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2018/03/27

栗本丹洲 魚譜 剣尾魚 (ギンザメの♀或いはニジギンザメの♀)

 

Kenbiuotunoji

 

[やぶちゃん注:図版は国立国会図書館デジタルコレクションの「魚譜」から。画像は頭部と胴以下が分断されているため、合成した。]

 

□翻刻1(原則、原典のママであるが、約物のカタカナの「ト」と「モ」の合成(読みはドモ)は正字化した)

剣尾鯊 ツノジ ギンザメ 白色多ク光澤ノモノ ハクザメト云 此物半身以下

漸〻細長ナリ然レトモ直ナラス乄下ノ方ヘ曲ルヿつノ字ノ如シ

ツノジノ名アリ味淡毒ナシハンヘン或シンジヨシテヨシ

 

□翻刻2(今まで通り、読み易く約物を正字化し、推定訓読して整序した。一部に読解の用に〔 〕で添え字をした)

「剣尾鯊」。「ツノジ」「ギンザメ」〔とも〕。

白色多く、光澤のもの。「ハクザメ」と〔も〕云ふ。此の物、半身以下、漸〻(ぜんぜん)〔に〕細長なり。然れども、直(ちよく)ならずして、下の方へ曲ること、「つ」の字の如し。故に「ツノジ」ノ名あり。味、淡(あは)し。毒、なし。「はんぺん」或いは「しんじよ」にして、よし。

 

[やぶちゃん注:やはり同前の同定。額部の突起物ないからは決まり。また、側線が前半から中央にかけて小刻みに波打っているところからは

軟骨魚綱全頭亜綱ギンザメ目ギンザメ上科ギンザメ科ギンザメ属ギンザメ Chimaera phantasma

が同定候補となるのだが、尾鰭と区別可能な尻鰭がないという点と、棘の後ろが鋸状になっており、尾鰭の後端が糸状に著しく伸びるという点では

 

ギンザメ科アカギンザメ属アカギンザメ Hydrolagus mitsukurii も挙げておく必要があろうかとも思われる。後者の可能性が高いかも知れぬ。

「剣尾鯊」ギンザメの異名として複数回、既出。

「ツノジ」同前。しかし、ここでは驚くべき異名解明がなされている。則ち、『此の物、半身以下、漸〻(ぜんぜん)〔に〕細長なり。然れども、直(ちよく)ならずして、下の方へ曲ること、「つ」の字の如し。故に「ツノジ」ノ名あり。』で、

   *

 この魚の類は、魚体の半分から後方以下の部分が、だんだんに有意に細長くなっている。ところが、それがどの個体も、体幹に対して真っ直ぐにはならず、下の方へ有意に曲がっていて、その様子は、あたかも平仮名文字の「つ」の字のようである。従って「ツノジ」(「つ」の字)という名がある。

   *

というのである。現行、ギンザメの異名の「ツノジ」は由来不詳とされている。私は前の最初にこの「ツノジ」の名が出る「銀ザメ (ギンザメ)」の注で、

   *

この異名は確認は出来なかったが、感覚的には先に出た「キンザン」とも親和性を感じる。この「ツノ」は背鰭前縁にある危険な棘を「角」と言ったものと私には思われる。『博物学古記録翻刻訳注 17 「蒹葭堂雑録」に表われたるギンザメの記載』で既に述べたが、ギンザメ類のの頭額部には交尾の際にを押さえつけるのに用いられる鉤状突起があるから、それを「ツノ」と言った可能性もあるかも知れぬが、本図には、そもそも、それがない。当時の漁民はを区別して同一種とするよりも、違った魚としてそれを捉えた可能性の方が私は高いと思うのである。

   *

などと安易に推理したが、そこでは私が都合よく「ジ」を誤魔化していた。この説姪の方が腑に落ちた。リンク先にも、この公開後に追記をする。但し、ギンザメ類の数少ない生体画像や動画を見ても、体幹は残念ながら、真っ直ぐに、伸びている。深海から釣り上げた際の圧力影響によって、そのように曲がってしまったものとは思われる。

「ハクザメ」「箔鮫」。ギンザメの異名として複数回、既出。

「味、淡(あは)し」「ぼうずコンニャクの市場魚介図鑑」の「ギンザメ」の「味わい」の項によれば、『旬は不明』。『鱗はなく』、『薄いアルミ箔のような皮をしている。骨は柔らかく歯のみが硬い。背鰭棘は非常に強いので要注意』。『白濁した白身で繊維を感じない。水分が多くスポンジを思わせる。火を通すと締まるが、ほぐすと』、『ぼろぼろする』。『肝はクセがなく美味』とあって、「食べ方・料理法・作り方」の項には、『ソテー(ムニエル)、揚げる(フライ、唐揚げ)、煮る(煮つけ)、汁(潮汁)、生食(焼霜造り、肝さし、刺身)、焼く(干もの)』を掲げ、調理した写真も並び、かなり美味そうである。

「毒、なし」肉は無毒である。なお、既に書いたが、ギンザメ類は背鰭前縁に一本の毒腺のある棘を持ち、刺されると痛むが、人に対する毒性は弱いとされている。

「はんぺん」「半片」「半平」。形状を言ったのであろう「はんぺい(半平)」の転とされる。擂り潰した魚肉に山芋や澱粉を加え、調味して蒸し固めた白くふんわりした食品。そのままで、また、焼いたり、吸い物の実にしたりして食す。

「しんじよ」「糝薯」(しんじょ)。「はんぺん」に同じい。魚・鳥・海老などの擂り身に、擂った山芋を加えて調味し、蒸すか或いは茹でた食品。同じく、そのまま或いは吸い物の実などにする。]

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