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2018/03/31

進化論講話 丘淺次郎 第十三章 古生物學上の事實(4) 三 鳥類の先祖

 

     三 鳥類の先祖

 

Kyouryuu

 

[中生代の蜥蜴類]

[やぶちゃん注:底本の国立国会図書館デジタルコレクションの画像をトリミング・補正して使用した。本図は全く同じものが、同じ丘淺次郎先生の生物學講話」の「第二十章 種族の死(4) 三 歷代の全盛動物で使用されており、そこで私は本種を爬虫綱双弓亜綱主竜形下綱恐竜上目鳥盤目鳥盤目鳥脚亜目ハドロサウルス上科ハドロサウルス科ハドロサウルス亜科エドモントサウルス属 Edmontosaurus の一種と同定した。最大級の所謂、「カモノハシ竜」の一タクソンで、特徴的な長い口腔には筋肉質の頰袋と奥に最大で六十列にも及ぶ密接した多数の歯を持ち、針葉樹食であったと推定されている。なお、図では当時の認識から後肢で屹立しているが、現行では通常は四足歩行していたと考えられている。]

 

 

 現今の動物中で、分類上最も區域の判然した部類は何であるかといへば、恐らく鳥類あらう。身體の表面に羽毛を被り、前肢が翼の形をなして居るものは、鳥の外にはないから、或る動物を捕へて之は鳥であらうか、または鳥以外の動物であらうかといふ疑の起ることは絶えてない。倂し、之は現在の動物だけに就いていうたことで、古い地層から出て來る化石までを勘定に入れると、決して斯くの如くはいはれぬ。中生代は鰐・蜥蜴の類の最も盛な時代であつたことは、前に述ベたが、その頃の蜥蜴類の中には上の圖に掲げた如くに、後足だけで立ち[やぶちゃん注:誤り。キャプションの私の注を参照。]、腰の骨なども餘程鳥類に近い類が澤山にあつて、之を竝べて見ると、恰も蜥蜴から漸々鳥類に變じ行く順路の如くに思はれる。斯く進んで或る處に達すれば、分類上、最早、蜥蜴の類に入れることも出來ず、また明に鳥類の方に編入することも出來ぬやうなものになる筈であるが、次の圖に掲げたのは、實際斯かる有樣の動物で、丁度蜥蜴類と鳥類との性質を半分づゝ具へて居る。この化石を研究した學者の中、或る人は之を鳥類に入れ、或る人は之を蜥蜴類に入れて議論も隨分あつたが、斯く議論の一定せぬのは、つまり、この動物が鳥と蜥蜴との中間に立つからで、今日の所では、之を鳥類の出來始めと見倣して居る。

 

Sisotyou

[最古の鳥]

[やぶちゃん注:底本の国立国会図書館デジタルコレクションの画像をトリミング・補正して使用した。これは所謂、「始祖鳥」と日本で通称される(但し、これは現在では誤りなので廃止すべき呼称であると私は思う。後述)、鳥綱古鳥亜綱アーケオプテリクス目アーケオプテリクス科アーケオプテリクス属 Archaeopteryx の一種。アーケオプテリクス類に比定されている化石は破片を含め、現在まで十一個が発掘されているが、それらは総て後に出る、ドイツのゾルンホーフェン近郊の石灰岩堆積物中から発見されたものである。特にここに掲げられたものは特に知られたもので、最初の発見から三番目に見つかった「ベルリン標本」と名付けられたものである。現在はフンボルト自然史博物館蔵(当該化石(図のもの)発見されたのは一八七六年又は一八七七年と伝えられる)。ウィキの「始祖鳥」によれば、属名 Archaeopteryx の語源は、ギリシア語の「古代の」を意味する「archaios」と、「羽毛・翼」等の意の「pteryx」の合成。『アーケオプテリクスの最初の骨格化石の発見後、初めて鳥類と恐竜類の類縁関係を主張したのは、ダーウィンのブルドッグ(番犬)としても有名な』イギリスの生物学者トマス・ヘンリー・ハクスリー(Thomas Henry Huxley 一八二五年~一八九五年)で、一八六〇年代『後半のことであった』。『しかしその後、多くの恐竜が発見され』、『その多様性が非常に大きいことが明らかになるにつれ』、『ハクスリーが指摘した類似点は曖昧になり、さらに』、『発見された全ての恐竜について』、『鎖骨が退化消失していたことから』、『恐竜という生物の共有形質として「鎖骨の消失」が共有認識となり、鎖骨(叉骨)を持つ鳥類が鎖骨の消失した恐竜類から進化したという説は支持者を失っていった。多くの研究者は鳥類と獣脚類に類似があることを認めつつも、鳥類の祖先は恐竜の祖先でもあるがまだ鎖骨を失っていない槽歯類(Thecodont)であり、類似は収斂進化にすぎないという意見がその後百年近く主流とな』った。『その現状を覆し、鳥類は獣脚類から進化したという説を甦らせたのが』、アメリカの古生物学者ジョン・ハロルド・オストロム(John Harold Ostrom 一九二八年~二〇〇五年:一九六〇年代に於ける恐竜認識大変革を行った人物として有名。一言で言えば、彼の説は、恐竜はそれまで言われていたような爬虫類の大トカゲなのではなく、「大きな飛ばない鳥」であるというものである)『であり』、一九七三年の『ことであった。彼は獣脚類にも鎖骨を持つ者がいること、すなわち』、『恐竜の鎖骨は全て消失していたわけではないことを明らかにし、獣脚類起源説の最大の障害を取り除いただけでなく、鳥類と小型獣脚類のみが共有する特徴を』二十『以上も挙げた。鎖骨の有無という問題が消失した今、鳥類の特徴(叉骨、羽毛、翼、部分的に保存されていた親指)と恐竜類の特徴(長く突き出た距骨、歯間中隔の存在、坐骨の閉鎖孔突起、尾の血道弓)を兼ね備えるアーケオプテリクスは、この主張を裏付ける決定打となった。後の研究では中国遼寧省から羽毛恐竜が発見されるなど、アーケオプテリクスと恐竜をつなぐ更なる証拠が見つかっている』。『ただし、鳥類は恐竜から進化したとする説には、アーケオプテリクスの化石(ジュラ紀後期の』約一億五千万年前年前『)が、当時最古の羽毛を持つ恐竜の化石(白亜紀前後の』一億二千五百万年前頃を『中心に発見されていた)よりも古いという問題が残されていた。それを解決する化石が』二〇〇九年に『発見された。中国東北部のジュラ紀後期』(一億六千百万年から一億五千百万年前)『の地層から、トロオドン類』(竜盤目獣脚亜目テタヌラ下目トロオドン科 Troodontidae)『の化石が発見された。これは、鋭いかぎつめを持ち全長約』五十センチメートルの『トロオドンと呼ばれる肉食恐竜の仲間である。羽毛を持った恐竜前後の脚に風切り羽があるが、鳥類や白亜紀の羽毛恐竜の羽の、先端に向かって細くて左右非対称である羽とは異なり、それは団扇のような左右対称系である。そのため、恐竜は最初に前後の脚に原始的な羽を持ち、やがて前脚の翼が発達して飛翔能力を身につけ、鳥類に進化したと考えられた』。『アーケオプテリクスは現生の鳥類の祖先に近い生物であるものの、直接の祖先では無いと考えられている。アーケオプテリクスが栄えた当時の鳥類にどれほどの多様性があったのかについては、今なお議論の余地がある』とある(下線やぶちゃん)。]

 

 この化石の略々完全なものは現今二つよりない。羽毛一枚位は他の博物館で見たこともあるが、全形の解るものはロンドンベルリンとの博物館に各々一個づゝあるだけで、孰れも鄭重に保存してある。兩方ともに發見せられた處は、ドイツ聯邦の一なるバヴァリア國のソルンホーフェンというて、有名な石版石の出る村であるが、こゝは奇態に完全な化石の出る處で、海月(くらげ)の化石などといふ實に珍しい品もこゝから發見になつた。丁度こゝにヘーベルラインといふ化石の好きな醫者が住んで居て、常に面白い化石を掘り出すことを樂[やぶちゃん注:「たのしみ」。]にして居たが、こゝに述べた化石の一を千八百六十一年に發見し[やぶちゃん注:アーケオプテリクスの化石の最初の発見。図のものではない。]、その後十六年を過ぎて明治十年[やぶちゃん注:一八七七年。]に至り、また他の一を發見した。ロンドンにあるは、その古い方で、頭の處が缺けて居るが、ベルリンにある新しい方は、殆ど完備して、全部明瞭に解る。この動物の形狀をいうて見れば、上圖に示した通りで、上下の顎は鳥の嘴とは全く違つて細かい齒が竝んで生え、前足からは立派な羽毛が生えて居るから、翼と名づけて差支はないが、指が三本もあつて各々末端に爪を具へて居る。特に現今の鳥と著しく違ふ所は尾の骨である。現今の鳥にも孔雀・「やまどり」[やぶちゃん注:キジ目キジ科ヤマドリ属ヤマドリ Syrmaticus soemmerringii。]等の如く尾の長いものは幾らもあるが、之は皆尾の羽毛が長いばかりで、骨骼にして見れば、孰れも尾は極めて短い。然るにこの動物では尾の骨が蜥蜴か鼠の尾の如くに長く、脊椎が二十個以上も連なつて尾の中軸をなし、その兩側から羽毛が竝んで生えて居る。一言でいへば、この動物は骨骼からいへば、この動物は骨骼に於ては、その頃の蜥蜴類の或る種屬と甚だ似たもので、羽毛を被り、翼を有するといふ點では確に鳥類の特徴を具へたものである。

 

Huruitorinokaseki

[やゝ新しき地層から出た鳥の化石]

[やぶちゃん注:底本の国立国会図書館デジタルコレクションの画像をトリミング・補正して使用した。これは間違いなく、中生代白亜紀後期に北アメリカに生息していた海鳥類である鳥綱真鳥亜綱ヘスペロルニス目ヘスペロルニス科ヘスペロルニスHesperornis(タイプ種:Hesperornis regalis)である。ウィキの「ヘスペロルニス」によれば、『長い首・長いクチバシを持つ』、『その体型は現在のアビ類やウ類に似るが、体長は』百八十センチメートルと、かなり、『大型である。翼は小さく』、『痕跡程度に退化しており、現在のペンギン類と同様に、飛ぶことはできない。しかし、ペンギンが翼が変化したフリッパーで海中を泳ぐのに対して、ヘスペロニスは水掻きを持つ後足で泳ぐ。そして現在の鳥類と決定的に異なる点は、クチバシに歯を持つことである。このクチバシを使い、海中で魚類を捕食していたと推定される』。『ヘスペロルニスは、白亜紀に登場した真鳥類(Euornithes)のグループに含まれるが、白亜紀末期に絶滅した。現存鳥類にヘスペロルニス類の子孫はない』とある。リンク先の全骨格図と本図は同じものである。同ウィキの「外部リンク」のある生態想像図(複数有り、本骨格図もある)は見なきゃ! 損!)。]

 

 この化石の出たのは中生代の半過ぎ頃の地層からであるが、その後の層からは幾らも古代の鳥の化石が發見になつた。順を正してこれらの化石を竝べて見ると、こゝに掲げたやうな鳥の出來始まりから、終に現今の鳥類になるまでの道筋が實に明に解る。例へば古い層から出る鳥には、皆齒があつたもので、今日の如き嘴を有するに至つたのは、比較的近い頃からであるが、その他構造上鳥類に固有な點を調べて見ると、孰れも皆漸々に出來たもので、その始に溯ると、次第次第に蜥蜴類に見るやうな形に歸する。解剖上の委しい比較は略するが、總べての點に於て進化の形跡が歷然と現れて居るから、これらの化石を竝べて見て、尚生物の進化を認めぬことは決して出來ぬことである。

 斯くの如く、これらの化石は生物進化の直接の證據であるが、前に述べた化石の中の一個が發見せられたのはダーウィンの「種の起原」の出版になつた翌々年であるから、進化論の評判の高くなるや否や、かやうな直接の證據の現れることは頗る不審(いぶか)しい、恐らく之は僞物であらうというて、信じない人もあつた。倂し素より眞正の化石故、今は大切にして保存してあるが、之に就いて考ふべきことは、天然には分類の境界がないといふことである。現今生存する動物だけの中にも、肺で空氣を呼吸する魚類もあり、卵を生む哺乳類もありなどして、各部類の特徴を定め、その境界を確めることは、決して容易でないが、化石を加へて論ずれば、分類上判然して境界を定めることは決して出來ぬ。こゝに述べた一例だけに就いて考へても、中生代から今日までの蜥蜴類と鳥類とを集めて見れば、その中には鳥類の性質を三分と蜥蜴類の性質を七分と具へたものもあれば、蜥蜴二分に鳥八分のものもあり、或は前に掲げた如き鳥と蜥蜴との性質を五分づゝ合せた如きものもあるから、似たものを合せ、異なつたものを離さうとすれば、何處を境と定めて宣しいか解らず、たゞ便宜上勝手な處に定めるより外には仕方がない。その有樣は恰も山と山との境を定めるに當り、頂上は離れて明に二つあるが、据野が互に連續して何處にも境がないから、據[やぶちゃん注:「よんどころ」。]なく使宜上或る處に定めるのと少しも違はぬ。若し土地が降つて据野が海になつてしまふたならば、初め二つの山であつた處は二つの島となり、その境は極めて判然と見えるやうになるが、鳥類と蜥蜴の類とが、今日判然と相離れて居るのは、全く之と同樣で、中間に立つべき種類が皆死に絶えてしまつたのによることである。「天然は一足飛をなさず」といふ古い諺がある通り、丁寧に調べて見ると、動物の分類にはどこにも一足飛びに離れた處はないやうで、以上と同じ例は他にも澤山あるが、斯く化石までを合せると、分類にはどこにも判然した境がなく、自然に一の部類から他の部類へ移り行くもので、その間の一々の種屬は各々この地球の長い歷史の中の或る一個の時代のみに限つて生存して居たといふことは、生物は總べて共同の先祖から進化して樹枝狀に分かれ降つたものとすれば、素より斯くあるべきであるが、生物種屬が皆萬世不變のものであると假定すれば決して有るべき筈のことでない。

[やぶちゃん注:「肺で空氣を呼吸する魚類」肉鰭綱肺魚亜綱 Dipnoi のハイギョ類。詳しくは第九章 解剖學上の事實(4) 四 血管並に心臟の比較の私の注を参照されたい。

「卵を生む哺乳類」オーストラリアに棲息するカモノハシ(哺乳綱原獣亜綱単孔目カモノハシ科カモノハシ属カモノハシ Ornithorhynchus anatinus。現生種は一科一属一種。第十一章 分類學上の事實(3) 二 幾段にも分類を要することの本文及び私の注を参照)オーストラリア・タスマニア・カンガルー島・バス海峡諸島・ニューギニアの高地に棲息するハリモグラ類(カモノハシ目ハリモグラ亜目ハリモグラ科ハリモグラ属ハリモグラ Tachyglossus aculeatu 及びその五亜種)、ニューギニア島に棲息するミユビハリモグラ類(カモノハシ目ハリモグラ科ミユビハリモグラ属ニシミユビハリモグラ Zaglossus bruijni・ヒガシミユビハリモグラ Zaglossus bartoni・デビッドキョウミユビハリモグラ Zaglossus attenboroughi の三種)の五種五亜種の全十種が現生の卵生哺乳類である。]

 

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