鷁、是れなり。「五雜組」に云はく、『昔人、、其れ、吐して子を生むと謂ふこと、未だ必ずしも然らざるなり』〔と〕。

 

[やぶちゃん注:既注の通り、(=鷁)」は鷺(さぎ)に似た大形の水鳥で、船首にこの水鳥を象った飾りを付けることで知られるが、実は想像上の鳥である。因みに、「鶂鶂(げいげい)」ならば、鵞鳥(がちょう)の鳴き声を表わす(しかし、ガチョウは既に出たから使えない)。グーグル画像検索の「を見て戴くと判るが、実在する鳥の形象化とは思えない鳳凰めいた怪鳥である。大きな水鳥で白が基本となると、敢えて言うなら、白鷺で、その青ヴァージョンと言うなら青鷺がイメージはされるが、実はこの後に彼らは別項として「鷺」及び「蒼鷺」として出るから、彼らではないのである。そもそもが、良安の引用している「本草綱目」がこの「鷁(=)」を独立項とせずに、先にウに同定した「鸕鷀」の解説文の中に登場させているところからしてからが胡散臭いのである。挿絵のちょっと頰を赤らめたような可憐な(感じに私には見える)鳥だから、何とか、現生種に比定してあげたいのだけれど無理らしい。中文サイトでも一向に比定した種を挙げていないのである。お手上げだ……風波をよく越えて水を怖れず(「、善く高く飛び、風に能(た)へ、水に能(た)ふ」)、そうさ! 時空も越えて飛んでゆけ!! クロノス・バード! 何時か、幻想鳥類として学名はつけてあげるからね!

 

「鸕鷀〔(う)〕」前項の鳥綱 Avesカツオドリ目 Suliformes ウ科 Phalacrocoracidae ウ属カワウ Phalacrocorax carbo・ウ属ウミウ Phalacrocorax capillatus など。

「白鸕鷀〔(しろう)〕」不詳。言っとくが、鶴とか白鳥も出ちゃったしね、鷗とかも後で項立てされてるから、駄目だよ~ん。

「上風」草木の上を吹き渡る風。或いは風上。

「下風」草木の下、地面近くを吹き渡る風。或いは風下。雌雄で天然自然の上下双方向に闡明する能力を示すものであろうから、どちらかを採る必要を私は全く感じない。

「鳴きて孕む」実はこれと全く同じことが「鶴」に書かれてあった。かの白い大鳥である鶴との、本草書のこういうダブりも、如何にも胡散臭いんだ。書いてる本人が、種同定も何も、実在するのを見たことがないから、こんな変なこと(子どもを吐くとかね)を言ってケムに捲いたつもりでいるんだろうけど(大元の「荘子」は例外(後注参照)。幻獣の確信犯だもの)、そうは問屋は卸さないんだ!

「莊子」「白、相ひ視て、眸子〔(ばうし)〕運〔(めぐ)〕らさずして、風化す」「荘子」の「天運」の一節。孔子が、人にものを説くことの難しさを歎じたのに対して、老子が応じたものの一節。

   *

老子曰、「幸矣子之不遇治世之君也。夫六經、先王之陳迹也。豈其所以迹哉。今子之所言、猶迹也。夫迹、履之所出、而迹豈履哉。夫白之相視、眸子不運而風化、蟲、雄鳴於上風、雌應於下風而風化。類自爲雌雄。故風化。性不可易、命不可變、時不可止、道不可壅。苟得於道、无自而不可、失焉者、无自而可。」

(老子曰く、「幸ひなるかな、子の治世の君(くん)に遇はざるや。夫れ、六經(りくけい)は先王の陳迹(ちんせき)なり。豈に其の迹づくる所以(ゆゑん)ならんや。今、子の言ふ所も、猶ほ迹(あしあと)のごときものなり。夫(か)の迹(あしあと)は、履の出だす所なるも、迹(あしあと)は豈に履ならんや。夫れ、白(はくげき)の相ひ視るや、眸子(ばうし)、運(めぐ)らさずして風化し、蟲は、雄、上風に鳴き、雌、下風に應へて風化す。類は自(おのづか)ら雌雄を爲す。故に風化するなり。性は易(か)ふべからず、命(めい)は變(か)ふべからず、時は止(とど)むべからず、道は壅(ふさ)ぐべからず。苟(いやしく)も道を得れば、自(よ)るとして可(か)ならしまざるは无(な)く、焉(こ)れを失はば、自(よ)るとして可(か)なるは无(な)し。」)

   *

「青【一名、「鳥𪇰〔(てうほく)〕」。】」不詳。中文サイトではこの「鳥𪇰を「烏𪇰」(前は「鳥」ではなく「烏」である。実は私は鳥類の複合語で「鳥」を頭に被せるのは不審であって当初、見た時、これは「烏」ではないかと疑ったことを申し添えておく。実際、中文サイトでは「烏𪇰」とあるものを何箇所も見出した。しかし、その後、「版本化された「和漢三才圖會」を確認したところ、「鳥」とはなっていて、少しがっくりきた)、或いは「鵅」・「」・「𪈫」・「𪈚」などと同義とするものを見い出す。ある辞書では「烏𩁠(うぼく)」は、「鷺に似た鳥で首が短く、背が緑で腹や翼が紫白色の鳥と」するが、種同定は出来なかった。しかしこの記載は正直、良安のものと同じだ。どこから引いてきたのか? 何だか、ますます怪しいのだ。同定不能の「」の頸を短くして背の上を緑色にして、腹や背を紫白色するとは、幻鳥フリークの浅墓な色彩補正のようにも思えてくるではないか?!

「龍頭鷁首」読みは「りょうとうげきしゅ・りゅうとうげきしゅ・りょうとうげきす」(現代仮名遣)。船首にそれぞれ竜の頭と鷁の首とを彫刻した二隻一対の船で、中国由来であるが、本邦でも平安時代に貴族が池や泉水などに浮かべ、管弦の遊びなどをするのに好んで用いた。

「五雜組」「五雜俎」とも表記する。明の謝肇淛(しゃちょうせい)が撰した歴史考証を含む随筆。全十六巻(天部二巻・地部二巻・人部四巻・物部四巻・事部四巻)。書名は元は古い楽府(がふ)題で、それに「各種の彩(いろどり)を以って布を織る」という自在な対象と考証の比喩の意を掛けた。主たる部分は筆者の読書の心得であるが、国事や歴史の考証も多く含む。一六一六年に刻本されたが、本文で遼東の女真が、後日、明の災いになるであろうという見解を記していたため、清代になって中国では閲覧が禁じられてしまい、中華民国になってやっと復刻されて一般に読まれるようになった、という数奇な経緯を持つ。

「昔人、、其れ、吐して子を生むと謂ふこと、未だ必ずしも然らざるなり」「五雜組」の「物部一」に載る(中文サイトのものを一部、字を推定して入れて翻刻した)。

   *

似雁而善高飛。昔人謂其吐而生子、未必然也。又鸕鶿亦胎生、從口吐出。此屢見諸書者、而未親見之。

   *]

 

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